僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

宇宙(ひろし)の夢 9日目

2006年07月04日 | SF小説ハートマン
GS-DSの大型スペースシップはPS(ペットサピエンス)計画に基づき、宇宙各地から圧倒的な武力にものを言わせて奴隷を狩っていた。奴隷となるべき宇宙人達は飼育コンテナに監禁され、貨物ブロックに隔離されている。
コマンダー達は帰還コースへのワープを数時間後に控え各持ち場の最終チェックを行っていた。。

飼育コンテナの中ではドラッグを投与された宇宙人達が無気力に、あるいは意識を失ってICUポッド(生命維持装置が接続された低温ベッド)に身を投げ出していた。
まだ元気な宇宙人はミクロバギーに酔い、皮膚を冷たい汗で光らせ、血走った目をギラギラとさせている。
監禁の際抵抗を試みた宇宙人はその場で脳に簡単なロボトミー手術を施されたらしく、白く混濁した目に光はない。
監視役のアンドロイド達はギガトリップで完全にハイになっている。

人間に最も近いE・Tアンドロイド(合成脳細胞の発明でヒューマンアンドロイドの飛躍的進歩を実現させた、エイキチ・タチバナの名前からこう呼ばれる)は監禁されている宇宙人達の悲惨な状況と自分に課せられた役割を心の中に整理する事ができず、トリプルチューンに手を出すものもいた。
彼らが監視している宇宙人達は、拉致される前まで自分のパートナーだったのだ。単純作業向けの汎用アンドロイドと違い、自らの脳で思考する彼らは、新たな命令をプログラムされても完全に別のアンドロイドにはなりきれない事が多い。葛藤のパルスが脳のサーキットを際限なく回り続けている。   つづく
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