MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

4月の記事の一覧

2010-04-30 00:00:00 | インポート

04/30



       今月の記事の一覧です。




 まるチャンの「何だ、これ!?」 ~

         「ボクのなかま、かわいがってね?」

04/03   (43)  不要な犬猫の回収

04/04   (44)  収容所で分かれる運命

04/05   (45)  maru のお友だち

04/06   (46)  HACHI クン ありがとう!

04/07   (47)  死んでからも虐待?

04/08   (48)  「行方不明」のまま…




04/09   頭の体操 (39) 漢字クイズ 問題/解答




 まるチャンの「何だ、これ!?」

04/12   (49)  4時間の旅

04/13   (50)  鍾乳洞の音楽

04/14   (51)  レンタカー ショップの明暗

04/15   (52)  観音崎の波音

04/16   (53)  さらに西へ

04/18   (54)  牛に引かれて…

04/19   (55)  南西の楽園

04/20   (56)  偏西風に…




04/22   頭の体操 (40) 漢字クイズ 問題/解答




 私の室内楽仲間たち ~



Dvořák の弦楽五重奏曲第3番変ホ長調 作品97

04/25   (140)  Fa♭ = Mi? !…

04/26   (141)  東京クインテット?

04/27   (142)  地獄耳

04/28   (143)  芸は身を助く

04/29   (144)  家路




04/30   今月の記事 ~ 一覧





家路

2010-04-29 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

04/29 私の音楽仲間 (164) ~ 私の室内楽仲間たち (144)



   Dvořák の弦楽五重奏曲第3番変ホ長調 作品97




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              (144) 家路
 




   この集いは、すでに何度かお読みいただいているグループです。

         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 「《芸は身を助く》と言うてな…。 ハハハ。」



 「驚異的な耳をお持ちなんですね!?」

 「大事故に至らなくてよかったじゃろう。」



 走行中の列車の異音に気付き、事故を未然に防いだなんて、
さすがです。




 「だから私たちの会話も聞こえたんですね、厚い扉を通して。
それなら、音楽も耳に入ったんじゃないですか?」

 先生が口にするのは、鉄道、列車の話題ばかりですから…。



 「何となく聞き覚えのある調べではあったがね。 だが
テンポはとろいし、ワシの思い描いた、理想の響きとは、
ほど遠いな。 …まぁ、世界中のあちこちで、おんなじ
ようなことは起こっているがね。 通常はテンポが、逆に
速すぎるんじゃが…。」

 とにかく私たちもまだまだです。




 「溢れる歌心。 親しみやすく、自然に流れる、先生の
音楽。 熱烈なファンが多いですよ、日本でも。 その
一方で、素材を実に巧みに扱ってるんですから。 言わば
"横と縦の調和"。 ブラームス先生が高く評価なさるのも
無理ないですよね? 『あまりにも職人的だ』と言う人も
いますが。」

 「…、…、…!」




 「そう言えば、先生は Viola を弾いておられたんですよね?
歌劇場で、お若い頃は。 それなのに何だって、こんなに
弾きにくいパッセジを書くんですか!?  ご自分では。 聞いて
いると快適ですが、楽譜を見ると散々です。 だって、高音域
の跳躍を、嬰へ長調でやらされたり。 それにあの、♭が7つ
イ短調!! 頭が変になりますよ…。」




 「…作曲家となると、また事情は違うんじゃよ…。 観念
して励むんだな。 それよりお前は、普段からバカなこと
ばかり書きおって…! なるほど、頭がだのー。」

 「…、…、…。」

 「"汚水溝居邪狗" とは、一体何だね! 失礼な…。」




 「…、ご存じだったんですか…。 申しわけありません。
実はあれ、ウチのまるチャンが落っこったときのことで…。」

 「弁解は無用じゃ。 でも、ワシならこう書くがね。
"土掘爺焼"! どうかな…?」



 「面白いですよ…。 やはり焚火ですか? でも、何を
焼くのかな、地面まで掘って…。」

 「解らんかね? では、四択クイズじゃ。 ただし、ページ
の最後をクリックしても正解は書いてないぞ。」

未熟な自作の楽譜 ② 甘藷 ③ 焼き餅 ④ 焼鳥



 「ちなみに、②は何のことか、解るかな? サツマイモ、
つまり焼き芋のことじゃ。」




 「もう一つ思い付いたよ! "怒暴利邪悪" ! ちょっと
品が無いかな…。」

 「…?…??」

 「分らんのかね? 悪徳バーのことだよ。 土曜日は
特別料金をふっかけてくるじゃろうが。 "ボル" は暴利
から来た言葉なのを、知らんのかね?」



 「先生、今の日本は "ハナ金"。 ずいぶん変わったん
ですが…。 変わらないのは先生の人気だけですよ!
ひと頃は、どの小学校でも『家路』のメロディーが鳴り
出したものです、夕方になると。 それで一緒に下校
するんです、歌いながら。 《遠き山に陽が落ちてー》。」

 「ほう、夕暮れ時か…。 だがサラリーマンは、電車に
乗っても、どうせ家路とは反対方向に向かうんだろう。
知ってるぞ? 焼鳥片手に酔いつぶれてな! ハハ。
気晴らしも善かろうが、もっと家庭本位に、オヤコ
ドンドンやらんとな。」



 「…! それどころか、中にはステージ上で寝ちゃう
人もいますよ。 こともあろうに "寝春" 奏者なんです。
ほら、焼鳥モッてない皿を両手にモッたまま…。
先生もハツ耳でしょうね? カワいそうなことに、
"世界から" 目覚めなカッたらしいんですよ。」



 「実に下らん…。 誰かが不寝番 (ふシンバん) して、
ニラんでいレバよかったのに…。 指揮者は一体
何をしてタンだね?」

 「先に自分の仕事を終えて帰っちゃっタンです。」

 「おや、ソウタイ…。 そんな話は聞いタコとがない。
演奏が消化不良では、作曲家はイカイヨウになるよ。
交響曲など、もうツクぇぞ…。」

 「まあまあ…。 第10番は、ぜひ "変胃腸調" でお願い
しますよ。 ヘイコウ調の "単調" でも、もちろん結構
ですが…。」

 「いや、これ以上ナンコつクロウとも、苦労が報われん。
ワシのキュゥキョクの交響曲だったからな。」




 ふと時計を見ると、残り時間も僅か。 時の経つこと
矢の如しです。 先生も仕方なく、私のレヴェルに話を
合わせてくれたようです。




 「すっかり話し込んでしまったよ。 そろそろ帰ると
しようかな。」

 「先生も家路に着かれるんですか…。 本当は
焼鳥屋へお連れしたいところなんですが、どうか
お気を付けて。 で、どちらの方へ?」

 「うーん。 一人で提灯は、信号だしな…。
安全とは聞いておるが、ボラれんとも限らん。」




 「一気にアメリカまで飛ばれては、いかがですか?
ヒューストンに行けば、曾孫の Kevin さんが迎えに
来ますよ。」

 「誰だって? 孫ならいるが、まだ生まれたばかりだぞ?」

 「チェリストですよ。 お若い頃の Kevin さんに、お目
にかかったことがあるんです。 とても人懐っこくて、
ハンサムな方でしたよ
、先生に似て。」




 「お世辞はもういい。 じゃ、失礼するぞ。 シンカンセン
は、またの機会にしよう。 じゃあ、せいぜい五人で楽しく
やるんだな。」




 椅子から立ち上がり、厚い防音扉へ音も無く近づくと、
もう先生の姿はありませんでした。




  (この項終わり)




 音源です。



楽章  Allegro non tanto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (1st mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 1



楽章  Alegro vivo

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (2nd mvt)



楽章  Larghetto

  [A. Dvořák: Smyčcový kvintet Es dur, III. věta

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (3rd mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 3



楽章  Allegro giusto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (4th mvt)

  [Dvorak-Quinteto op. 97, em mi bemol maior, para cordas

  [WHF2009-Groups-HCI from King`s College(HK)



芸は身を助く

2010-04-28 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

04/28 私の音楽仲間 (163) ~ 私の室内楽仲間たち (143)



   Dvořák の弦楽五重奏曲第3番変ホ長調 作品97




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   この集いは、すでに何度かお読みいただいているグループです。

         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 東海道新幹線が営業を始めたのは1964年。 東京
オリンピック
の年です。

 開業当時 "3時間10分" (最短) かかっていた、東京~
新大阪間は、2010年春現在、"2時間25分" まで短縮
されています。



 それまでは、今で言う "在来線" の特急、急行に頼って
いたわけですが、大変な時間がかかりました。 幼い頃
の私が、ほぼ同じ距離の京都まで東京から旅したとき
(510km)、急行で9時間かかったのを覚えています。
1961年秋のことでした。

 私は別に "鉄道ファン" というほどではありませんでした
が、「東京~大阪間は 550km だよな?」と、友人同士で
覚えていたものです。




 「500~600キロの距離なら、少なくとも半日はかかるの
では? どう考えてもな。 ワシの経験によれば。」

 謎の先生がそう驚いておられたのも、無理はありません。
もしそれが100年前のことなら、なおさらです。




 「先生! 先生はシベリア鉄道より、アメリカの運行
ダイヤの方が詳しいんじゃないんですか?」



 「…なんじゃね? ワシはアメリカ人ではないぞ…。」

 「まあ、何でもいいじゃないですか。 先生は大の鉄道
ファンで、アメリカでも時刻表を全部覚えておられたんだ
そうですから。」

 「…、…。」



 先生が沈黙してしまうと、こちらとしては面白くありません。
何とかして、話を引き出さなければ…。



 「でも先生。 路線の数は、どうせ一つだけだったんで
しょ? 駅の数も、運行本数だって、今の日本とは…。」




 「…ちょっと待て! 到着や出発の時刻だけではないぞ。
停車時間、編成や連結両数、車両の型式まで、全部覚え
ておったんだからな。 バカの一つ覚えみたいな、お前の
"550km" とは、ものが違うわい。」



 「…そ、それは凄い! で、やっぱりアイオワ周辺の話
ですか?」

 「…、…。」



 先生は、手にしたコーヒーを一気に飲み干しました。




 「それどころか、まで正確に覚えていたわい。」



 「?? 音って、通り過ぎる列車の音程ですか? 先生は
時間になると、必ず線路のそばに近寄ってきた。 だから、
先生を見ていると時計代わりになった、そう聞きましたけど。
それって、わざわざ音を聞きにいらしたんですか?」

 「いやいや、そうではない! 自分が毎日乗る車両の、
走行音じゃよ。」



 「そんなの覚えて、一体何の役に立つんですか…?
解った! きっと作曲の題材にしようとなさったんで
しょう!? 『パシフィック231』みたいに。 惜しいな!
蒸気機関車の音楽が、もっと前に出来ていたかも
しれないのに。 何十年も…。」


 

 「ヒトの話は最後まで聴きなさい。 列車に乗りながら、
よく耳を澄ましてみたんじゃ。 するとな、いつもは聞こえ
ないはずの、甲高い成分の音が、雑音に混じって聞こえ
たんだよ、その日に限ってな。 と言っても、ごく、かすか
な異音じゃよ?」

 「…、…。」

 「それで、車掌にすぐ報告してな、点検させたところ…。
一体、どうだったと思う?」

 「いいえ、…、解りません…。」




 「解らんじゃろうな、お前には。 列車を停めて点検して
みるとな、さっそく故障の箇所が見つかったんじゃよ。

 「…。」



 「ハハハ。 《芸は身を助く》と言うてな…。 お前も
故障だらけの自分の雑音を、よく聴いてみることじゃ。
命取りにならんうちにな。」




  (続く)




 音源です。



楽章  Allegro non tanto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (1st mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 1



楽章  Alegro vivo

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (2nd mvt)



楽章  Larghetto

  [A. Dvořák: Smyčcový kvintet Es dur, III. věta

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (3rd mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 3



楽章  Allegro giusto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (4th mvt)

  [Dvorak-Quinteto op. 97, em mi bemol maior, para cordas

  [WHF2009-Groups-HCI from King`s College(HK)



地獄耳

2010-04-27 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

04/27 私の音楽仲間 (162) ~ 私の室内楽仲間たち (142)



   Dvořák の弦楽五重奏曲第3番変ホ長調 作品97




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   この集いは、すでに何度かお読みいただいているグループです。

         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 「それは、こちらの方です。 CS.さんですよ。」



 …そう私は答えました。 いきなり部屋に入ってきた
人物が、こう尋ねたからです。

 「誰が鉄道の旅をして来たって?」



 それは、CS.さんが弾き終わり、「新幹線代の元が
取れましたよ。 あんまり楽しくて!」と口にした直後
のことでした。




 (何だろう? この人。 ただの "てつお" クン? 今、
はやりの。)

 私の仲間も、そう思っているようです。 みな怪訝な
顔で。 …何しろ部屋に入って来るなり挨拶もせずに、
いきなり鉄道の旅について質問し始めるのですから。

 なるほど。 もし鉄道ファンで熱心な方なら、CS.さん
が一体どんな経路で、どんな列車に乗ってきたのか?
きっと尋ねたくなるかも知れませんね…。



 しかし、部屋に入って来たタイミングが、あまりにも
良すぎます。

 それに、私たちの会話が聞こえでもしたのでしょう
か? 厚い、防音扉を通して。

 まさか幽霊では…!




 「貴方も鉄道で来られたんですか? ここまで。」
そう私が尋ねると、彼は首を横に振りました。

 「じゃあ、飛行機?」 私は続けました。 なぜなら、
どう見ても外国の方だからです。 顔色と言い、口の
周りに蓄えた髭と言い…。



 「いや、船でも飛行機でもスペース シャトルでもないぞ!」



 私たちは、一瞬顔を見合わせました。 宇宙人…?




 「とにかく、いいところへお出でになりました、先生。
ちょうど休憩に入るところです。 紅茶とコーヒーと、
どちらがよろしいですか?」



 「…。 それで、今朝出てきたそうだが…。 どのぐらい
遠くから来たのかね?」

 先生は私の質問に答えずに、ひたすら尋ね続けます。



 「そうですね、どのぐらいかな。 500~600キロは
ありますよね? CS.さん。 少なくとも。」

 黙ってコーヒーを差し出すCS.さんに尋ねながら、
私が勝手に答えます。

 (でも、"キロ" と言っても通じるのかな…?)




 「そんなに速いのかね! 半日はかかるんでは?
どう考えても。 ワシの経験によれば。」

 「…いいえ、今は新幹線だってありますから。 …CS.
さんだって、それに乗り継いで来られたんですよ。」



 「シンカンセン、…! そうか、有名な…。」

 「ええ、あの TGV の元祖みたいなものですよ。 先生の
お国には "IC" も走っていますが、ずっと速いですから。」



 「シンカンセン、シンカンセン。 ワシも一度、乗ってみたい
と思ってるんだ。 ぜひ…。」




 「そう言えば、先生のおられたアメリカでも、高速鉄道の
計画が、現在はあるそうですね。」

 「…、…。」

 「…ニューヨークまでだと、どのぐらいかかりますかね、
アイオワからは…!?」



 私は思い着きを言って、相手の様子を窺いました。
"アイオワ" と聞いて、目が一瞬動いたようですが、
すぐ元の表情に戻り、コーヒーカップを引き寄せると、
また先生は質問を始めます。




 「ところで、日本の鉄道は正確かね?」

 「運行ダイヤですか? それはそれは世界一です。」



 「そうかね。 昔のシベリア鉄道はな、どうしようもないほど
ひどかった。 とにかく、いくら待っても来ないんだからね。」



 ("昔" って、いつ頃のことを言ってるんだろう…? それに、
なぜ "シベリア" の話なんか、唐突に始めるのかな?)

 誰もがそう思ったためか、互いに顔を見合わせました。




 でも先生は構わずに続けます。

 「ところがだな、あるとき、列車がやってきたんだよ、
時刻表ピッタリにね。 1分と違わずにな…。」



 「それは、たまには、そういうこともあるでしょう…。」

 「まあ、聴きたまえ。 それは、一日前の列車だったんだ
よ、ハハハ…! ワシが見たわけじゃないんだがね…?」




 初めて表情が和んだ先生。 やっとカップを手に取り、
コーヒーを一口すすり、破顔一笑。 目が細まります。

 少しは、ご機嫌が良くなったのでしょうか?



 それにしても、話は "鉄道" に関してだけ。 あの厚い
扉を通して、私たちの会話の内容を把握できたわけです
から、演奏していた音楽だって聞こえたはずですが…。

 でも、演奏については、一切話題にしてくれません。
音楽には、まったく興味無いのでしょうか。 それとも、
私たちの奏でていたのは、"音楽" とは言えないから
でしょうか…?




 休憩は、まだ始まったばかり…。 とにかく、もう少し
大先生のお話を拝聴しなければならないようです。

 気が付いてみると、部屋の使用時間は、もう半分以下
しか残されていません。




  (続く)




 音源です。



楽章  Allegro non tanto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (1st mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 1



楽章  Alegro vivo

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (2nd mvt)



楽章  Larghetto

  [A. Dvořák: Smyčcový kvintet Es dur, III. věta

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (3rd mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 3



楽章  Allegro giusto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (4th mvt)

  [Dvorak-Quinteto op. 97, em mi bemol maior, para cordas

  [WHF2009-Groups-HCI from King`s College(HK)



東京クインテット?

2010-04-26 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

04/26 私の音楽仲間 (161) ~ 私の室内楽仲間たち (141)



   Dvořák の弦楽五重奏曲第3番変ホ長調 作品97




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              (143) 芸は身を助く
              (144) 家路
 




   この集いは、すでに何度かお読みいただいているグループです。

         これまでの 『私の室内楽仲間たち』




 私、CS.さん、Sa.さんと.さん、Sa.さんで挑戦
した、"Antonín Leopold Dvořák (ドヴォルジャーク)
の弦楽五重奏曲。




 一とおり弾き終わり、「この曲は Viola が活躍するんですね!?」
と、チェロのSa.さん。

 「そう、Viola がおいしいんです。 特に ViolaⅡが!」と答える
のは、ViolaⅠを担当した、お世話係のSa.さん。 この曲をよく
ご存知です。

 それを聞いてにっこり笑うのが、ViolaⅡのS.さん。 スコア
を傍らにしておられます。 やはりこの曲を何度か体験して
おられると見受けました。 それは今までの弾きっぷりや、
落ち着いた態度からも、何となくわかります。




 …そんな観察眼だけは長けている私。 なるほど、Viola が2本
使われているだけあって、主導権が Viola に委ねられている場合
が、この曲では多いようです。

 逆に言えば、私はヒマ…? …とも決して言えないのですが。



 でも、現に4つの楽章のうち、出だしから弾き始めるのは最後の
楽章だけなのです。 「最初は何もしないで、途中から音楽に乗れ
ばいいな…。」 これは心理的にかなり楽です。

 第Ⅲ楽章などは、最初も最後も音符がありません。 それぞれ
23小節間、5小節間に亘ってお休みです。 テンポがゆっくりなの
で、睡眠不足だと、仲間の音を聞きながら寝入ってしまいそうです。




 一方 ViolaⅠには、第Ⅱ楽章で長いソロがあります、38小節間
の。 私のパートは、さらにその前に9小節の休みがあるので、
通算47小節間、何もしないでいいのです。

 曲も知らず、数える自信も無い私は、したがって聞きながら、
以下のように声を出して頼む有様です。 「すみません、5番
(練習番号) になったら教えてください…!」



 別に寝入っていたわけではないのですが…。 飽くまでも、
失敗による練習時間の無駄を防ぐ建前からですよ…(??)




 そんな様子を目にしながら、黙々とアンサンブルに専念して
いるのが、ViolinⅡを担当したCS.さんです。

 そのCS.さん、実はこの日のために、遠方まで駆けつけて
くれたのです。




 私たちのこの室内楽の集いは、東京都23区内の、さる場所
で持たれているものです。 もろちん、参加者は東京の住民に
限りません。 横浜方面からも、数多くの仲間たちが。

 また東京都ではあっても、何度も乗り継ぎ、長時間をかけて
通って来る方もおられます。 日の出町(まち) I.さん (Viola)
のように。



 では、このCS.さんはどうかと言えば、東京圏近郊にお住まい
ではありません。 また関東地方の方でもありません。 何時間
もかけて、この場に参加されました。

 「新幹線代の元が取れましたよ。 あんまり楽しくてね!」と、
この日、私たちに言っておられました。

 果して、本当にそうだったのでしょうか…?




 「東京クインテットに参加できて光栄です!」 CS.さんは
そう言いながら、この場にやって来られました。

 …と言っても、お迎えした我々四人が、固定メンバーの
"東京カルテット" というわけではありません。 この日の
組み合わせも、偶然の産物です。



 それよりCS.さん、何百キロも、鉄道の旅をして到着され
ました。 この後は東京に一泊し、翌朝に帰郷されるのだ
そうです。 いくら音楽を愛しているとは言っても、誰もが
簡単に出来ることではありません。




 私たち5人が全曲を弾き終わり、休憩に入りながら、そんな
やり取りを始めたときのことです。 練習室の、厚い防音扉を
ノックする音がしました。

 「誰だろう?」 今日は、遅刻して来られる予定の方はいない
はずです。 この Dvořák の曲の後も、曲目はやはり五重奏曲
が組まれています。 6人目なんて、お呼びでははありません。



 重い扉を開けて入ってきた人物。 それは、私たちの
メンバーではありませんでした。

 でも、どこか見慣れた顔の方です。 ひょっとして…?

 でも…。 そんなはずは…。




 「誰が鉄道の旅をして来たって?」

 それが、彼の第一声でした。




  (続く)




 音源です。



楽章  Allegro non tanto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (1st mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 1



楽章  Alegro vivo

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (2nd mvt)



楽章  Larghetto

  [A. Dvořák: Smyčcový kvintet Es dur, III. věta

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (3rd mvt)

  [Dvorak, American Quintet Op. 97, Movement 3



楽章  Allegro giusto

  [A. Dvořák: String quintet No. 3 (4th mvt)

  [Dvorak-Quinteto op. 97, em mi bemol maior, para cordas

  [WHF2009-Groups-HCI from King`s College(HK)