晴、13度、56%
義母が食べいというのものは、「バナナ」と「みかん」だけになりました。交互に手土産にしていましたが、このひと月、「みかん」は季節外れでありません。ポンカンやデコポンはありますが、皮をむく力もなく、義母が欲しいのは「みかん」です。そのみかんを見つけました!「トルコ産みかん」です。色、皮の感じは「ポンカン」に似てますが、匂いが「みかん」です。
「トルコ産みかん」を届けました。朝食後自室にいた義母に「みかんよ!」義母は「季節外れ」がもうわかっていません。ちょっと目を細めて頷きました。「冷蔵庫に入れといて。」と言います。「みかんは冷蔵庫でなくていいのよ。」と言うと「看護士がバナナを全部食べてしまった。」と繰り返します。自分のバナナを職員の人が食べていると思っているようです。認知症の一つです。「そうなのね、じゃあ冷蔵庫の上に置いとくよ。」と言いながら冷蔵庫を開けました。
皆さんも笑ってください。 何にもない空っぽの冷蔵庫に石鹸が一つ。私の大笑いにつられて義母も大笑い。「どうして冷蔵庫に石鹸を入れたの?」「看護士が取っていくから。」と言います。石鹸は残したまま、冷蔵庫のドアを閉めました。
これも認知症の一つです。大したことではありません。看護士は冷蔵庫の横の洗面台で自分のものを洗って、石鹸を持っていくのだと話します。「そうか、困ったね。」と笑いながら聞くと義母も笑います。笑うことが楽しそうに笑います。
小さな部屋の中に義母と私の笑い声。義母を横にして、「また来るね。」というと小さく手を振りながら笑っていた目から涙が溢れていました。「必ず来るよ、泣かないで。」
見舞う度にいっぱい笑ってもらおう、声を上げて笑うと長生きしてくれるように思います。帰りの車で石鹸一つを思い出していました。私も大笑い。