06/18 老人ホームで (8) ハッピー・エンドと…
これまでの 『その他の音楽記事』
[関連記事] 老人ホームで
(1) 和気あいあい
(2) 笑顔は表現
(3) 再びお声が
(4) 一緒に音楽を
(5) 素朴に親しむ
(6) 拍手も表現
(7) 歌は表現
(8) ハッピー・エンドと…
(9) リクエスト
いよいよコンサートも終わりに近づきました。
次は ⑥ グルックの『精霊の踊り』です。
「これはオペラの中の曲です。 奥さんを亡くしたオルフェオ
は、冥界へ下り、愛妻エウリディーチェを救い出そうとします。」
そう言いながら私は、「しまった、長くなりそうだな…」
と、しゃべり始めたのを後悔していました。 でもここまで
来ると、もう途中で止めるのは無理です。
「オルフェオの愛の深さと、みごとな竪琴の音に感動した
神々は、妻を連れ帰ることを許します。 しかし、ただ一つ
条件がありました。 エウリディーチェの手を引きながら、
"決して後ろを振り返ってはならない" と言うのです。」
「しかしオルフェオは誓いを破り、後ろを振り向きます。
そして、妻エウリディーチェを永遠に失ってしまいます…。」
私はここで間(ま) を置き、様子を窺いました。 みなさんは
シーンとしたまま聴いています。
「でもこのお話には、ハッピー・エンドの形もあるんですよ?
みなさんは、どちらがお好きでしょうか?」
[音源ページ]
このグルックの歌劇、『オルフェオとエウリディーチェ』
(1762年) では、背後で倒れてしまった妻を再び連れ帰る
ことができ、結末は"ハッピー" です。
しかし原典のギリシャ神話では、それは叶えられません。
これに忠実な、モンテヴェルディの歌劇『オルフェオ』
(1607年2月初演) は、"悲劇" に終わります。
ただその結末は、どちらの歌劇でも、演出次第で様々です。
「オルフェオもエウリディーチェも、共に帰還する」、
「オルフェオだけ戻って、ひとり嘆き悲しむ」、
「オルフェオは八つ裂きにされ、自分も命を失う」…。
そう言えば、童話の話になりますが、『本当は残酷な**童話』のような
書籍が、何種類か出版されているのを思い出しますね。
なおこの『精霊の踊り』は、私自身は半年ほど前に弾いた
ばかりの曲でした。
関連記事 [義母の旅立ち]
(1) 精霊の踊り
(2) Bruckner の第4交響曲
(3) 大自然の中の音楽施設
(4) 有るとき払いの催促なし
(5) ミルク・ホール?
(6) 百人の賄(まかな) い
(7) キチン・オーケストラ
演奏会のために私たちが用意した曲目は、あと一曲だけです。
しかし、その後も、まだコンサートは終わりませんでした。
(続く)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます