MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

セヴィリャの理髪師 ④ 我が才智と心は

2009-06-29 00:03:09 | 私の室内楽仲間たち

06/29 私の音楽仲間 (70) ~ セヴィリャの理髪師 ④

                       『我が才智と心は』



          私の室内楽仲間たち (50)




         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




      関連記事   『セヴィリャの理髪師』

        ① 序曲
        ② 『空は微笑み』
        ③ 『何でも屋のお通りだい』
        ④ 『我が才智と心は』

        滑舌 カツレツ … (8) 何でも屋さん

        コジ ファ フィガロ





 アルマヴィーヴァ伯爵は、何でも屋さんの口上を聴き終える
と姿を表わし、旧知フィガロに自分の窮地を訴えます。

 …と、さっそく、フィガロの強力なダジャレが私に移ってしまいました…。



 フィガロによれば、この家の持ち主は医者のバルトロで、
自分が後見人になり、ロジーナを住まわせているのです。
彼女が相続した莫大な財産がお目当てで、"悪い虫" が
付かぬよう、目を光らせています。



 しかしまた朗報も。 まさにこの家に、フィガロは頻繁
に出入りしているというのです! 美容師、床屋、庭師、
外科医、薬剤師、諜報員…と、様々な肩書で。




 すると窓が開き、ロジーナがバルコニーに現れます。
夜明けのセレナーデが聞こえても、彼女は窓を開けるに
開けられなかったのです。 もちろんバルトロの監視の目
が厳しいからです。

 実は彼女もアルマヴィーヴァ伯爵を愛しているのです。
その名前や素性は知らずに。 そして今、認 (したた) めた
恋文 こいぶみ) を手に、「どうやって渡そうか」と思いを巡らし
ます。



 ところがバルコニーには、バルトロまで現れてしまいます。
「何だね、その手紙は?」

 「これは今流行 (はや) りのオペラ、『用心も水の泡』の中の
アリアですわ!」

 そう言うなり、その恋文をヒラヒラと街路へ落とします。
風に飛ばされたフリをして。 そしてバルトロが拾いに
行こうとバルコニーから消えた瞬間、伯爵が物陰から
姿を現わし、恋文をまんまと手にしてしまうのです。




 恋文には、「お名前をお教えください、不運なロジーナより」
とあります。



 アルマヴィーヴァは、自分の本名や伯爵の身分は伏せて
おきたいと、フィガロに伝えます。 それらがお目当てでなく
ても、ロジーナが愛してくれることを望むからです。

 「それなら、歌を歌って安心させてあげなさい、さあ!」と、
フィガロはギターを手渡します。 No.5 『カンツォーネ』
始まります。



 伯爵は物陰から歌います。

 「自分の名前はリンドロ。 身分は卑しく財産も無いが、
尽きぬ愛と献身を誓います。」

 フィガロは、彼女がバルコニーで歌に聴き入り、うっとりして
いるのを見届けます。




 No.6 レチタティーヴォと二重唱 『まずい、部屋に誰かが』

 ト長調、Allegro maestoso、4/4拍子で始まります。



 フィガロは室内の異変に気付き、バルコニーから離れますが、
また落ち着いて歌い始めます。

 「我が才智は頭脳から溢れ、心は火山のごとく燃え立つ。」



 ロジーナの顔を拝めず、ますます焦る伯爵に、フィガロは
言い聞かせます。

 「まず変装しなきゃ。 町に今日やって来る兵卒の一人に
おなりなさい。 何でも軍の頼みなら、医者のバルトロでさえ
断れないはずたから。」



 「善は急げ」と、意気投合する、依頼主と請負師。 フィガロは
自分の店の場所を教え、「そこで会いましょう」と言い残すと、
さっそく医者バルトロの家へ入っていきます。




 フルート四重奏用でこれまで楽しんできた編曲もの。 その
第4曲は原曲の、この No.6 に当ります。



 今回の音源は、途中の 3/8拍子の部分から始まります。
フィガロが店の道案内をする部分です。

 The barber of Seville.Part 5



 音源の後半は、これに続く No.7 ロジーナのカヴァティーナ
『今の歌声は』
です。




 以下は参考サイトです。



 [ロッシーニ

 [セヴィリャの理髪師

 [オペラ・ロイヤルシート

 [9月のオペラ




  (この項終わり)