北嶋誠のブログ

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アルパコンサートと納涼会

2008年09月09日 23時35分44秒 | Weblog
 茨城視覚障害者の生活と権利を守る会(茨城視生会)主催のアルパコンサートは、8月31日に水戸市の男女文化センター5fビヨンドで開かれた。

 50人が定員で、そう広くない多目的に使用できる部屋だが、予想を上回り定員いっぱいの参加となった。

 視覚障害者、特に中途失明者は落ち込んでいる人が多く、仕事や滑動には制限があるし、外出や移動なども敬遠しがちである。コンサートは良かれと思っても、運転手やらサポーターやらがいないと、なかなか参加することですら困難なのである。

 また一般市民に酸価を呼びかけるために、新聞などに宣伝を載せても必ず効果が上がる訳ではない。

 あいさつに立った大里会長は、「いつもは10人か15人くらいしか来てくれないのに、今日はたくさん来ていただいて」とご満悦であった。これで「もうやめようよ」などという口癖もなくなるかも知れませんね。

 演奏者はアルパを弾き始めてから7年目という中江さんという女性で、約1時間の演奏であったが、南米の音楽からポピュラー、日本の民謡童謡まで、達者な腕前を披露していただいた。

 このアルパという楽器は、いわゆるハープ(竪琴)の一種で、パラグアイハープやインディアンハープなどとも呼ばれる。現地では演奏者は主に男性で、女性はその演奏に合わせて民族衣装を纏ってダンスを踊るそうである。

 結果として、このアルパという楽器のコンサートとしては、それに相応しい会場の広さと観客数であったと思う。

 ラテン系の楽器だということなので、音色や曲調は想像したものに近いものであったが、意外に音量が大きく、野外での演奏むきであること、一本の楽器で幅広い演奏ができることなど、楽器と指導者さえ揃えば、この国でもポピュラーな楽器になり得るのではないだろうか。

 因みに雑花塾のメンバーで岐阜県のたぐちおさむさんは、沖縄の三線やハワイのウクレレに本格的に取り組んでマスターしているようであるが、このアルパも南米という南方系の楽器であるのできっと興味を示すのではないだろうか。

 アルパの演奏を鑑賞して心も癒やされたところで、いよいよお待ちかねの納涼会である。水戸駅周辺には茨城視生会御用達の店が多く、かなり荒らし回っているようである。この界隈では、盲導犬の入店を拒否するような不届きな店もないようである。

 この日は水戸駅ビル6階のお寿司屋さんが会場であった。

 思えば会員は、みんな元気な人たちである。大里会長は全盲で医師国家試験に合格し、現在は精神科医である。器種は何であったか忘れたが楽器演奏もやる。事務局の浅見さんは、盲学校の先生で、盲導犬のフェアとともに何処にでも出かける。霞ヶ浦マラソンなどにも伴走者つきで参加する視覚障害者マラソンランナーでもある。

 小泉さんは小学校の先生で、詩人でシンガーソングライターでもある。鍼灸院を営む村上さん夫妻はギターとフルートの演奏家で、定期演奏会も開いている。

 県内各地に点在する女性会員も活動的で社会参加に積極的である。

 だが話を聞いていると、こういう意思の強靭な人たちですら、生活していくことの困難さは誰しもが共通なものであり、だからこそこういう障害者自身による会と運動が必要で、バリアフリー社会を目指して行かなければならない、というところに、飲んで食べて愚痴をこぼしながらの話は落ち着いた。