
おすすめできないのでリンクはしない。画像のみ。
Kindleにて。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科で『幸福学』を講じる前野隆司教授の本。
慶応の教授になる前はキヤノンでエンジニアとして働いていたそうな。
まず初めに、タイトルに偽りありである。
脳についての具体的な話は「セロトニン」「オキシトシン」くらいしか出てこないし、無意識に至っては、いわゆる精神分析が扱うところの無意識は全く出てこない。
次に内容であるが、一言で言って「疑似科学的宗教本」、控えめに言って「(かなりスピリチュアル寄りの)自己啓発書」である。
著者自身も自覚しているようで、「ニュー・エイジ」に言及しつつ、(おい!)「本書では、スピリチュアル系の立場に対してはノーコメントとします。私は自然科学系の学者ですし(笑)」と書いている。(おいおい!)
否定しないのか! 笑ってる場合じゃないだろ!
さらには、スピリチュアル系の言葉は適切に翻訳しさえすれば、「科学や論理に何ら挑戦することなく、従来のスピリチュアル系の話を科学の中で語れるのではないかと思います」とまで言ってしまっている・・・。
困ったことにこの方、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科に在籍しているだけではなく、同研究科委員長でもあるのだ(何の委員か知らんけど)。
大丈夫か、慶應・・・。
「たとえば、「○○を売って儲けたい」と思うより、「○○を買ってくださったお客様に喜んでもらいたい」と思うほうが幸せ度は増します。」
これって典型的なブラック企業の経営者の思考法じゃないか?
あと、細かいことだが「的を得ている」というよくある間違いがある(正しくは「的を射る」)。
慶応の教授でもこのレベルなのだろうか?
百歩譲って、たまたま間違えたとして(理工系の人だしね)、この本の出版社は講談社なのである。
校正係はなにやってんだ?
トンデモ本だから手を抜いたのか?
また、これは意図的にそうしているのかもしれないのだが「損得感情」というのもある。
普通、『損得「勘定」』なのでは?
神経質すぎるかもしれないが、気になるものは仕方がない。
悪口ばかりもなんだから、いいところも言っておこう。
著者がブータンを訪れた際のこと。
「ガイドのウゲンさんと、あるお寺にお参りしたとき、 「自分のことだけでなく、みんなのことを祈るのがブータンのやり方です。大乗仏教ですからね」と言われました。はっとしました。日本の仏教も大乗仏教ですが、果たして日本の多くの人は、世界中の人々の幸せを祈っているでしょうか」。
「そんなわけで、私にとって最も印象的だったのは、ブータンとは、「人々が幸せな国」というよりも、「人々がみんなの幸せを願っている国」であるということでした」。
あれ? ブータンのいいところで、この本のいいところではない?(爆)
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