MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

老人ホームで (7) 歌は表現

2009-06-17 00:11:10 | その他の音楽記事

06/17    老人ホームで (7) 歌は表現




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 次の曲は、ゴセックの『タンブーラン』です。


 ゴセックと聞けば、どなたも真っ先に思い浮かべるのが
ガヴォット』でしょう。


  [音源ページ



 「ゴセックと言うと有名な曲がありますが、これはみなさん、
ご存知でしょうか…?」


 そう言って私がガヴォットを弾き始めたときです。 ほぼ同時に
軽やかな歌声が! 透き通るような女性の声です。

 一つの同じメロディーが、歌と Violin で、しばらく続きました。
とても長く感じましたが、実際は10秒ほどのことだったでしょう。


 それがどちらの方向から聞こえてきたのか? また、どなた
の声だったのかはわかりませんでした。 「目でも合わせれば
よかったな…。」 そんな思いが後から湧いてきました。

 しかし考えれば考えるほど、私にはこれは素晴らしいことの
ように思えてなりません。




 もしかすると、その方にとって特に思い出の深い曲だったから
なのか? あるいは大好きな曲なのに、何十年間も耳にして
いなかったのかもしれませんね…。

 その嬉しさが思わぬきっかけで、堰を切ったように歌となって
流れ出たのか…。


 あとから知ったのですが、利用者の皆さんが (聞き手の立場で)
"日頃耳にする音楽" と言えば、せいぜい "テレビから流れ
出る音
" だけだというのです…。


 歌声は誰にも強制されないし、また周囲をはばかったり、
「あとから何か注意を受けるのではないか」などと考えたら、
声など出せません。 その意味では、この方の声ほど、喜び
に溢れた自発的な歌は無いでしょう。


 この予定外の出来事はまた、演奏する私たちを力づけてくれた
ように思います。 "格調の高い"、あるいは "敷居の高い" 演奏会
では、まず体験できない、"聴衆からの反応" だったからです。



 さて、この直後に演奏した曲は、④ ゴセックの "タンブーラン"
(太鼓) でした。 延々と続く、同じ音程の低音のリズムは、まさに
太鼓を思わせます。


 [タンブーラン 音源ページ




 次は ⑤ 『アニー・ローリー』。 日本でも古くから親しまれて
いる、スコットランドの曲です。



  参考サイト [世界の民謡・童謡] より [アニー・ローリー



  [音源ページ


    [Durbin sings ANNIE LAURIE/mp3


    [Mitch Miller. Annie Laurie. Auld Lang Syne


    [A Tree Grows in Brooklyn "Annie Laurie"


    [Organist Andrew Unsworth



    [オカリナ/コンドル・サカタさん
            ピアノ/コジマナオミさん



    [performed by Jed Marum on a Larrivee J10




 このスコットランドの曲は、先日、別の場で取り上げた
アイルランドの曲、"The Last Rose of Summer" (『庭の千草』)
と並んで、わが国でも古くから親しまれています。



 プログラムもいよいよ終わりに近づき、あと2曲を残す
だけになりました。



  (続く)