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林真理子の「野心のすすめ」が売れているといいます。私も著者名とタイトルに惹かれてその本を買ってしまいました。読んで見ると、まあ、あたりまえとは言い過ぎかもしれませんが、極端なことを書いているわけではありませんでした。むしろ、現代の若者達が野心を持って社会を生きてやろうという人が少ない印象を受けるのでハッパをかける意味で、ご自身の具体的な事例とハードルを高くせず、わかりやすく書いたという感じを持ちました。私の感想として、きっと著者はこの満ち足りた世界に住む現代の若者達を見て、野心の少なさに憂え、この国の行く末を気にしているんだろうなと思いました。やる気と気概と根性とか負けん気とかそうした前に向かっていく気持ちよりも、癒しとか優しさ、調和、無理しないという言葉が言われる世の中で草食系男子が増えている現象に対しハッパをかけているのでしょう。しかし、そこはそれだけではない側面もあるのも真理でして。
確かに野心という言葉を言いたくなるような閉塞感やムードはこの現代には蔓延していると思います。日本自身が弱体化しているような気がしてなりません。ちょっとしたことでめげてしまう、くじけてしまう若者が増えているように思えてなりません。ただ、今時の若い者は…と年配者から言われるのは世の常であり、私が若い頃もそのように言われてきたということもある。そこは一方で彼等を信じてあげるということも必要なのですが、如何せん、我々以上に過保護に育ってしまっているため、障壁に対する免疫力が弱いようにも感じるし。しかし、この就職難、就職氷河期を見る限り右肩上がりで来た世代がエラソーに言えるのか?とも思いますし…。その評価は揺れるばかりです。なぜならこの本の言葉はお前はどうなんだと反芻することができるから。なので、自分のことは棚に上げるとするならば、林真理子さんが発言を投げかけてくれて奮発する若者が一人でも多くなってくれば、これからの日本もまんざらではないよと期待を持ちたいと勝手に無責任に思うのでした。
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野心のすすめ (講談社現代新書) |
林 真理子 | |
講談社 |
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