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人生、消去法
世捨て人のつぶやき




本書は昨年10月19日発行で、著者は民間(岡三証券)から今年3月26日に日銀審議委員に就任したエコノミスト。


いわゆるリフレ派の一人として知られる。



ということで、どんな見識をお持ちなのかという興味から手にとって見た。



目次:
第1章 日本および世界経済の現状

第2章 財施再建論の転換

第3章 「消費税10%時代」の日本経済

第4章 日本の税のあり方をどのように考えるか?



コロナ禍に見舞われた今となっては、読むのが遅きに失した感は否めないが、得るところ大。



デフレ脱却を何よりも優先する観点から、著者は消費増税に反対。


財政出動も肯定。


逆進性や世代間格差を拡げる等の消費税の問題点を指摘し、増税後の日本社会の展望を示す。


この本が書かれた段階では、著者は消費増税の影響はじわじわと広がるものになると予想しているが、残念ながらこの点は外してしまった(10〜12月期GDP 年率換算−7.3%で、急激な影響。これは致し方ないか・・・)。



著者はMMTについては否定的で、代わりにFTPL(Fiscal Theory of the Price Level)という主流派経済学により親和的な理論を紹介してくれる。


これが、なかなか興味深く、詳しくは本書を読んでほしい。



日銀審議委員として、ぜひ活躍していただき、デフレを終わらせ、経済成長するような世の中にしてほしいと思う。


 


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はじめに断っておくが、これは愚痴である。



私には、85になる叔母がいる。


父の姉である(なお、父は82、私は45)。



叔母は一生独身を貫き通した。そういう人だ。


長らく一人暮らしを続けているが、年齢のこともあり、去年の初めに叔母は自動車運転免許を返納した。


叔母の家の徒歩圏の近所にはスーパーがなく(かつて20年くらい前まで一つだけあったがつぶれた)、叔母は車に乗って少し離れたところにあるスーパーに買い物に行っていた。


それが、免許返納でできなくなった。


で、叔母の兄弟が面倒を見ることになった。


弟である私の父と、さらにその下にいる一人の妹である。


ふたりとも叔母の家からは車で30分はかかるところに居住しており、そうそう頻繁に世話に行くこともできない。


しかも、私の父は82、妹の方の叔母も80近い年齢だ。


となると、必然的に私の出番となる。


仕方ないことなのだが、これがまた一仕事なのだ。


これまでのところ、なんとか1週間に一度くらいのペースでは行けているのだが、スーパーだけでなく、病院の通院も増え始め、じわじわと負担が増えてきている。


2月には白内障の手術で2回も入院したし、精神科の痴呆外来にも2ヶ月に一度くらいのペースで通っている。


父も協力してくれているのでまだ助かっているが、父も高齢なこともあり、今後は私の負担が増えるのは間違いないところだ。


困ったなぁ・・・


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Webで期間限定、全文無料公開(〜2020/4/12 19時まで)ということで話題になっていたので読んでみた。



文学的文章を読むのは久方ぶり。

村上春樹の『騎士団長殺し』を30ページほどで挫折して以来、文学的文章からは遠ざかってきた。



著者は素粒子物理学で博士号を持つイタリア人小説家。


本書は、コロナ禍に覆われたイタリアでの一種の時事エッセイ。


書かれた期間は2月初旬から3月までで、およそひと月前のものとなる。


序盤はさすが理系と思わせる理知的で数字を使った書きぶりだが、後半に差し掛かるにつれ、筆致は冷静なものの、その背後に不気味な不安さが覗き始める。


最後は静かな叫びとも祈りとも取れる、一連の「ぼくは忘れたくない」の繰り返しがヒリヒリとした読後感を残す。


 


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Twitterで知り合った哲学科出身という若者がクリスチャンで、この聖人を敬慕していることを知って、買ってみた。


思想の特徴は、自然への敬意、自然との一体感を持っているところ。

その点で、ヨハネ・パウロ2世によって、1980年、フランチェスコは「自然環境保護の聖人」とされている。

一般的に自然とは敵対的な関係になる傾向の強い西洋において、この思想は珍しいのではないだろうか。



信仰に生き、自らは完全な無一物として44年の(現代からすれば)短い一生を送ったこの聖人の姿には心動かされるものがある。



次は『聖フランシスコの小さき花』(永野藤夫 訳、サン パウロ 発行)というこの聖人の生涯の業績の中から精選された名詞選(後世に編まれた伝記的なもの)を読んでみようと思う。

Twitter上で、かの若者はこれを読み号泣したと語っていた。

さて、宗教的センスのない私にその精髄が読み取れるだろうか・・・



 
 


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中野剛志編による、自身と関岡英之・岩月浩二・東谷暁・村上正泰・施光恒・柴山桂太の七氏によるTPPについての批判的論考集。


2013年6月発行ということで、アメリカがTPPに加入することを前提として、アメリカ主導でTPPが強行されるという論調をとっているのは致し方ないところだろう。


しかし、トランプによってアメリカがTPPから撤退した今も、この書で展開される批判の眼目は古びていない。


つまり、TPPに代表される自由貿易の過剰なまでの推進は、つまるところ国家主権の切り売りにしかならないということである。


中でも重要なのはISD条項である。


岩月浩二氏が鋭く指摘するように、ISD条項は「憲法の根本原理である国民主権を外国投資家主権に変えてしまう」のだ。


氏はそれを「クーデター」と呼ぶ。


むべなるかな。


また、柴山桂太氏が

「事実、各国の通商政策の自由度が高く、国際的な資本移動の規制が強かった戦後のブレトン・ウッズ=GATT体制のほうが、国際経済は今よりも安定しており、経済成長率も高かった」

という指摘も銘記すべきであろう。



さて、では現在の視点から見ると、TPPとは誰が主導者なのだろうか?


これはよくわからない。


新自由主義者の国際的資本家といったところか。
(ディープステート? まさかね。そんな陰謀論)


アメリカが自国第一主義に舵を切り、早4年が経とうとしている。


イギリスはすでにEUを離脱した。


一見、日本は自由主義貿易を牽引しているように見えるが、果たしてこれはいいことなのだろうか?


今一度立ち止まって考えるのに、この一冊は一読の価値はあるだろう。


 


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