06/29 私の音楽仲間 (401) ~ 私の室内楽仲間たち (374)
"コーワ、コーワ" じゃないよ
これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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"コーワ、コーワ" じゃないよ
今回は、まず譜例をご覧ください。 いきなり登場した、
青塗りの音符たち。
「あまり見かけない形だな…。」 そう感じられるかも
しれませんね。 音符の "棒" や "旗" に上下の違い
はありますが、鳴っているのは同じ高さの音です。
[譜例 ①]
これ、弦楽器に詳しい方々はよくご存知ですが、二本
の弦を使って、同じ高さの音を取り、代わる代わる鳴らす
方法です。
この場合は、片方を指で押さえ、もう一本は開放弦。
"4"、"0" は、それぞれの "指" の指示です。
この形、ピアノや、木管楽器、金管楽器にも登場します。
「二本の指や、代え指を用いろ」…という指示ですが、
オーケストラなどで、複数の楽器に跨って用いられる
こともあります。
それはそうと、これ、どんな音がするのでしょうか?
[演奏例の音源]をお聞きください。
[譜例 ①]
音源は、[譜例 ①]の最初からスタートしますが、途中、↓
の箇所からは、下の[譜例 ②]の↓へ、いきなり跳んで
しまいます。
相変わらず、鑑賞には不向きな編集です。
[譜例 ②]
音楽はその先まで続き、また冒頭の音楽が聞えたところで
終ります。
「なんだ。 それじゃ、進展が無いじゃないか!」
いいの。 元の音楽へ "かえる" ように出来てるもんで。
肝心の曲名は、前回までと同じ、ハイドンの弦楽四重奏曲
作品50-6 ニ長調 です。 実はこの曲 "蛙" のニックネーム
で親しまれています。
その理由はお解りですね? "ケロケロ"、あるいは
"ゴロゴロ" 聞えるからです。
ただし、「ハイドンが蛙の声を表現したかった」…と
いう説には、根拠がありません。
この形は、他の楽器にも登場します。
ところで、この二つの譜例には、濃い緑色の音符もあります。
かなり見にくいのですが、4つの音符が上下運動を繰り返し
ています。
また、Sの字を横にしたようなのは "ターン" で、私が
書き加えたものです。
まず上へ、次いで下へ向かってから、最初の音にかえる
ので、音符の数は、厳密に見れば "5個" になります。
[譜例 ③]、[譜例 ④]は、前回の第Ⅲ楽章のものです。
青、濃緑と、同じ素材が用いられています。
[譜例 ③]
[譜例 ④]
そして、先ほどご覧いただいた[譜例 ②]では、青、緑の
両方が、一度にミックスされている箇所まであります。
単純そうに見える楽章に、こんな深謀遠慮が巡らされて
いたなんて…。 私は仰天! "ひっくりかえる" です。
いや、その前にハイドンさんに言われそうです。 「お前の
音には呆れかえるよ。 あれじゃ、梅雨時の豪雨で濁った
泥水じゃないか!」
ええ、自分でも解っています。 たとえ一時でも、こんな音
を出すのはイヤ。 恥を曝すよりは、音源をかえることを
真剣に考えたほどです。
「じゃあ、なんでこんな侮露愚を書いてるんだね?」
…まことに厳しいご指摘…。 それでも何かエルものがある
のではないか…。 "反面教師" ということだってありますから。
ハイドンの弦楽四重奏曲 ニ長調 Op.50-6
[音源ページ]
ケロケロ、ゲロゲロ、ゴロゴロ。
ところで他の国では、蛙さんはどう鳴くのでしょうか?
ますます呆れかえる貴方を振りかえることもなく、
世界各国の蛙さんに登場してもらいました。
英 croak。
米では ribbit も。
フランス COÂÂÂÄ-COÂÂÂÂ, coa-coa、コアー コアー。
ドイツ QUAK、クヴァック。
アラビア語 gar gar。
中国 guo guo。
オランダ kwak kwak。
フィンランド kvak kvak。
ギリシャ brekekekex koax koax (なんて読むの??)
ヘブライ語 kwa kwa (/qva qva)。
ヒンズー語 me:ko:me:k-me:ko:me:k。
ハンガリー bre-ke-ke。
イタリア cra cra。
日本 kerokero。
韓国語 gae-gool-gae-gool。
ノルウェー kvekk-kvekk。
ポーランド kum kum。
ロシア語 kva-kva。
スペイン語 (スペイン) crua-crua。
スペイン語 (アルゼンチン) berp。
スペイン語 (ペルー) croac, croac。
スウェーデン kvack。
タイ ob ob (甲高く)。
トルコ vrak vrak。
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ハイドンさんはドイツ語。 でも私としては、"クヴァック"
は、あまりピッタリ来ません。
どこの国の人が、"蛙" と名付けたのでしょうね。
だーれ? 「おめぇヘソ、ねーじゃないか」…なんて
言ってるのは。
古いね~。 ボクと同じじゃないか!
まさか、「"コーワ、コーワ" って鳴く」…なんて
思ってる人、いないよねー…?