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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

近松門左衛門NO.30・・・歌舞伎絵巻「国性爺合戦」(文:橋本治&絵:岡田嘉夫)

2010-11-26 | 近松門左衛門

日本の文化をわかりやすく紹介したり、ボクらの世代では「桃尻娘」が著名な橋本治とネオ歌舞伎を標榜する劇団「花組芝居」の公演チラシのイラストが印象的な岡田嘉夫による近松門左衛門の「国性爺合戦」を大人向けの絵本にしたものです。昨日のとおり、国立劇場で歌舞伎「国性爺合戦」を見てきたばかりで、その体験も醒めぬうちの、二人の作家のコラボした本による歌舞伎の追体験となります(しかし、その酔いをさますかのような息子・海老蔵の事件が流れたのですがね・・・)。

 

歌舞伎では物語のすべてを上演したわけではないので、舞台化されていない部分が見えてきます。華清夫人の子供のこと、栴檀皇女が流れ着くまでのこと、和藤内には妻がいたこと、あるいは超自然的な神々しい力が働く部分もあるなどなど。舞台を見ていて、あれ?あの人はどうなったんだろうという疑問に答えるかのように人物相関図が浮かび上がり展開していきます。歌舞伎では途中で消えてしまった自分の目をえぐり出すことを裏切りの印とした李蹈天も後半に登場してきます。

 

原色も鮮やかな岡田の絵は、オール焦点、すべてが2次元に還元されているというか、まるで着物の刺繍か織物のような感じがして、一つの模様のような印象を与えます。話も非現実的なパワーが働くところもあり、よく寺院や神殿の柱や壁にみられるようなレリーフのような感じで、もとが実在の人物を題材にした人形浄瑠璃や歌舞伎の話というよりは、絵本という形式も相俟って太古の昔の神話的な話といった風でもあります。

 

ところで主人公の名前が、なんで和藤内という名前なのかな?と思っていたら、この本にそのことが書いてありました。つまり父は中国人、母は日本人なので<和でも唐でもない>という理由から和藤内ということであるそうで。これは独特のすごいネーミングだなと思いました。かつて日本は人の名前をつけるにあたり、そうした感性が働いていたんでしょうね。

 

 

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