MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

老人ホームで (8) ハッピー・エンドと…

2009-06-18 00:22:40 | その他の音楽記事

06/18    老人ホームで (8) ハッピー・エンドと…




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 いよいよコンサートも終わりに近づきました。

 次は グルックの『精霊の踊り』です。



 「これはオペラの中の曲です。 奥さんを亡くしたオルフェオ
は、冥界へ下り、愛妻エウリディーチェを救い出そうとします。」


 そう言いながら私は、「しまった、長くなりそうだな…」
と、しゃべり始めたのを後悔していました。 でもここまで
来ると、もう途中で止めるのは無理です。



 「オルフェオの愛の深さと、みごとな竪琴の音に感動した
神々は、妻を連れ帰ることを許します。 しかし、ただ一つ
条件がありました。 エウリディーチェの手を引きながら、
"決して後ろを振り返ってはならない" と言うのです。」

 「しかしオルフェオは誓いを破り、後ろを振り向きます。
そして、妻エウリディーチェを永遠に失ってしまいます…。」



 私はここで間(ま) を置き、様子を窺いました。 みなさんは
シーンとしたまま聴いています。


 「でもこのお話には、ハッピー・エンドの形もあるんですよ?
みなさんは、どちらがお好きでしょうか?」



  [音源ページ




 このグルックの歌劇、『オルフェオとエウリディーチェ
(1762年) では、背後で倒れてしまった妻を再び連れ帰る
ことができ、結末は"ハッピー" です。

 しかし原典のギリシャ神話では、それは叶えられません。
これに忠実な、モンテヴェルディ歌劇『オルフェオ』
(1607年2月初演) は、"悲劇" に終わります。



 ただその結末は、どちらの歌劇でも、演出次第で様々です。


 「オルフェオもエウリディーチェも、共に帰還する」、

 「オルフェオだけ戻って、ひとり嘆き悲しむ」、

 「オルフェオは八つ裂きにされ、自分も命を失う」…。


 そう言えば、童話の話になりますが、『本当は残酷な**童話』のような
書籍が、何種類か出版されているのを思い出しますね。





 なおこの『精霊の踊り』は、私自身は半年ほど前に弾いた
ばかりの曲でした。


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 演奏会のために私たちが用意した曲目は、あと一曲だけです。


 しかし、その後も、まだコンサートは終わりませんでした。



 (続く)