気 楽 荘

趣味の事やら、日々の事、
思いつくままお気楽に。

大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう

2017年03月09日 | 「 ぶんこ 」
久々に文庫本を一気に読み終えた。(実際には4日だが)
山本巧次著、宝島社文庫刊「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」を読んだ。
古本屋で手に取ったとき、今風の絵柄に「んー」と思ったが
裏の荒筋を読んで、「なかなか面白そうだ」と・・・。
でも、すぐに読む気はなく、小難しい作品の
合間に読むつもりだった。
で、中之島の図書館で借りた本を読み終えたので
カバーをつけて読み始めたら・・・。
帰りの電車の中だけでなく、けっこう楽しく読み進めた。
江戸の風俗や登場人物には
時代小説のような深さはないが
元々、現代の生活に疲れたOLが江戸に行ってのSFちっくな
話なのだから気にする方がおかしい。
で、一気読み(に近い)ということになった。

薬種問屋の藤屋の主人に頼まれた依頼は殺された息子の
汚名を晴らしてほしいというもの。
おゆうにしてみたら、惚れた同心鵜飼伝三郎の口利きでもあり、
ミステリーに傾倒していた優佳にとって謎解きをすることは
江戸で暮らす目的が自分探しの要素でもある自分にとって
むしろ好都合といった感がある。
さらに、現代に帰れば、分析を業務にしているベンチャー会社を
立ち上げた、たのもしい分析ヲタクの宇田川という男が
何も聞かずに協力してくれる。
ただ、化学分析の結果を江戸時代に合わせて伝えることに苦労するのだが・・。

この宇田川、最後の方に優佳に冷や水をかけるという
侮れないやつなんだがなかなか魅力的な役処ではある。
さらに、ラストに披露されるスピンオフ的な話に
「おぉ、そうきたか」と楽しませてくれた。

藤屋の依頼がどんどん大きくなってく展開がよく出来ており、
SFちっくと書いたが、その部分だけで
まっとうな時代小説に仕立ててもちゃんと仕上がりそうな話だ。
それをこういう軽ぅーく今風に仕上げた妙はいい。
次回作もアリ的な終わり方で、あとがきにも
「全会一致で敢えて隠し玉に・・・」とあるので、
後はそれが何時になるかだけなんですが実際、楽しみです。
コメント
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