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たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

まさかの苦行になってしまった足利・行道山。

2020年07月26日 | 近所の栃木県の山
◎2020年7月24日(金)

織姫神社上駐車場(8:52)……両崖山(9:29)……毘沙門天(10:51~11:00)……大岩山(11:24)……行道山(11:48~12:07)……両崖山(13:54)……駐車場(14:39)

 別に行道山に行きたかったわけではなかった。行くなら別の時季にする。休みで家に帰って来た息子が、明日は行道山に行くと言うので、先日行ったんじゃないのかと聞くと、足利市駅を出発して両崖山の先まで行ったところで、雨がひどくなったので天狗山を経由して帰って来た。行道山にはまだ行っていないとのこと。行道山にこだわりがあるらしい。彼は足利の中学校に通った。同級の友人も多い。足利に愛着があっても不思議ではない。
 最近拝見した身近な方のブログに、行道山に行くつもりがバテバテで両崖山で終わりにした記事があった。この時期では途中放棄も仕方がない。やはり夏の低山、里山は避けるべきと思っていただけに、まさにその行道山に息子が行きたいと言っているのでは、「じゃ、気をつけて行って来いよ。送り迎えしてやるから」と答えるのも何だし、付き合うことにした。別に息子はオレに同行を求めたわけではない。こちらとしては、長い梅雨になり、特に行きたい所もなかったし、ヒマつぶしにもなるかといった単純な理由からだった。
 実は、織姫神社と行道山の間を通しで歩いたことがない。大岩山まで行き、天狗山を経由して帰ったことはある。毘沙門天が目的だった。行道山そのものには、紅葉目当てに浄因寺からついでに行ったことが何回かある。だから、通しの歩きに少しは興味もあった。
 この区間を歩く一番楽なスタイルは、あしバスアッシーで浄因寺に行き、後は行道山に登って織姫神社に下りて来ることだろうが、最初から車で行くことしか頭にないから、面倒そうなこの歩き方は取れない。逆に、浄因寺まで下ってバスで帰れば楽かなと時刻表を調べると、9時台以降は15時台となり、どうもこれは使えない。車道を歩くのは嫌なので、往復歩き以外に想定はなかった。

 下の織姫神社の駐車場は満車。上の駐車場まで行った。時間短縮にはなるが、こだわりを考えれば織姫神社下からだろう。まぁ、息子は先日歩いているから、その続きと考えればこだわることもあるまい。上の駐車場にも車が結構あった。それだけハイカーが多いということになる。天気はどんより。いつ雨が落ちてきてもおかしくない気配。無風。気温はこの先も28℃前後で推移する。空気はじっとりしている。

(ここから歩く。息子は颯爽と歩いて行った)


 息子はさっさと行ってしまった。以降、行道山の手前100mまで会うことはなかった。これまでも一緒に歩いては、先でオレを待っているのが苦痛だったのだろう。気持ちは理解できる。こちらも、待たせているよりは、好きに歩いてもらった方が気が楽だ。どうせ、ピストン歩きだから途中で会うことになる。この先は一人歩きと何ら変わらない。行道山まで行かずとも、下山して来る息子と出会った時点で引き返してもいい。駐車場に着いた時点で、その漂う空気から、行道山まで行くことのこだわりは失せつつあり、山を歩ければそれでいいといった気分になっていた。

(このオジサンを抜いたり抜かれたり)


(両崖山)


(織姫神社の方かと思うが)


(こんなのが続く)


(展望地から)


(山頂下)


(なるほど)


(両崖山山頂)


(なぜか大黒天)


(唯一の山名板)


 両崖山までは特に問題はなかった。下って登るといったいやらしいところが二か所ほどあったが、さほどの息切れもなく着いた。やはり息子の姿はなかった。ここまでハイカーが何人もいたが、その中に、水筒も持たず、まったくの空身、半ズボン、運動靴で登るオジサンがいた。この方には途中で追い抜かれたが、何度か休んでいる間にこちらが先行といった具合で、山頂に着いたのはほぼ一緒だった。日常的に両崖山に来ているのかと聞くと、たまにとの返事。口数の少ないインテリ系のオジサンだった。この先、ハイカーの数は一気に減った。大方がこのまま下るか、天狗山経由で下るのだろう。現に、下山するハイカーの何人かと出会ってもいた。
 この両崖山、その存在を深くは知らなかった。前にも来ているのに、そんな観点から見ていたわけでもなかったが、山頂には神社があり、「足利城跡」の看板が置かれていて、その解説文を読み、なるほど、そういう山だったのかと納得する。「両崖」とはつまり、両(周囲)がガケという意味らしい。自然を生かした要害の城ということになるか。ただ、城跡に建てられたこの神社、雰囲気として古さを感じはするが、御嶽神社、日本武尊碑、三日月神社、天満宮…と並び、大黒様の石像まで置かれていて、ゴチャゴチャした神社だ。天気がこうだからなのか、ベンチもあるのに陰鬱な感じになってくる。少なくとも今日は長居したくない山頂だ。腰かけることもせず立ち休みをしただけ。そう感じるのは自分だけではないようで、ハイカーが多いわりに、休憩しているのは前後して到着した3人くらいのものだ。
 余談だ。先に駐車場に戻った息子がその辺にいた地元の人たちと雑談したら、この両崖山・天狗山コースでは毎年、遭難事故が発生していると言っていたそうだ。確かに、途中の岩場は脆く、事故もかなりあるだろうなとは思っていた。

(ここから苦行が始まる)


(どんどん下る)


(雷電神社分岐)


 さっさと先に行く。ここは関東ふれあい道。整備はされている。坂には階段もしっかりと設置されている。それはそれでズルっといく心配もなく助かるが、そのうちに、この階段の存在がうっとうしくなる。両崖山からは一旦下り、上りになる。これはどこでもあることだが、この上り下りが執拗に続く。やがて、階段がはるか上、視界の先まで続いているのを見るとうんざりするようになる。基本は上りではあるが、かなり下まで下るところもあって、帰りのことが気になってくる。その時点でまだ元気があればいいが、確実に足が攣ってしまうだろうパターンの歩道だ。
 それだけに、平坦な尾根の歩きになるとほっとする。これが長く続くこと、あるいは緩い上り一辺倒であって欲しいと願わずにはいられない。微風が横切った。ほっとするのも一瞬のこと。すでに大汗をかいていて、水の摂取がいつもより多い。帽子と全身が汗でぐっしょりになっている。まずいことに、手ぬぐいを2本、両ポケットに入れてきたのに、1本を途中でなくしてしまった。座り込んで休んだ雷電神社分岐で落としたようだ。1本は汗拭き、1本はメガネ拭きの役割にしていたのだが、落としたのはメガネ拭きの方。頭からメガネに落ちる汗を、絞れるほどの濡れた手ぬぐいで拭くとどういうことになるのか。レンズが白くなるのは明らか。メガネを外して歩いた。ザックの中にはタオルがある。これは帰路用に乾いたままで手をつけまい。

(右下に車道。ロープが張ってあるから下から登って来られるのだろう)


 右下に車道が見えた。軽トラが2台置かれている。こういうのは見たくもないが、里山歩きには付き物だ。せめて、車道歩きになるようなことは避けたい。地図を見ると、この車道は毘沙門天まで続いていて、横切るところもある。つまり、毘沙門天まで車で行って、軽く行道山という手も使えるということで、相変わらず上り下りが続いている状態では、ただのゴクロウサマ歩きをしている気分にもなり、むしろ車道を毘沙門天まで行った方が楽なのではないのかと思ったりもする。ここには「カタクリの里」という看板が置かれていて、添付された写真は階段伝いにカタクリが咲いているものだ。このカタクリ目的だけなら、わざわざ両崖山を経由せずとも、下の車道の路肩に車を止めてこの歩道に上がればいい。
 つい、ブツブツと文句だらけになってしまった。もうちょっと前向き思考になりたいが、汗だくの状態ではなかなか頭の切り替えも難しい。雨でも降ってくれれば体の良い途中棄権の理由にもなるが、先行している息子を放り出してさっさと下山するわけにもいくまい。
 ふれあい道の標識に記された距離を見る度に腹立たしくなる。ちっとも先に進んでいない。両崖山と毘沙門天との間は2.7km。まだその半分にも届いていない。さらに毘沙門天の先に行道山がある。

(車道の横切り)


(北関東道。奥に見えるのは金山だろう)


 とうとう車道横切りになった。車道に下ってまた登り返す。車道から見上げると、尾根が車道で分断されている。続いて、救急車のサイレンがやたらと聞こえると思ったら北関東自動車道の大岩トンネルの上。Go To トラベルキャンペーンに乗せられて渋滞やら事故に遭っているのでは気の毒としか言いようがない。まだ行道山歩きで大汗をかいてブツブツ言っている方が小市民的な感覚では賢明かもしれない。と言いながらも、あまり他人様のことを批判する立場ではないことは確かで、<愛郷ぐんまプロジェクト 泊まって! 応援キャンペーン>なるものがあって、群馬県民なら県内旅館の宿泊代5000円を県が補助というありがたい話に乗せられて四万温泉の宿を予約したはいいが、直前になって泊まれる都合がつかなくなり、キャンセルしたらキャンセル料をしっかりと取られた。こちらの方が何ともお目出度い。
 ベンチがあったので腰かけた。かなりいかれてきている。ここでザックの中のタオルでメガネを拭いて再びかけた。やはりメガネなしでは不便だった。ついでにそのタオルで顔の汗を拭いてしまったのがいけなかった。ザックには戻さず、首に巻くことになってしまった。そんなことをしている間に、健脚な感じのオバチャンがコンニチワと言って素通りして行った。感心して見送る。タイミングとしてはそろそろ出発しようかとしているところだったので、もう少し間を置いて出発。腰を上げると、ベンチの木は汗をかなり吸い取っていた。
 オバチャンにあっさりと追いついた。下りだった。追い越すと、次の登りで気まずい立場になりそうだ。どうしようかためらっていると、こちらの気配を察して、譲られてしまった。仕方なくお先にとなった。先の階段登りは大汗をかいてしまった。振り返ると、オバチャンとの距離はかなりの安全圏になっていてほっとした。その分、汗を流してタオルも濡れる一方になっただけだった。

(274.5m三角点)


 274.5m三角点ピーク通過。何とも半端なところにある三角点だ。後で調べると四等三角点・大岩。そういえば両崖山には三角点がなく、251m標高点だけ。しかしながら、両崖山からすでに一時間近く歩いているのに、23.5mしか標高を稼いでいないというのはどういうこっちゃ。その間、20m以上は登っては下る階段がいくつもあった。どうせこの先もそれが続く。現に目の前は下りになっている。下り切れば23.5mもチャラか。随分と酷な話だ。441.7mの行道山に行き着くのにどれだけ登って下ればいいのか。あっさりと167mだけの登りだけでは済ませてくれないのか。今はまだいいが、帰路を考えればどんどん気が滅入っていく。両崖山からたかが一時間足らずでこの変化。両崖山から先がえらくきつい。

(車道歩き。先で右に上がる)


(半端な石祠)


(車道終点)


 車道に下った。4人グループが向かいからやって来る。いずれも身軽な格好。半ズボンにサポーター巻き。トレランだろうか。山道に入るのか車道をそのまま下るのか、いつもなら確認もするのだが、もう振り向くこともしなかった。
 今度の車道は横切ることなく100mほどそのまま歩いた。山道再開に置かれたふれあい標識はようやく毘沙門天まで0.5kmとなった。ここもまた登り。そして、舗装した広場のような車道終点に出た。さすがにここに駐車する車はない。ベンチがあって展望台になっている。ここまで展望スポットはいくつかあったが、ここに至っても、足利の街並みの眺めは同じで、高い所から見下ろしているといった感じがまずはない。オバチャン1人と、ラーメンを食べているオッチャンがいる。
 取りあえず広場を直進すると、道は二分していて、右は浄因寺1.8kmとある。その他にも標識がいくつかあったが、どうせここに戻るのだからと、詳細は後回しにして左に曲がる車道のままに毘沙門天に向かった。

(毘沙門天へ)


(大岩山毘沙門天)


 突き当たりにも未舗装ながらも駐車場があり、車が3台。そこからバアチャンがザックを背負って歩いて来てうろうろしている。行道山にでも行くのだろうか。ここで車を見るとむなしくなる。見下ろしたり、横切ったり、直進した車道が舗装されてここまで延びている。毘沙門天に下る。後でこの歩きは失敗だったことを知る。当初から毘沙門天に寄る予定だったら、さっきの車道をそのまま歩いて行けば毘沙門天に行き着き、そのまま広場の分岐に戻ることができた。
 毘沙門天では二人のオッサンが社殿と庭の掃き掃除をしていて、コンニチワと声をかけられた。ベンチに腰かけ、菓子パンを食べながら神社を眺めていると、雨がポツリと落ちてきた。庭掃除係のオッサンに「雨が落ちてきましたね」というと「そうですか? これは昨日の雨ですよ」とのこと。こちらは「??」だ。その後、どうやって来たのかとかどこからとかといった世間話になったが、どうも話がかみ合わない。何か落ち着かず、もっとゆっくりしたかったが、早々に立ち上がった。今、考えると、水溜まりの水を掃いている時に雨の話をしたものだから、これは昨日の水溜まりだと言ったのかなと思ったりしている。結局、雨はそのまま止んだ。

(ここを息子は右から浄因寺に向かって周回したようだ。そんなことは知らずに左に上がる)


 分岐に戻る。振り返ると、ラーメンを食べていたオッチャンがベンチに横になって寝ているだけで、他にだれの姿もない。分岐に置かれた多くの標識を改めて確認する。右は浄因寺まで30分の近道。「巻道」とある。行道山は寺から回り込む形になる。左は大岩山を経由して行道山。浄因寺はその先となる。浄因寺に行くには90分。ここまで息子とは会っていない。どちらを歩いたのか。もしかすれば、毘沙門天にいる間に下って行ったのかもしれない。それならそれで携帯で連絡を寄こすだろう。確認はしていないが、街並みが見えるからには電波も届く範囲だろう。行道山に行くのが目的だから、ここは左道を選んだ。浄因寺にこの時季に行ってもしょうがないし、寝釈迦にこだわりもない。取りあえず行道山まで行き、息子に連絡を入れることにしよう。

(クネクネと登る)


(大岩山山頂。カメラはポケットに入れたまま。汗でレンズがくもっている)


 クネクネした急な登りになった。オッサン二人連れが下って来る。地図を見る限りは、行道山までは10mほどの下りが2か所ある程度だ。案外、これまでに比べて楽な歩きだ。途中で野山ハイキングコースが左に分かれる。この野山とはどこの山かと後で調べると、大岩山の南西にある296.9m三角点のピークが野山だった。
 「剣ヶ峰」の山名板のある小ピークに着いた。その下に「大岩山」の標識。自分には山名はどうでもいい。地図上の大岩山までようやく来たわけではある。ベンチもあって休みたいところだが我慢する。

(左の展望)


(ずっとこうだったら、この時季の里山もまったく苦にならないのだが)


(見晴台100mの標識。この時点で行道山には行けずとも石尊山なる山で終わりにしてもよい気分でいた)


 起伏をあまり感じないなだらかな尾根歩きになり、左の展望も開ける。いくらか高みから市街地を眺めている気分になった。そして「石尊山見晴台0.1KM」のふれあい標識が出てくる。この石尊山とはいったい何山なのか。行道山はまだ先なのか。そんなことを投げやりに思いながら歩いて行くと、向こうから、ニコニコ顔の気のいい感じのオニイサンが下って来た。コンニチワと言われ、コンニチワと返事をして顔を上げると息子だった。
 息子はさっきの分岐を浄因寺に行き、寝釈迦を見て行道山に出て帰るところだった。毘沙門天も回ったそうだ。ここで一緒に下ってもいいが、その石尊山の見晴台なるところまで100m足らずだ。せっかくだからそこまで行くからと、息子に車のキィを預けて別れた。ついでに、手ぬぐいをなくしたから、あったら拾っておいてくれと言づけた。

(行道山山頂)


(山頂で)


(三角点)


(見晴台とはいっても冴えない景色だ)


 見晴台には東屋があり、三角点があった。三等三角点・板倉。三等三角点にしては立派な標石だ。周囲を歩くと、行道山の山名板があった。浄因寺からここに来たのは新しくは7年前のことだが、景色に記憶がまったくない。初めて来た感じだ。歩いた方向が違うからだろうか。
 だれもいないので、隅のベンチに腰かけてタバコを吸った。今日の山行初めてのタバコだが、これからの帰路で立て続けに吸うことになる。菓子パンを食べて水を飲む。おにぎりを食べるほどに食欲はない。水はペットボトル500㎖と600㎖、都合1.1ℓの持参だが、ここで600㎖を空けた。
 浄因寺の方から小さな女の子2人を連れたファミリーがやって来て東屋に入った。ランチボックスを持っている。ここでランチか。ママさんが、ここ見晴台ですか? と聞くので、そうですよ。行道山の山頂ですよ。ほっとした顔をして東屋に戻った。つまり、あくまでも行道山という名前は知らずに浄因寺から展望地でランチといった感覚でここまで来ている。行道山はそういう山なのだ。至る所から車でさっと登れる。同じ縦走でも、桐生の吾妻山から鳴神山へのそれとは異質なものだ。歩き通した満足感もまた別次元。この満足感は充実感を伴わない。少なくとも今日のような時節ではだ。グッタリとしている。このまま浄因寺に下り、車道歩きでバス停まで歩きたい。それがバスの時刻表に合わない。また同じところを下っては登る繰り返しになる。息子はどんな気持ちで下っているのか。そんなことはともかく、石尊山とはいったいどこなのか山名板もない。気になる。
 首に巻いたタオルはすでに末端までぐっしょりしていて、メガネに落ちた汗を拭きとることもできなくなった。仕方なく、ペーパーを出して拭った。

(ウンザリが再開)


 帰路の歩き状況を敢えて記すまでもない。前述の「確実に足が攣ってしまうだろうパターン」になってしまった。両崖山までだれにも会うことはなかった。車道終点のラーメンオッサンの姿もすでにない。さっき下った階段はそのまま登りになった。また視界の先まで階段が続いている。ベンチを見かけては腰かけてタバコを吸い、水を飲む。帰路の水は節約した。500㎖しかない。都度に一口含みだけで我慢した。ただ、足が攣る度に飲む芍薬甘草湯の粉末を水なしで飲むことはできない。ムダに水を消費した。

(右が天狗山、左が両崖山かと思う)


(もう何も感じていない)


(堀切かと思う)


 途中、余計な歩きをした。標識は左になっていたのに、明瞭な道が右に付いていて、つい、巻き道とばかりに思って入り込んだ。どんどん下る。そして、本道方向から逸れて行く。これはどうも天狗山へのショートカット道のようだ。結局戻った。

(唯一見かけた花)


 両崖山に出た時にはほっとした。この先には緩い登りが二か所あるだけだ。杖をもったオジサンが休んでいた。世間話をした。息子はもう駐車場に着いて休んでいるのではないだろうか。ここに備え付けの寒暖計は29℃になっている。相変わらず風はない。
 両崖山の岩場を慎重に下り、公園に出た時にはほっとした。その間、これから両崖山に登るハイカー5人ほどと出会った。その中の3人グループの中のオバチャンが「ワラジで歩いているよ」と言っているのが背中で聞こえた。いい年をして、ワラジと地下タビの区別も知らないのかねぇ。ワラジで歩いたら、両足ともに血だらけになっているし、ここの往復には3足は必要だ。日本語も知らないオバチャンに「これは地下タビだよ」と言ったところで通じまい。

(最後の休憩。ここで苦行は終わった)


(洗顔場)


 織姫神社までは800m。駐車場までは500m程度だろう。ここでベンチに座って残りの水をすべて飲んだ。歩きやすい道を下ると、公園には付き物の水道があった。水飲みは我慢できる。しばらく水を流してから、タオルと手ぬぐいを洗って顔をゴシゴシと拭いた。全身も拭きたかったが、衣類はかなり汗を含んでいる。身体を拭いたところで意味はない。それよりも、早いとこ車に戻ってエアコンをフルに回して涼みたかった。

(完全にアウト)


 駐車場には車が4台ほど残っていた。自分の車には息子の姿。スマホをいじっている。
 待たせたなと息子に言って車に入り込む。どれくらい待たせたのかは知らない。問いかけにさっき着いたところだとのこと。行きたかった行道山はどうだった? と聞くと、息子もかなり疲れたらしい。無言で口も重い。そりゃそうだろう。浄因寺まで行き、毘沙門天も周回している。こちらは、毘沙門天のベンチに腰をおろして休んだだけだ。息子はオレが落とした手ぬぐいを拾ってきてくれていた。木に引っかけてあったそうだ。親切な方、ありがとう。
 息子はそのままアパートに帰る。趣味は銭湯。風呂屋に行きたいと、どこにするかスマホで調べていたらしい。健康ランドはもう飽きて嫌なのだそうな。ナビでセットして向かう。まさに暖簾の下がった銭湯だった。息子はここから足利市駅まで歩いて帰るとのこと。
 その日の夜、息子からオレにではなく母親に電話があった。かなりくたびれたと言っていたらしい。帰ってからGPS軌跡をカシミールで確認すると、自分の歩いた距離は12km、累積標高差は1170mになっていた。後者の数値はあてにはならないが、確実に1000mはあったと思う。そして、ふれあい道標識での、織姫神社から浄因寺までの累計距離は6.5km。往復だから少なくとも12km近くは歩いたかと思う。これが2000m級の山だったら苦にもなるまい。風はなくとも公式的には10℃以上は低いのだから。
 この時季、もしくは真夏を除けば、変化のある歩きを楽しめたで終わったろう。だが、この時季に歩くには変化があり過ぎた。帰り道の運転でもしばらく足が攣ってしまい、その日のうち、そして翌日もまた下半身はズタズタだった。ザックもまた汗を吸いこんで臭くなっていたので洗った。

 今回は暑っ苦しいブログ記事になって、最後までお付き合いいただいた方には失礼の段、お詫びとともに御礼を申し上げます。

(今回の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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6 コメント

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Unknown (瀑泉)
2020-07-28 22:36:23
それにしても,金曜日は,足利の天気も意外と持ったのですネ。こんなことなら遠出しても良かったかとは思いましたが,こう毎日天気が不安定では,中々,遠くの山へ足が向かず,最近は地元の山や公園でバードウォッチングの真似事ばかりで。
まぁ,昨日は,多少,涼しかったので筑波山を裏から登って,少しばかり運動不足を解消して来ましたが,とにかくこの夏は,コロナやら長梅雨やらダメですネ。
それはさておき,たそがれオヤジさんが,織姫神社~行道山を通しで歩いたことがないというのは,少し意外でした。ちなみにその行道山,一般に,「石尊山見晴台」を「行道山」と称していますが,「行道山」とは,浄因寺の山号のことなんですヨ。なので,行道山という山は,本来はありません(地形図には堂々と載ってますケドね)。それと,石尊山は,何処にあるのかというと,此処に言う石尊山は,北にある深高山の隣の石尊山(486.5m)のことで,その石尊山を展望する意味合いで,441.7mを「石尊山見晴台」と称しています。
まぁ,何にせよ真夏の行道山歩きとは,読んだだけでも暑さが伝わる内容でしたが,とにかくお疲れさまでした。
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Unknown (ぶなじろう)
2020-07-29 19:59:45
こんばんは。
自ら息子さんにお付き合いしての山歩き、ましてやこのクソ暑い中、お疲れ様でした。
自分は8月の末日に名草巨石群から足利市駅まで歩きましたが、印象はたそがれさん同様登りワンコ蕎麦状態で辟易致しましたです。距離的には行道山往復と同程度だと思いますが、今の体力では到底歩ききれそうもありませんよ。やはり晩秋以降の山だと思いました。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2020-07-30 10:21:22
瀑泉さん、こんにちは。不快な思いをさせてしまいましたことをお詫びいたします。
なるほど、そういうことですか。いろいろ勉強になりました。
行道山は浄因寺の山号だろうことはわかっていました。ただ、地理院地図にある行道山名の記載場所が三角点位置からずれているので気になっていました。行道山はあくまでも山域であって、ピークはないと解釈してもよいようですね。三角点のあるところはただの「石尊山見晴台」に過ぎないことになるわけですが、私は山頂が石尊山というのかなと思ったりしたものの、山頂にあるのは行道山の山名標識だけ。なるほど、あの石尊山が見られる見晴台という意味でしたか。
これでいくと、大岩山も同じようなものでしょう。毘沙門天の山号であるわけですから、大岩山の山名板のあったピークもまた、仮の山頂といったところでしょうかね。
話は変わります。今年の梅雨は8月早々には明けるようですが、異常なほどに長雨続きのような気がします。これまでは確実に晴れる日の予報は大方は合っていましたが、今年は直前にならないと予報に確証は持てないし、雨が降るはずもないのに降ってくることもある。
これでは雨に濡れてもいいやといったところに行くしかないわけで、結局は行道山あたりで暑苦しい歩きをしてしまう。
梅雨明けに期待はしたいものですが、天気はどうなのでしょうか。すっきりした夏空だったら、すっきりした滝見もできるだろうかなと少しは期待もしているのですが。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2020-07-30 10:21:52
ぶなじろうさん、こんにちは。
そういえば名草から足利まで縦走されていましたね。それをピストン歩きでもしたらとんでもないことになりますね。片道20キロはありますから。登りワンコ蕎麦も特盛りになるでしょう。確実に熱中症です。
改めて、その時の記事を拝見しましたが、巨石群から行道山までがかなりつらく、後半はそれに比べたら楽だったようですね。私は、その楽な部分を往復してバテてしまいました。梅雨明けのさらに暑い8月にでも歩いていたら、果たして両崖山まで行けるのか。今の体力ではかなり厳しいです。
疲れると、自然にタバコの量が増えるもので、帰路では休んでは吸うの繰り返しで、5本以上は確実に吸っていました。歩く回数が減ってきているので、どこでもいいからとにかく歩くようにしているのに、これではねぇ。健康に良いわけがない。
紅葉目的で何度か浄因寺には行きましたが、どうもハズレが多かった。今回の歩きの続きで、その時期に、名草と行道山周辺を歩きたいと思っています。あくまでもその時期にです。クモの巣除けのストックは必携のようですが。
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行道山 (ハイトス)
2020-07-31 21:57:33
こんばんは。まさにお疲れさまでしたですね。
息子さんと一緒だったんですか。
とても同じペースでは歩けませんね。
記事を読んでいるだけで自分が歩いた時のつらさがよみがえりましたよ。
たそがれさんは最後まで歩きとおされた由、エライですが。
どうやらそろそろ梅雨が明けそうですが、今後里山は避けなくてはなりません。
かといって近くて涼しい山で、しかも優しい山となると苦慮します。
結局赤城か先日断念した奥白根になりそうですが。
ちょっと前ならば必然的にどこかの沢となるのですが、家内同伴ではそうもいきませんです。
最近どうも三半規管が衰えたのかどうか片足立ちで靴下がはけなくなってしました。
そんなんで沢へ繰り出してよいものかどうかという話もありますけどね。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2020-08-06 12:18:02
ハイトスさん、こんにちは。
コメントいただきながら、返信もせずに失礼いたしました。暑苦しくなるのが嫌で、自分のブログは見ないようにしていました(笑)。
さて、長い梅雨が明けてほっとしたのはいいですが、連日のこの猛暑、山のことを考える余裕はすっかり失せています。それでいて、息子は休みを利用しては家に帰って来て、榛名のヤブやら、大小山、三毳山のような想像するだけで身体に悪くなりそうなところを歩いています。若さなのかバカさなのかよくわかりませんわ。
こう暑いと、沢がベストでしょうが、一人ではどうもですね。何かがあったら連絡の取りようがないですし。
こうなったら、暑さに慣れるか、少しは和らいだら、標高の高いところまで車で行け、山頂との標高差はほんの数百メートルといった2000メートル超えの山にでもと考えています。ハイトスさんの行かれた山で、そんな山がいくつかありますから、ブログ記事を参考にさせていただいておりますよ。
三半規管の老化ですか…。靴下を片足立ちで履くなんてことは、骨折をして以来、やったことがありませんね。果たしてできることなのか、できないのか。試して、バランスを保てずに転倒してケガでもしていたらしょうがないし。
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