突然の訃報に驚いている。
音楽評論家の渋谷陽一氏が死去したとのこと。
まだ74歳だった。
2023年11月に脳出血を発症していたとのことだが、これも全く知らなかった。
リハビリを続けていたが、誤嚥性肺炎で死去。
この誤嚥性肺炎というのは、結局のところ身体の衰え、つまりは老衰であり天寿ということなのだろう。
渋谷氏といえば、私にとってはロックへの入門の導き手だった。
中学生のころ、その年頃の多くの人と同様に、私も音楽に興味を持ち始めた。
しかし、私が育った街は山奥で、レコード屋もなければ、FMラジオと言えばNHKしか聞こえないような環境だった。
そのNHKのFMの音楽番組で、毎週パーソナリティをしていたのが渋谷氏だった。
その軽妙な語り口は、ど田舎の少年にもとっつきやすく、毎週楽しみに聞いていたものだ。
そして、高校に入り、本格的に洋楽を聴き出して、氏の創刊した雑誌ロッキング・オンは私の第一の情報源となった。
もう当時すでに渋谷氏は編集長からは退いていて、唯一、「渋松対談」(渋谷氏とその盟友の松村雄策氏の対談)というコーナーだけ残っていた。
時は90年代。
ちょうどグランジ、オルタナティブ・ロックムーブメントの時期だった。
まだまだ、音楽では西洋コンプレックスが残っていた時代。
英米の最新のロックを追いかけることは、なかば強迫的なものでもあったと思う。
あの時代から、はや30数年。
いよいよ、あの時代の人でも、鬼籍に入られる方が出てきてしまった。
時の流れとはまさに残酷なものだ。
時は流れ、人々、ひいては世界は移り変わっていく。
音楽シーンも変わった。
ロックは死んでしまったようだが・・・。
自分の若かったころの記憶が、セピア色になりつつある。
人は老いる。
それは仕方のないことだ。
しかし、遣瀬のないものでもある。
またひとつ時代の切り替えが進んだ。
次は私の番だろうか。