Kindleにて。
Kindle版は2011年12月19日発行の第11刷を底本としているということで、当然のことながら当時とは世界情勢は激変し、本書の内容が当てはまらない点は多々ある。
本書が警鐘を鳴らす「アメリカ主導のTPP」がトランプによって反故にされ、著者の言う亡国の危機は遠ざかったかに見える。
しかし、そこには以前として「デフレ」が横たわっており、順風満帆には程遠い。
Yahooファイナンスで当時の為替レートを見てみたら1ドル=70円台。
リーマン・ショックからいまだ立ち直っていない状況での経済分析はおのずとある種の悲壮感を伴う熱情という矛盾めいた印象を残す。
読後感としては、アメリカが反故にしてくれたおかげで助かったとも言え、いまだに政府がTPPに固執するのはなんの目算あってのことだろうかといぶかしがらざるを得ない。
戦略なき政治の暴走(そこには行政官僚のミスリードがある)の果て、我々はどこにたどり着くのだろう?