たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

川場村の赤倉川でナメ歩きを満喫したはいいが、その後の林道歩きは足裏の痛みで最悪だった。結局は若干プラスの感想か。せっかく熱くて重い腰を上げたのに…。

2020年08月31日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2020年8月22日(土)

林道赤倉栗生線起点駐車場(8:19)……赤倉川に入る(8:25)……休憩(9:35~9:46)……次の休憩(10:45~10:52)……無名の滝(10:57)……折り返し点(11:34~11:59)……駐車場(13:12)

 長い梅雨が終わったら連日の猛暑。山に行く気分にはなれない。涼しい山頂に出るまでにかくだろう大汗は想像しただけでも身体がねばつく。沢歩きで滝見をしたいところだが相方がいなけりゃ不安。何もしない暑い日々はだらだらと過ぎて行く。こんなことではいかんなと、ヘルメットもロープも不要のチョイ沢はないかと調べると、赤倉渓谷なるスポットが川場村にあった。赤倉川はナメ天の川らしい。目立った滝がないのは不満だが、ここで決めることにするか。不安材料はヤマヒル。このヤマヒル、いる所には集中しているし、いない所にはまったくいない。多い少ないではなく生息の有無が問題なのだ。高木にメールを入れてみた。なぜ高木かというと、彼のカミさんが川場村出身で、そのあたりは詳しいだろうと思ったからだが、返事は「ヒルの話は聞いていない」。ほっとしたものの、彼の話はアバウトが多いから、これはラッキーとばかりに鵜呑みはできかねる。
 この赤倉渓谷、川場村のHPには「『ぐんま名所百選』にも選ばれた人気の渓谷」とあるが、ネットで調べる限り、まっとうな遡行記録の記事は無いに等しい。そんな状態で赤倉渓谷に決めたわけだが、紅葉の時期に渓谷沿いを歩いて楽しかった、見事だった、物足りなかったといった記事はなく、決め手にした渓谷記事すら、写真の羅列に終始している。よほどにマイナーな川、渓谷なのだろう。期待はしていない。水辺を歩けば少しは涼しいだろう。しかもナメが続いて楽しそうだ。赤倉渓谷にしたのはそんな理由でしかなかった。

 駐車場には他に一台。すでに出払っている。釣りかと思う。ドアを開けた途端に5、6匹のアブがまとわりついた。川の近くではしょうがない。虫除けをスプレーする前だったが、このアブ連中、至ってお行儀が良く、ブンブンしながらも身体には止まらず、駐車場を離れるとすぐにいなくなり、以降、戻るまで挨拶を受けることはなかった。
 準備をしている間に大型のワゴン車がやって来た。釣りらしい。すぐに「釣りですか」と聞かれた。「いや、川歩きで峠まで」と答えた。ここで釣り目的だと警戒される。見た目はオニイさんだが、後で聞くと子持ちのオトウちゃんだった。少なくも自分には「パパ」はどうも違和感がある。いまだに虫唾が走り、人混みの中で「パパ」と叫ぶ子供の声を聞くと、つい、オヤジ、オトウサンとは違うどんなパパ顔をしているのか確認しなくては気が収まらなくなる。さすがにDaddyは日本では聞いたことはない。そのオトウちゃん、赤倉川には詳しいようだ。月に3回は来ていて、たまに川辺でテントを張るとは後で聞いた話だが、よほどに赤倉渓谷が好きなのだろう。伊勢崎から来たと申していた。そのオトウちゃんに赤倉川は林道を行けばいいのかねと尋ねると、この下が赤倉川だった。自分では下を流れる川は薄根川だと思っていた。何だそうかと、駐車場から川に下る踏み跡があり、そこから下ろうとしたら、「そこから行くと、すぐに岩を攀じ登ることになりますよ」と言われた。別にそれでもかまわないが、それが嫌なら腰越えの水深を泳ぐしかないと聞いてやめた。ナメ遊びに来ていきなりの水没ではかなわない。ここで、オトウちゃんに、適当なところまでバイクで乗せてやると言われ、キョトンとしていると、車から250ccのオフロードバイクを下ろし始めた。通行止めの林道にバイクで乗り入れて釣り三昧か。それを咎めたり批判したりする気持ちはさらさらない。むしろうらやましく思った。

(林道起点にある赤倉渓谷の案内板)


(左林道。右駐車場)


 バイク同乗は断わって林道に向かう。林道には車両進入禁止の遮断バーが置かれ、傍らには林道と渓谷の案内板。この案内板だけはネット記事でいくつか確認できたので知っていた。目的の峠までは5.5km。その区間の林道は車両通行止め。峠で折り返して往復11kmか。案内板には「花畠のせせらぎ」というスポットがいくつかある。貼られた写真を見る限り、ナメ床やら渓流美を楽しめるところなのだろう。そして「無名の滝」。峠寄りにある。地図には滝マークがないので、5mもない滝だろうが、峠まで行けなくとも、これくらいは見ておきたい。写真で見る滝つぼは深そうだ。

(オトウちゃんのアドバイスでここから川に下る)


(入渓。ただの沢というか川)


 歩きながら、オトウちゃんに肝心なことを聞くのを忘れていたことを思い出す。ヤマヒルのこと。すぐに後ろからエンジン音がした。バイクを止めたオトウちゃんに、川に出るにはこの辺からなら問題ないと言われ、ヒルについては「いない」とのこと。ついでに「クマがいるから注意して」とアドバイスされたが、「ここで見たことあるんですか?」と聞くと、ないとのこと。だったら、余計なことは言わないでもらいたい。早速、ヤブめいたところを通って川に出た。途中、作業小屋のようなプレハブを左に見かけたが、これは現役ではないようだ。
 今日はフィッシングタビなる沢タビにしていた。これはフェルトソールながらも足首上部分はただの靴下の構造。岩にでもぶつけたらすぐに破れて血が出そうだが、おとなしくチョイ沢歩きに徹する限りはむしろ軽快かもしれない。ましてヒルもいない。念のため、沢用の脚絆でも巻くつもりでいたら、出がけにその脚絆がどこにいったか見つからず、靴下の中にトレパンの裾を入れ込んで、足首が不自然に膨らんだ不細工な格好になっている。それはともかく、まだナメにもなっていない石ゴロの川に足を入れると早速滑った。フェルトはコケやヌメリに強いのではなかったのか。慎重に歩くことになったが、気を抜くとすぐに滑った。やはり、沢靴にオールマイティはないようだ。
 歩きづらかった。石がゴロゴロしていて、不安定な石も多い。景観も渓谷美には程遠く、ただの冴えない沢と変わりがない。ツルっと滑って隣の石に腰ペタリ。これを繰り返す。そのうちに羽虫が寄って来た。何ともうざく、ブヨも混じっているのではと気になったが、刺されることはなかったのでブヨはいなかったのだろう。この羽虫集団も気まぐれで、いなくなるとしばらくは来ない。そのうちに危害を与えないことがわかったので、何とも感じなくなってしまった。
 前に倒木と大石が群れていた。避けようと、右岸のヤブを越えると、すぐに林道に出た。この先、林道との間に高い石垣が続いていたりしている所もあったが、林道に接するところはかなりあった。そういう面では臆病者向きの川だろうが、林道を探索しているハイカーからしてみれば、川をわざわざ歩いている人の姿は変わり者にしか映るまい。

(左岸沢からの小滝)


(水の流れはきれいだ)


(次第に)


(ナメ状になってくる)


 このまま林道を歩いたのでは意味がないのですぐに引き返す。沢の景観は相変わらずきれいとは言いがたいが、左岸側の枝沢から小滝が流れこみ、徐々にゴロ石が少なくなると、次第にナメっぽい風景になってきた。ただ、川はまだ谷間状になっている。殺風景ながらも、小さな魚影がかなり視界をかすめて動き回っていたり、大きなヒキガエルが休んでいるのを見るのは気持ちも和む。大きい魚は縁で静かにしているのか。イワナなのかヤマメなのかは知らないが、かなりいる。後でオトウちゃんから聞いた話では、ここは水がきれいで、これまで何度も直に川水を飲んだが腹をこわすことはなかったとのことだ。それを聞く前に飲んでみたが、特別に甘露といった味はせず、ただの生ぬるい水でしかなかった。それを聞いた後で飲んだら、先入観からおいしい水に感じたかもしれない。

(これも甌穴なのだろうか)


(トイ状)


 ナメが続くようになった。川幅も広くなる。水位はくるぶし上少々。ゴロ石も消えた。たまに甌穴のようなものも見かける。なぜかセミの鳴き声は聞こえず、すでに汗がダラダラと流れ、谷間を通う風もないのに涼しさを感じる。快適なナメ歩きだからの気分的な問題か。あまり使いたくない表現だが、これ以上のものがないので使うと「楽しい」ということになる。

(ついにナメ広がりになった)


(振り返って)


(見えづらいがオトウちゃんが釣りをしていた)


 トイ状の流れを通過するとナメがさらに広がった。そして先に釣り人の姿。岩に腰を下ろして竿を垂らしている。オトウちゃんだった。頭には虫除け用のネットをすっぽりとかぶっている。邪魔してはいけないなと、左岸のヘリをそっと歩いて行くと、彼もこちらに気づいた。どうですかと聞くと、まずまずとの返事。腰をかけているところからして、ここでしばらくはねばるようだ。先に行く。

(全体が平凡なナメだから、こんなのをアップにして撮るしかない)


(二人連れの釣り)


 ナメが狭まってカーブする。林道の石垣はコンクリートブロックになってこれもカーブしている。そしてまた広いナメが続く。二人連れの姿が見えた。これも釣りのようだ。駐車場にすでにあった群馬ナンバーの車の方だろう。脇を通ってコンニチワ。二人ともに沢歩きスタイルではあるが、釣り竿は男性のみで、女性は付き合って来たといったところか。その後見かけることはなかったので、釣り目的だけであったことは間違いないようだ。ここに至っても、小さいながらも魚影は動き回っている。結構釣れるだろうなと思うのは素人的な考えだろうか。

(まだ飽きてはいない)


(もしかして終わり?)


(いやいや。階段状があった)


(アップ)


(右岸側を通る林道)


(橋げたの残骸)


 ナメはなおもしばらく続く。そろそろ滝も含めた変化が欲しいものだなと勝手なことを期待しても、さらに先の無名の滝まではアクセントはあるまい。飽きかけているところで急にナメが消えて石ゴロになった。何だナメは終わりかとがっかりするのもまた身勝手なもの。だが石ゴロは長くは続かずナメが復活。小滝ほどのものでもないが、階段状の流れが加わり、幾分の変化が出てくる。こんなものがなければ、いくらナメナメでも飽きてしまう。この先は、ゴーロとナメが交互に出てくる。本格的な沢歩きには程遠いが、ミニチュア版と思えば楽しめる。

(ここで休憩。おにぎりを食べる)


 手ごろなナメを前にして休憩をした。いつもならバナナくらいは食べて家を出て来るのだが、今朝は軽く食べられる物が食卓にはなかったので、コーヒーだけ飲んで何も食べずに来ていた。ナメになってから空腹感も忘れていた。出がけに慌てて起きた妻から渡された(その間、待たされて、半分、有難迷惑な気分もあったが)おにぎりを食べて一服した。入渓してからまだ一時間少ししか経っていない。予定は峠まで川を歩き、その後は林道歩きということにしている。GPSを出してみると、峠までの半分も歩いていない。峠までどれくらいなのか。少なくとも川歩きにまだ完全に飽きてしまってはいない。これも、林道が見えているせいだろう。一応の目安として、無名の滝を見るか、3時間を限度にしよう。猛暑日予想ではないものの、じわじわと暑くなっている。

(いくらか変化は出てきてはいる)


(別に巻く必要はない)


(アップばかり)


 次第に谷間が狭くなり、ナメはあるものの、大石が点在するようになった。足もまた滑り出す。川の歩きを3時間限度にしても、何かきっかけがあれば、そろそろ林道に上がってもいいかなといった気分も出てくる。そのきっかけ、つまりは言い訳なのだが、先に行っても浮かんでこない。いつでも林道には上がれる。しばらくは我慢して、相変わらずに出てくるナメ歩きを楽しんでいる。

 淡々とした歩きになってきた。そろそろ、楽しいも何も感情はなくなってきている。峠まで行くのは精神的に無理かもしれない。ナメの頻度も少なくなってきている。意味もなく歩いても仕方がないような気分も出始めた。どうせ林道は川沿いだ。林道歩きにして無名の滝が見えたら川に改めて下るという手も使えるかと頭を過ぎる。せっかくここまで遡行して来た、打ち消した。

(暗渠を通過)


 前に堰堤のような橋のようなものが見え、その下は暗渠になっている。この暗渠はクモの巣だらけで、3mほどのものだったが、もろにクモの巣をかぶってしまった。暗渠を出てその上を振り返る。分岐林道かと思ったが、その先は切れているが、かつては作業道でも続いていたのだろう。

(こうなると飽きてくる。ただの河原歩きだ)


(楽しいと言えば楽しい)


(流れ込みの沢)


 歩き出して2時間ほど経過。とうとう露骨に飽きてしまった。単調過ぎる。スリリングなところはどこにもない。せいぜい気を抜けば滑ることだけがスリルといえばスリル。これもまた無感情のままに滑る。峠まで持たない。無名の滝を見たら、林道に出て引き返そうか。ナメを歩ければそれでいいといった当初の目的はどこへやら。その無名の滝だが、林道の入口にあった看板には、北側から右岸に流れ込む沢の合流点より上流に位置していた。その沢はまだ先だろうか。地図で確認すると、その沢は確かに青い水線で記されている。余談だが、すでに通り過ぎたところに、同様に北からの沢が流れているのが看板には出ていたが、これは地図にはなく、現物すらも見なかった。林道で切れて終わっていたのかもしれないが。
 1.5mほどの滝を越えると右手から狭いトイ状の流れが入り込む。入り込んでみようかと思ったが、視界に入る奥は沢幅も狭く、おもしろくもなさそうなのでやめた。

(しつこく消えては復活する)


(こんなのも)


(またアップ。芸術的に上手に撮りたいものだが)


(ここで水を飲んでみたが生ぬるいだけ)


(唐澤橋)


 相変わらずの景色が続く。ゴーロとナメの繰り返し。前方に橋が見えた。ここで林道は川を対岸に横断する。この橋の名前、帰路に確認すると「唐澤橋」となっていた。さりとて、唐沢らしき沢の出会いになっているわけではなく明瞭な沢型と流れは確認できない。橋の名前を知っても何も感じはしなかったが、今思うに、ここが北から合流する水線の沢で、名前は唐沢ではあるまいか。そうだとすれば、無名の滝が案内看板で示された位置と一致する。

(二回目の休憩。そろそろ気分は限界状態)


(無名の滝。その時は特定できていない)


(ちょっと大きく。反射して水の流れがどうも…)


(横から)


(そして上から。結局、ナメ以外にこの滝しか見どころはない)


 二回目の休憩。川幅は狭くなってゴーロ主体になっている。あくびが出た。菓子パンを食べてタバコ一本。重くなった腰を上げて再開。
 間もなく幅の広い3mほどの滝が現れた。滝つぼは腰まで来そうだ。ここは右から簡単に巻けた。もしかすれば、これが無名の滝だろうか。ネット記事で見かけた滝はこんな感じだったような気はするが確証はない。まぁ、滝らしい滝を見たから、これでもいいかといった気分になった。しかし、無名の滝にはまだこだわっている。この滝が無名の滝だと知ったのは駐車場に戻って、林道入口の看板写真を見てからのことで、この時点では無名の滝はまだ先だと半信半疑に思っている。左から依然として沢が入り込まないからである。とりあえず先に行く。

(まだまだ続く)


(板小屋橋を見ても)


(終わりにする踏ん切りがつかない)


(また同じことを繰り返して歩いている)


(これはなかなかだった)


(先にまた暗渠)


(別に出す必要もないが)


(林道で)


 またナメが執拗に復活して次の橋をくぐる。この橋は「板小屋橋」。よほど、ここから林道に出て引き返そうと思ったが、どこにあるのか不確かな無名の滝にこだわっている。
 幸い、長いナメになったので嫌気は消えかかった。これが消えたところでやめようか。また暗渠を通過。今度は木の枝でクモの巣払いをして通過。先ほどから林道の石垣に沿って歩いている。ナメが消えたタイミングで石垣が消えてすんなりと林道に出られた。こうなると、林道をそのまま行ってみたくなる。

(林道を上流に。これもまたボケた)


(小滝を林道から下りて、上から下ってみる)


(こんな滝だった)


(地下タビに履き替えて終わり。これが悲運となる地下タビ)


(その先はこうなっている。ナメでなくてよかった)


 「弥生橋」を通過。下に見映えの良い小滝が見えたので沢にまた降りる。これは無名の滝ではない。記憶ではこんな滝ではなかった。いずれにせよ、何度ものやめるやめないで、結局はあやふやな気分のまま、なおも先に歩いて行きたがる自分の気持ちがわからなくなった。出発からすでに3時間経過している。ここでもう十分だろう。打ち切りにしよう。
 河原の石に腰かけて大休止。その間、沢靴と靴下を脱いで、地下タビに履き替えた。今日の地下タビは安いものだが、ワークマンで衝動買いしてしまった下ろしたて(丸五の『プロガード万年こはぜ12枚』)。立ち上がった瞬間に平らで乾いた石に滑った。何だこの地下タビは滑るじゃないか。地下タビの悲痛はこれで終わらなかった。これからが本番になる。

(林道歩き。この時点ですでに猛烈に足裏が痛くなっている。歩いて30秒ほどだ)


(クロアゲハ。こういうのはよく目にする。なぜか群れる。習性だろうか)


(アップで。これもまたピンボケ)


 もはや未練なく林道を下る。いや、下ろうとした。一歩踏み出した瞬間に足裏に痛みが走った。地下タビのせいだ。林道は砂利道。とてつもなく痛い。この地下タビは建物工事現場向けなのか、あるいは舗装道路用なのか。そのうちに砂利も消えるかと我慢したが、砂利が途切れても石ころどころか、石が少なくなっても滅茶苦茶に痛い。駐車場まで5km近くはあるだろう。果たして、この苦痛の足で行けるのか。足ツボを刺激して良いだろうなんて冗談はフザケルナの心境だ。何度も立ち止まってはヒザに両手を当てて痛みをこらえる。だれもいないことをよいことに、一人、大声を出して苦痛を訴えてみたりもする。「イテエンダヨ、コノヤロー」と。

(一応、遡行した川を見ながら歩いてはいる)


(これが紅葉の時はどうなるのか。川場村のHPにも載せればいいのにと思うが。観光客も急増すると思う。ただ、「きれいなら」という前提だ)


(ついでに)


(どうせならとついで。足裏はかなりの限界になっている)


(林道は切り上げて、このまま水辺を歩きたい。今思うと、そうするべきだった)


(ここはトヨ状のところ)


 ここでまっとうな神経を持っていたら、脱いだ沢靴に履き替えるものだが、そんなアイデアは思いつきもしない。おそらく、足をまた濡らしたくない気分でそうなったのか。帰路はゆっくりと渓谷美を眺めながら下る算段はできなくなった。痛みばかりが気持ちのほとんどを占め、楽しかったナメ床を見下ろしても感情のない風景に過ぎなかった。せめて泥道、泥濘でも出てくればありがたいが、西に向かっているので左手から暑い日差しがもろにあたり、道は乾ききっている。歩く工夫もしてみた。轍の真ん中は草。端も草地。痛みは同じだった。
 顔をゆがめながら歩いていると、前方からオトウちゃんがバイクでやって来て、バイクを止めた。ここから林道を下に歩き、沢を遡行してここに戻って、またさらに上流に向かうとのこと。ここまで大き目のイワナを2匹釣り上げて、網に入れてデポしてきたということで、帰路に回収するそうだ。ここでオニイさんではなくオトウちゃんだと知ったのは、子供がイワナを食べたいと言うので釣りに来たという話を聞いたからだ。
 ポイントに行くまでいっしょに林道を下ってよもやま話をした。ここはフェルトでは滑ると言ったら、確かにそうだ。だから自分はフェルトにピンを埋め込んだ沢靴を履くとのこと。上流に流木が溜まってできた淀みがあり、そこでイワナがかなり釣れるので、最終的にはそのポイントに行くとか。ナメが好きならと紹介されたのは倉見川。根利の方だと言っていたから見当はついたが、帰ってから検索すると、トップにあったのはハイトスさんの倉見川紀行で、いくらくるぶしのナメがずっと続いているとはいえ、初っ端の滝登りは、自分にはまず無理。間もなく、ここから下るという彼とは別れた。別れ際にあと20分ほどで駐車場だと言われたが、その20分は途方もなく長かった。もちろん、足裏の痛みのせいだ。

(まだかよ。泣きのレベルではすでにない)


(足休めでこんなのを撮っている)


(ようやく着いた。地下タビに悩まされるとは思いもしなかった。同じような歩きをいくつか計画している。二度と過ちは犯すまい)


 駐車場に着いてほっとした。改めて案内看板を見る。無名の滝。こんな感じの滝だった。ただ、どうも青い水線が気になる。これが水の流れる沢だったら唯一の滝は見ていないことになる。その場で確認もできず、最終的には家まで持ち越しになった。
 車に着いたらアブがやって来た。そんなものに気を取られている場合ではない。急いで地下タビを脱いだ。幸いにも出血はしていなかった。スニーカーに履き替え、足を解放して人心地をついた。この地下タビ、山では使い物にならないと捨てるわけにもいかない。後日、手持ちの厚手のソールの先端を二股に切って中に敷いた。試しに犬の散歩で履いてみたが、砂利の上を歩いても痛みは感じなかった。今度、これでも同じことになったら、冷静に沢靴に履き替えることにしよう。
 この赤倉渓谷。今回の総括ということになるが、自分のレベルでも物足りなかった。ナメ続きではあっても、ジャボジャボと川を遡行するだけなら一時間で十分だ。川の流れと景観に変化が乏しい。小滝であっても連瀑にでもなっていたら少しは印象も違ったとは思う。最終的に名無しの滝は見たということになったが、これとて滝と呼ぶには…といった疑問も残る。復路の林道歩きで足裏の痛い思いをして「若干プラスの感想」としたが、それがなかったとしても、果たして大きなプラスの印象になったとは思えない。ただ、これはあくまでも暑い盛りの中の歩きであって、これが紅葉や新緑の時期にでも歩いていたらどうだろう。また別の顔の渓谷を楽しめるかもしれない。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

 以上、結局は自分もまた自己満足な写真の羅列で終わってしまったようだ。

 これで川場村を去るには早い時間だ。前もって、滝見を三つ用意していた。兜滝、恵の滝、仙の滝。いずれも小さな滝だが、川場村の観光スポットになっていて、観光協会のHPに出ている。そのわりには、看板を見かけたのは兜滝だけで、他の二滝には看板もなく、スマホを見ながら、あちこちうろうろしてようやく辿り着く始末だった。さらに、兜滝以外に、説明板はおろか、滝名板すらなかった。川場村は、赤倉渓谷も含め、そんな大雑把なところなのか。上州武尊山の登山口と温泉だけで十分なのだろう。地元の方には失礼か。

(恵の滝。3m超えだろうが4mはない)


(同じく。不動明王像が手前にあった)


(仙の滝。ここはわかりづらい。堰堤の奥にちらっとみえる)


(仙の滝。3mもない。三条だが、右端が低くて見えづらい。この滝を正面からは見るには水没するしかない)


(左の二条)


(畑だか田んぼといった不思議なロケーションにある兜滝。7~8mほどか)


(周囲は田んぼ、畑。用水路に利用されているようなので、正面に出るには相応の覚悟がいる。つまり、滝つぼは沼に近い。これが限度かと思う。こんな滝も珍しい)


 三滝を見物して帰路に就く。高速道に入ると、やたらと東京ナンバーの車が目立った。つい無意識に離れて走行した。隣のとちぎ、熊谷ナンバーすらうっとうしかった。少なくとも、自分はコロナ騒動以来、群馬県からは出ていない。秩父、本庄あたりを車で通過しただけだ。これは地理的に仕方がなかった。いや、足利の行道山に行ったか。岩手の県知事さんがおっしゃっていた。Go To キャンペーンは早かったのじゃないのと。自分もまたそう思う。人それぞれの考え方。地元に山がなければ県境を越える。自分とて、自粛して群馬県内に閉じこもっているわけではない。じっとりしたり、暑くなったりで、考えたり、あそこに行きたいといった熱意が湧かないだけのことなのだ。

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4 コメント

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Unknown (瀑泉)
2020-09-01 23:28:50
もう少し 滝があれば言うこと無しといったところでしょうが,よくこんなナメ沢をよく見つけましたネ。ナメの長さもソコソコありそうだし,楽しめたことでしょう。
実は自分も29日は,天国のナメを歩きたさに,宮城まで遠征して来ました。ただ,確かにナメは良かったケド,標高が低いから暑くて地獄でしたケドね。
ちなみに,この赤倉川も,さして標高は変わらないみたいですが,暑くありませんでした。
しかし,帰りの地下足袋歩きは,ご苦労様でしたネ。まぁ,流石にノーマル底ではきついでしょう。自分は,スパ地下以外だと,力王のエアー地下足袋を履いたりしますが,流石に長時間の林道歩きでも大丈夫ですヨ。ちなみに,力王エアー地下は,お祭り足袋のように,底が膨らんではいませんよ。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2020-09-02 16:04:27
瀑泉さん、こんにちは。
天国のナメですか。知らないので調べましたが、大行沢というところでしょうか。ナメだけではなく滝も楽しめそうで、いい感じですね。でも、中にはゴルジュやらヘツリの写真が登場するのもあって、私にはちょっときつそうだなといった率直な感想です。しかし、宮城まで遠征ですか。紅葉がきれいなら天国のナメもいいかなと思ったのですが、どうも今少しのようで。
今回の赤倉渓谷は苦肉の策です(笑)。実は、そのナメ天歩きの候補がもう一つあって、こちらは滝もいくつかあるようですが、地図そのものに滝マークはありません。期待はしていないし、まして、妙義あたりはヤマヒルの宝庫らしいので、どうしようか迷っています。
力王のエアー地下ですか。またコレクションが増えそうですね。これまで、瀑泉さんのお薦めから選んでずっと丸五通しで、力王に目を配ったことはないのですよ。というのも、ホームセンターに雑然と積み重なっているので、どうも中を見る気がしなくてね。いずれ、どんなものか確認してみますが、せっかく買った今回の地下タビですので、しばらくは中敷きを入れて林道歩きをしてみますよ。
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赤倉川 (ハイトス)
2020-09-06 18:33:21
こんばんは。
長い林道歩きはごめんですが、滑の沢歩きは涼しそうでいいですね。
私は今年も沢には行かずじまいです。
たそがれさんと同様に一人で行っては行けないことになっておりますので。
記事の中で出ていた倉見川ですが、お勧めなのでしょうかね?
滝つぼに落ちそうになるヘツリと3mほどの垂直の岩登りはいまだに記憶に新しいところです。
おまけに一寸歩いていると堰堤が出てくるのであまりお勧めではありませんが。
ここ川は釣り人たちが多くやってくるようですよ。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2020-09-09 20:18:31
ハイトスさん、こんにちは。
こんなことを記しては何ですが、この赤倉渓谷の後に行った中之条の反下川は良かったです。水量も流れもあって、ちょっとした滝もある。赤倉渓谷の比ではなかったですよ。おそらく、赤倉渓谷の記憶はすぐに薄れていくような気がします。
私の場合、沢は一人で行っては行けないことになっているわけではなく、ただ一人で行くと、何かがあったら恐い。ただ、それだけのことです。言葉の遊びになりますが、沢ではなく川だったら、一人で行っても構わないということにはなりませんかね。
「沢には行かずじまい」とありますが、終いにするには、この暑さ続きではまだ先があるような気がしますけど。私は暑いから仕方なく簡単そうな水遊びに行くだけのことで、本当は、ハイトスさんのように、北アルプスにでも遠征したいところですよ。気力が出て来るには、まだまだ暑くて。紅葉の頃、果たしてどんな気持ちでいるものやら。山歩きそのものにちょっと飽きかけているところもありますし。
倉見川の件は、今回の釣りのオトウさんから聞いた話では、くるぶしの程度のナメ床が延々と続いているという話でした。だったらと思って調べると、ハイトスさんはかなり危険な沢歩きになっている。どうも話がよくわからない。彼の場合、バイクでかなり先まで行くようですから、地理的にはよくわかりかねますが、かなり上流のことを言っていたのでしょうか。いずれにしても、ハイトスさんの記事で、自分向きではないなと思っています。
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