今日取り上げようとしているのはテナー・サックス・プレイヤーのデクスター・ゴードンです。ジャズ・プレイヤーについて書くのは3人目ですが、偶然なのか、気になるのはどのプレイヤーも薬中毒になり、若死にしていることです。このデクスター・ゴードンも若死にはしていないものの薬で身を持ち崩した経験があります。華々しくデビューしこれからという時に、1952年ヘロイン所持で投獄、55年に仮釈放されたものの麻薬を断ち切ることができず、再び投獄という人生を送っているのです。
これまで私が書いたソニー・クラーク、リー・モーガン、いずれも麻薬との関わりがあったのでこの人もそうなのか…と思ってしまうのです。私はジャズ初心者なのでほとんど詳しくはありません。無知に近いです。ですが、手に取ったCD、いずれのミュージシャンも麻薬で一時的に音楽活動を断念せねばならない時期を経験しているとは、音楽と麻薬は切っても切れない関係性にあるんだろうなと想像してみてもいささか驚きの感は否めません。
そのデクスター・ゴードン、50年代は麻薬で棒に振った音楽生活であったものの奇跡の復活を見せジャズ史に刻むアルバム「ゴー!」を出して、その存在を見せつけたとか。その後はパリに渡り活動の舞台を本場アメリカから移したそうです。1986年には、ジャズ・ピアニストのパド・パウエルをモデルとした映画「ラウンド・ミッドナイト」で俳優としてもデビューし、いきなりアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたようで、私はその映画を見てはおりませんが、彼のテナー・サックスの音色の如く威風堂々とした演技を見せたんでしょうね。今度機会があればその映画も見てみたいものです。
「ゴー!」(Go)
Go | |
Blue Note Records | |
Blue Note Records |
ジャズというのは基本的にとっかかりにくいイメージがあって、さすがにアドリブを推し進めたフリー・ジャズとなるとかなり高度で難しくなってきて、ああ、わからん!雑音じゃ、となってしまう部分があるのですが、逆にそうではなく、広く人気のあった曲というのは、ジャズという分野でもどこか万人に受け入れられるようなものを持っていると感じさせてくれます。まさしくデクスター・ゴードンのこのアルバムに入っている「Chese Cake」は、そんな曲なのではないかと思います。わかりやすメロディもすんなり入ってくるし、その後のアドリブもいい感じです。何よりもゴードンは懐の深さと豪快な感じが大人って感じを抱かさせてくれますね。
①Chese Cake ②I Guess I'll Hang My Tears Out to Dry ③Second Balcony Jump ④Love For Sale ⑤Where Are You ⑥Three O'Clock In The Morning
デクスター・ゴードン(ts)、ソニー・クラーク(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)
1962年
「デクスター・ブロウズ・ホット・アンド・クール」(Blows Hot and Cool)
Blows Hot and Cool | |
Fresh Sounds Spain | |
Fresh Sounds Spain |
デクスター・ゴードンは、先にも書いたように私が大人のジャズだなあと印象づけてくれる音楽を奏でます。ゴードンのサックスの音色は余裕のある豪快なイメージがして懐の深さを感じさせてくれる音楽を聴かせてくれるため、それが私に大人のジャズという印象を抱かすのかもしれません(それと煙も漂うジャケットもいい。これも大人感がある?)。特にバラードがよく「Cry Me A River」はホント大人の雰囲気を感じさせ、私もすっかり中年の域にはまっており、こんなムードを醸し出せるのかな~?と嫉妬さえ感じます。6曲目の「Bonna Rue」ではアドリブでポパイのテーマ曲が入るというサービスもあり、その意外性がうれしいですね。
①Silver Plated ②Cry Me A River ③Rhythm Mad ④Don't Worry About Me ⑤I Hear Music ⑥Bonna Rue ⑦I Should Care ⑧Blowin' For Dootsie ⑨Tenderly
デクスター・ゴードン(ts)、ジミー・ロビンソン(tp)、カール・パーキンス(p)、リロイ・ウ゛ィネガー(b)、チャック・トンプソン(ds)
1955年
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