おれは、土門拳になる。第2章 写真家増浦行仁公式ブログ

写真家<増浦行仁>のオフィシャルブログ。
志を追い続けた増浦が「夢を追う」こととは何かを本音で語る。

出雲より帰る 2009年1月30日

2009年01月30日 | 日記--感じたことなど
昨日、久しぶりに出雲大社で撮影をしてきた。
今回は雨。何度も訪れているが撮影時に雨が降ったのは初めてだ。
現在、出雲大社では、4年後の『平成の大遷宮』に向けて御本殿のお屋根を修造中だ。八足門から御本殿に入り、いきなり目の前に飛び込んできたのは小さなクレーンだった。かなりシュールな場景に一瞬眼を疑う。よく見ればいつもは奇麗に敷き詰められている玉砂利が取り除かれ、代わりに鉄板が置かれていた。
出雲大社では、凡そ60年〜70年の周期で遷宮が行われる。前回は1953年、その前は1881年に行われた。御本殿の高さは24メートルとのことだが、クレーンなど無かった時代にはさぞ大変だったろう。
現在の国宝である御本殿は1744年に造営されたものだが、古代出雲大社の御本殿は、高さ約48メートルもあったと言われている。あまりに高大な為、御神殿は幾度となく倒れたそうだが、それでも当時の人々は「大國主大神様(大国様)」のお住まいだからと、どんな厳しい時代でも御遷宮御造営を継承して来た。出雲では倒壊や老朽化に伴い、その都度で遷宮が行われ、今迄に25回の記録が残っている。

古来日本は神の国であり、森羅万象に神々が宿ると言われて来た。人々はそれを崇め奉り、信仰は心の奥に根付き道徳の基準になっていたと思う。
僕は宗教家では無いけれど、神を畏れ敬う心は現代でも人間として至極大切なことではないだろうか・・・と、近頃特にそう思う。

2009年1月20日

2009年01月20日 | 日記--感じたことなど
年が明けて早20日。
最低でも週一でブログを更新しようと思っていたが・・なかなか難しい。

さて、先日某新聞に気になる記事があった。
この大不況時、フランスでは文化事業が大盛況とのことだ。つまり展覧会やオペラ、バレエなどの観劇、映画等など・・客入りは上々らしい。さすがフランス!と思わず喝采してしまった。アートへの接し方が日本と全く違う。日本では、アートはどこか特別なもの、あるいは一部の富裕層、有閑層が楽しむものと思われている節がある。この不景気にそんなものを楽しむ余裕は無いと言われる方も多いだろう。しかし、フランスはもとよりヨーロッパでは衣食住と同じ程アートは日常の生活にとけ込んでいるのだ。

僕が初めてパリを訪れた時、まず驚いたのはアートに対する懐の深さだった。街の至る所に息づき、人々の生活に溶け込んでいる。人種も肩書きもなく、良いものは良いと認めてくれる。そんな気風に溢れていた。当時、僕の生活は苦しく残飯さえ漁るような暮らしだったが、それでも夢を諦めなかったのは、パリの空気のせいだったろう。それはアートの香りで満たされていた。

ヨーロッパでは、古来自分たちの文化に誇りを持ち、二つの世界大戦でも失うこと無く世代を継いで守って来た。多分100年後も200年後もそれは変わらないだろう。日本でも同様に素晴らしい文化が生まれ育ち受け継がれて来たはずだった。ただ、ライフスタイルが欧米化するに比例して日本独自の文化を尊重する気持ちが徐々に廃れて来たように思う。確かに欧米の華やかな文化に比べて日本のそれは少々地味かも知れないが、四季折々に祝い事や祭り事をしながら心豊かに生活を楽しむ術は引けを取らない。今一度、僕たちはそんな気持ちを取り戻すべきではないだろうか。

世界的大恐慌の嵐に飛ばされ、僕たちの暮らしは一変してしまうかもしれない。
今迄築いて来たものが崩れ去った時、一体何が残されているのだろう。
2009年1月20日 アメリカでは新しい歴史が生まれる。
僕たち自身も変革の時なのだ。