晴、12度、94%
夏の雨は涼しくなるかと喜ぶのですが、焼けたアスファルトに当たった雨は蒸気となってかえって暑さを呼びます。秋の雨は物悲しさを連れて来ます。冬の雨は雪ならまだしも濡れるのは真っ平と見てるだけでも寒さが感じます。春の雨は気温が低くとも柔らかさを含んでいます。
この数日雨です。身体も頭も優しい雨に任せてゆるりと歩みを弱めています。春雷を聞く雨もあれば、サメサメと細い雨が降る時もあります。夜中に聞く春雷は河辺に住んでいた頃の記憶につながります。そしてまた眠りに落ちました。そんな具合に雨の中、身体も頭もぼんやりしています。
雨滴がついた蕾や葉っぱが綺麗だと思える季節です。 薔薇の蕾が日に日に膨らんでいます。今年の花付きはどうだろうか?花が咲くまで私にはわかりません。レモンの蕾はなぜか赤い色をしています。 雨滴をつけて輝く姿は黄色いレモンの蕾とは思えません。数週間後には白い花となり芳香を放ちます。
一番咲きの薔薇が雨の重さで折れていました。まだ枝が十分に大輪の薔薇を支えるほど成長していません。柔らかな茎を手折り、部屋に活けました。 四季咲きのこの薔薇は春になると花びらの数を増し、香りも強くなります。薄い花びらは透けて、まるでオーガンジーのようです。
肌寒さを感じるので、デッキではなく座敷の縁側に腰を下ろしました。雨の音は聞こえません。目の前の石や葉に時折落ちる雨で降っていることを知ります。石も大きなマキの木肌も雨を吸ってしっとりと落ち着いた色合いになります。こういうとき雨の匂いを吸いたくなるのが不思議です。窓を開けて、柔らかな春の雨を身体中に満たしました。