おれは、土門拳になる。第2章 写真家増浦行仁公式ブログ

写真家<増浦行仁>のオフィシャルブログ。
志を追い続けた増浦が「夢を追う」こととは何かを本音で語る。

院内美術館 in 福井総合病院/MAILLOL編

2011年06月17日 | お知らせ
大震災から既に3ヶ月が過ぎた。
未だに9万人近くの人が避難所で生活をしているという。
この、文明が発達した時代に、何故いつまでも不自由を強いられるのか、と疑問に思う。
ただでさえ不安な避難生活に、政府の混乱が拍車をかけている。

こんなことを僕が言うのはおこがましいが・・・
震災への対応の不味さは誰が見ても明らかだろう。

さて、今月から、北陸地方福井市にある福井総合病院のエントランスホールに僕のMAILLOL作品が展示されている。
この病院の特色は、「高度先進医療」の提供と「充分な期間の入院治療」という、本来両立が困難な双方を満たしていることだ。患者さんにすれば安心で、とてもありがたいことと思う。



MAILLOLは彫刻シリーズの最初の作品で、パリのどん底から僕を救い出してくれた。マイヨールが作り上げた圧倒的な存在感の裸婦像を、平面(写真)に置き換えることで新たなアートが生まれたのだ。
以来、ブルデル、ロダン、ミケランジェロと被写体を替えながら彫刻を撮り続けた。

基本のテーマは共通で、「彫刻という完成された立体(3次元)を写真という平面(2次元)に移し替えることで、新しいアートを創造する」というものだ。

テーマは同様でも、僕の精神的状況や作者によって、それぞれ全く違う表現となった。
作品を私的に述べると、マイヨール=無垢、ブルデル=模索、ロダン=混沌、ミケランジェロ=覚醒という感じかな。
そして今は『神の宮』や『平成の古寺巡礼』という作品で“眼には見えないもの”を撮ろうとしている。
昇華、となれば嬉しい・・・