気 楽 荘

趣味の事やら、日々の事、
思いつくままお気楽に。

(自作)フォ-サーズ→マイクロフォーサーズ用シフトアダプター

2014年10月24日 | 「 かめら 」
昨年7月中頃にフォ-サーズ→
マイクロフォーサーズアダプターを購入し
シフト機能付きのアダプターの製作を決めて
はや1年と3ヶ月。
ようやく完成した。

141024_18

最初に図面を引き始めてから
2度の設計変更、3度の修正、
更に新機能追加と結構かかってしまった。
苦労して完成したのだから完璧かというと、
少々問題あり。
だが、まぁ出来の悪い子ほどというぐらいだから
良しとしとこう。

8月に図面を起こしたときには
シフト・ティルトアダプターにするつもりだったが
すぐに、無理そうなのであきらめた。
シフトのみにしても、最初は一方向にスライドさせて、
それを90度回転させるつもりで設計した。

回転させる為のギミックを実現可能かどうかを
検証する為、試作をしてみたが
考えが甘かったようで無理だとわかった。
で、一回目の設計変更。
上下方向と左右方向にスライドさせることにした。
ところが、今までの方法を応用しようとすると
複雑なことになるので、加工が面倒。
ここで、二回目の設計変更。
アリ溝方式にする。

11月の後半に具体的な寸法を出す為
オリンパスのフォーサーズ用14-42mmを
3千円少々で購入。
ホコリ混入と書いてあったが、
自分では確認できない。(掘り出し物だったかも)
で、それを手持ちで上側にシフトして
ケラレの具合を確認したところ、
3.5mmぐらいでケラレがでるようだ。
なので、シフト量は4mmとして図面を修正。
レンズ側のマウント寸法も採寸し
図面に反映させる。

2月の初めにアリ溝用の刃を自作の刃物研磨器を使って自作した。

140325_1

140325_2

2本削るつもりが1本削るだけで疲れてしまった。
出来上がった刃を実際にみて、しかも予備がない
となると、シフト用のギミックの素材について
再考しなくてはならなくなった。
真鍮では折れが心配だし、
アルミでは自作刃の切れ味に問題がありそう。
樹脂素材で手軽に手に入り、安価で遮光性、
寸法安定性などを考えると、エンプラがいいのだが、
それなりのサイズのものは手に入りそうにない。
アクリルは遮光性や欠けの懸念があるし、
塩ビやポリカの板は透明がほとんどだし、
そうこうしていると、コーナンでこんな物をみつけた。

140423_CS1

これなら3.5mmぐらいの板が取れそうだ。
ふちをカットし平らな板に加工したが
3.5mmは無理で3.2mmの板しか取れなかった。
だが、懸念していた加工後の反りや歪みはなく
これならいけそうな気がする。(径も測ったようにちょうど良い)

だが、ここで図面の修正が必要になった。
最初、アリ溝の深さを1.5mmにするはずだったが
出来た板の厚み、自作刃の具合から
1.1mmに変更することにした。

しばらく、ほかの事をしていたので
触らずにいたこれを盆休みに二日間じっくり
加工を始めた。
(ガタつきや隙間が出来ては話にならないので
じっくり取り組めるまでおいておいた)

最初にアリ溝を図面寸法どおりに加工する。
これをゲージ代わりにして
アリ溝に嵌る凸部を加工。
凸部を削りだした板の片側から加工、100分の2ずつ
削ってはゲージで具合を確かめ、再び加工を繰り返し
ちょうど良い嵌り具合にする。(すこし渋いぐらい)
もう片方の内側を100分の2ずつ削り、
アリの凸部間の間隔を出す。
次は外側というように慎重に進める。
そうして出来上がったのがこれ。

141024_1

じっくり時間をかけたおかげで
自分の予想をはるかに超える
いいものが出来た。

140423_CS1

隙間やガタつきはまったくない。
こういう風にスライドします。

141024_4

中心部の形状と外周径を合わせる。

141024_5

141024_6

シフトのキモの部分が終わったので
金属パーツを削りだします。
その前にシフト用のパーツの仕上がり寸法を
計測したところ、0.1mmほど
薄くなっていたので、図面の寸法を
修正した。
ここで、シフト用パーツから
レンズマウント基準面までの間隔が
そこそこあるのをみて、むくむくと
アイデアが沸いてきた。

「ここを二重構造にして、
OM80mmマクロの時みたいに・・・」
で、機能追加の設計変更。

設計変更後、金属パーツの削り出し。
メッキ加工の代金が複数個で
同じことから中間リングのパーツも
同時に加工しました。

メッキ屋さんから帰ってきたパーツ。
(奥の3つがシフトアダプターの物)

141024_7

追加機能のパーツ。
軽量化と深溝加工があるので
アルミとジュラルミン(以前金物屋さんで
試しに購入したもの)のパーツ

141024_9

組み合わせてみた。

141024_10

フォーサーズ側の接点端子。
今回、一番苦労した部分。
銅の2mmの丸棒から削りだすのに
2個に1個の割合で失敗した。
その為、失敗した腹立たしさから
電源を切る際、勢いあまってリバースに
入れてしまい、続けざまにヒューズを
2個も飛ばしてしまった。

141024_8

端子に繋がるリード線は後に別のものに
換えた。(細ければいいというものではなかった)

それぞれのパーツを仮組みしてみた。

141024_11

2本のピンは回り止め。

仮組み完成

141024_12

寸法チェック
141024_13

19.3mmが正解なんだが、
0.02~0.03ほど厚い。
(オーバーインフぐらいの方がいいかも)
これは後から修正する。

ここに、端子とそれを繋ぐリード線が収まる・・・はず。

141024_14


端子を組み立て

141024_16

141024_17

で、完成品が最初の写真。

寸法チェック

141024_19

視差で19.3mmを超えているように
見えるかもしれませんが、きっちり出ています。

重さ

141024_20

ウラ

141024_25

オモテ

141024_226

シフト

141024_CS1

中間リング機能

141024_CS2

延長は1.8mmと3.6mm

レンズを付けてみた。

141024_CS3
(クリックで拡大)

シフトのテストは休日に行う予定だが、
中間リング機能のテストをしてみた。
ただし、画質テストでなく、
ピントの合う範囲と最短距離での被写体の
写る大きさを調べてみた。

14-40mmを装着した時のピントの合う範囲は
(レンズ先端から)
延長1.8mmで
14mmの時 約45mm~約110mm
最短時(Φ58mmレンズキャップ)

141024_32

42mmの時 約100mm~約970mm
最短時(Φ58mmレンズキャップ)

141024_33

延長3.6mmで
14mmの時 約20mm~約50mm
最短時(Φ58mmレンズキャップ)

141024_30

42mmの時 約50mm~約420mm
最短時(Φ58mmレンズキャップ)

141024_31

まぁ、そこそこ使えそうだ。
さて、問題箇所だが、
端子間のリード線が硬いようで
シフトでは問題ないが、
中間リング機能3.6mmを使用したとき、
端子がカメラ側に引っ張られて、
接触不良を起こすことがある。
その時は、一度外してリード線を
いじる必要がある。
1.8mmの時は問題ないのだが・・・。
どうしようもなくて改造をするとしたら、
リード線をモーターなどの中に入っている
エナメル線に交換する必要がある。
それも、めんどうだなぁ・・・。
まぁ、追加機能はおまけみたいなもんだし、
1.8mmが使えるからよしとしよう。
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