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◎2010年9月19日(日)
前の晩に家を出て、那須高原SAで寝た。もっと先まで行ってもいいのだが、トイレの心配があった。やはり、起き抜けは、しっかりしたトイレ施設で済ませたい。自然の中やきたないトイレは極力避けたい。白河インターを下りて、その先には行ったことがないから、施設の有無も状況も知らない。いつものように寝られなかった。少しは寝たのであろう。左手首の治りかけのキズがカサブタになっていたところを、かゆくてかなり掻きむしったようだ。朝起きたら、シャツのところどころが血で汚れていた。寝られないままに暗いうちに起きて、タバコを吸い、条件反射でトイレに駆け込んだ。だが、どうも、しっくりとこない。結局、国道に下りてから、甲子温泉のスポーツ施設のトイレを見つけて改めて入り直した。これでようやく腹の心配はなくなった。こうなるのだったら、わざわざかなり手前の那須高原で待機する必要もなかった。
林道大峠線は荒れてはいたが、車の腹をこすることもなく、駐車場まで何とか行けた。自分の車は3台目。2台目は男性2人組で、ちょうど出るところだった。6時43分出発。入れ違いに4駆の車がやってきた。そもそも、今回の那須の山歩きは、7月のぶなじろうさんのブログが引き金になっていた。へぇ、こんな風光明媚な山とルートがあるのだと感心した。過去4回ほど、那須の山には行ったことがあるが、いずれも、ロープウェイの下に駐車する表側からのルートで、それ以外から歩いたことはない。また、天気との相性が悪く、すべて突風とガス、雨で印象が悪い。朝日岳に行き、強風で飛ばされそうになり、ピッケルを雪に深く刺しこんだまま、30分、身動きできないこともあった。紅葉を見に、わざわざ煙草屋に泊まって、三本槍岳に行った時も、ガスで何も見えなかった。印象が悪い那須の山も、そのぶなじろうさんのブログもさることながら、最近の「オッサンさんの山旅」の晴天の三本槍岳を歩かれた記事を拝見し、改めて行って見たくなった次第である。行き先は、行ったことのない流石山。「ながれいし山」なんて、名前に惹かれた真昼岳と同じで、山名が単純明快で、余計に気がそそられる。
(林道終点)
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(大峠)
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(先が見えない)
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6時52分、林道終点。ここから車道幅が続き、鏡ヶ沼との分岐で山道になる。石がゴロゴロし、木の根が出ていて歩きづらい。いろんな道が派生している。迷いそうだが、いずれは、本道に合流しているようだ。あっけなく大峠。7時15分。実は、ここで定番の地蔵さんを確認したかったのだが、先行の2人組の1人がどうも便意をもよおしたらしくタイムをとっているようで、残った1人は警戒の構えになっている。落ち着いて地蔵探しも出来ず、さっさと右手の大峠山を目指して登る。何だ、傾斜が急で、かなりきついじゃないの。正直のところもっと楽かと思っていた。それよりも、この天気、雨の心配はないけど、ひどいガスだ。やはり、自分にとって相性の悪い那須の山か。上が見えない。大峠を見下ろすと、2人組の1人がササヤブから出て来た。下は見えるが上が見えない。目の前のピークらしいところが大峠山かと思っても、次から次へとピークが先に現れる。先にぼんやりと3人の影。どんどん近づいている。3人目の女性がバテ気味。あの3人が、1台目の車の方々だろうか。下から、さっきの2人が結構、早いペースで追い上げて来る。
(流石山か?)
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(流石山山頂)
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大峠山は気づかぬままに素通り。先の3人が休んでいる。男2人に女1人だった。追い越す。相変わらず、先が見えない。左遠くに深山ダム湖と沼原池が見える。沼原池は河童の頭の皿みたい。その周辺は歩いたことがない。I男、K女が那須の山に行きたいと言うから、そこを歩くのもいいか。振り向くと、茶臼岳。見栄えのしない形をした山だね。正面西側の展望は相変わらずきかない。大峠山に一旦登りきると、その後のアップダウンはかなり続くもののそれほどつらくもなく、ササの尾根道になっている。ところどころに混じってハイ松。もう色付き?と感じる景色もある。晴れていたら、どんなにかきれいだろう。花もきれいなみたいだね。これまで見た花はリンドウだけ。紅葉の時期は素晴らしいだろうな。展望がきかないのでは、それ以上の情況も記せない。8時4分、流石山。もう、靴の中には水が入り、靴下がよじれている。直してもすぐによじれるだろうし、今日はこのままにしておく。衣類も濡れている。この先どうしようか迷った。雨の心配はない。回復を期待して、その先まで行くとする。登山道の傍らに小沼を見かけた。
(大倉山方面)
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(深山湖と沼ッ原調整池)
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(大倉山山頂)
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(三倉山?)
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(三倉山山頂)
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大倉山8時50分。狭い山頂。やがて2人組がやってきたので、先に行く。次の三倉山は三角錐の山とのこと。晴れていれば、いい目標になるのだろうが、残念ながら見えない。ただ、前に続く道を歩くだけ。三倉山の手前の三角点ピークでオニギリを食べた。2人組にここで抜かれた。「何も見えませんね」と残念そうな顔をしていた。三倉山9時23分。山頂は広めで、確かに360度の展望だろう。今見えるのは、南側と東側だが、ここまで辿った稜線は、ちょうど気流があたって雲が発生しているためか、すっぽりと隠れている。三本槍岳や茶臼岳が見えるのが不思議なくらいだ。山頂には、歴史を感じさせない石祠があった。ここに設置する意味があるのだろうか。元あったのを再現したというのなら分かるが。そして、ぶなじろうさんが警戒されている熊野修験の御札。「平成二十二年八月吉祥日」。これは流石山にもあったし、後の三本槍岳にもあった。修験道の山域には思えないけど。三倉山の先はずっと下りになる。ここで引き返す。2人組は食事をとっていた。
(振り返って、三角点峰と三倉山)
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(茶臼岳が見えた)
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(流石山)
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ガスがようやく晴れかかってきた。男鹿岳に続く尾根も見える。下郷の町並み。そして、流石山に続く稜線。あんなに起伏があったんだ。こうして晴れてきて目にすると、ちょっときつく感じてしまう。後ろを振り返ると、三倉山は半分が隠れているが、三角錐の形状がかろうじて判明できる。しかし、晴れていれば、本当に気分の良い歩きが出来たろうになあ。ともかく残念。何人かと行き違う。単独はほとんどいない。戻りがかなりきつく感じる。流石山の手前で、追い抜いた3人組がカップラーメンを食べていた。かなりゆったりとしたペースだが、こういう、がつがつしない欲のない歩き方も、いいものだろうな。三斗小屋温泉の宿もしっかりと見えてきた。
(下り切ると大峠)
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(お地蔵さん)
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大峠への下りにさしかかる。さっきまで鳴っていた鈴の音がピタッと止んだ。落とした。しばらく探したが、ササヤブに入ってしまったのか見つからなかった。いい音を出していたのに。あきらめた。かなりの下り。いい加減に嫌になった頃に大峠に着いた。11時12分。このルート、往路よりも復路がきつかった。峠には、さっきから単独氏がいて、オレが下るのをずっと眺めていた。どこに行くつもりなのだろう。お地蔵さんを探す。あった。古の人々は、ここで休んで、会津なり下野の国に下ったのか。しばらく休む。単独氏がいろいろと話題を出してくる。いつもは深山湖から入るが、今日は初めて林道から入って楽だったそうだ。ここに来て、アルプスの山の話をしないだけでもまだ付き合える。で、これからどうするのかと聞くと、決めかねている。三本槍岳に行くような気配もあるが、そうでもないようだ。しばらくここで休んでいたのに、今度はオニギリを食べ始めた。こちらもアミノバイタルとチョコレートを含んだが、自分もこれからどうしようか。時間はあるし、余力もある。三本槍岳にでも行ってはみたいが、正面から眺めていた登山道はちょっときつそうだ。選択は2つしかない。このまま林道に戻るか、三本槍岳、鏡ヶ沼を経由して林道に戻るかだ。三本槍岳に行けない理由をいろいろと探した。残念ながら、用事も都合もない。天気も良くなった。雲が山頂にかかり、これがいい理由になるかなと思っていたら、すぐに雲も消えてしまった。致し方ない。三本槍岳に行くか。標高差も500m弱か。単独氏に「お先に。きつかったら戻りますよ」と声をかけて出かけた。11時30分。しかし、彼はいったい、何をグズグズしていたのだろう。
(三本槍は大分先)
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(流石山はまだ目線の上)
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年配のカップルが下りてきた。道の様子を聞いた。「楽だよ。沼の分岐手前がきついかな。それ以外に、たいしてきつくもないよ。しかし、アンタ、流石の方から下りて来たんじゃないの。縦走かい?」としっかりと見られていた。ところが、楽ではなかった。きつかった。余力とて、1/3程度のものでしかなかったから、何度も休んでは呼吸を整えた。三本槍岳のピークは遠い。来なきゃよかったな。失敗した。目標を大峠山の目線に合わせていたが、まだまだ。左下に鏡ヶ沼が見えてくる。真っ青で神秘的だ。
(三本槍が近づいた)
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(鏡ヶ池を見下ろす)
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(三本槍岳の山頂は混んでいた)
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こちらは、ハイカーがかなりいる。やはり人気の山のようだ。山頂の人だかりの気配も見えてくる。風が気持ちよい。晴れてくると、しきりに汗をかく。石のケルンを通り過ぎ、甲子山への分岐着。12時25分。大峠山の目線も越えた。ここまで来れば、三本槍岳も目鼻だ。ハイ松とササのヤブに覆われた傾斜の緩い登山道を進む。山頂直下、山頂から下りて来て、人気のないこちら側でタバコを吸っている青年がいた。ご苦労様だね。この年になると、平気でいられるけどな。12時35分、山頂。山頂には20人くらいのハイカーがいた。皆さん、お食事中。いきなり声をかけられて、シャッター係。折り返し、カップルは気を遣ってくれた。ようやく、流石山の尾根の全容が見えた。展望盤があり、それに合わせて風景を楽しむ。富士山は見えない。日光白根山も見えない。燧ヶ岳は見える。天気が良ければ、確かにいい山だ。かつて来た、霧に包まれた三本槍岳は何だったのか。風が強い。ビデオを回しているオッサンが、やたらと、「あれは燧ですよね。あれは何々ですよね」と聞いてくる。展望盤までビデオに収めていたのだし、こちらはそれ以上の知識はないよ。
(流石山方面にはまだ雲がかかっていた)
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(分岐を鏡ヶ沼に下る)
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(かなりの悪路)
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(鏡ヶ沼)
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鏡ヶ沼に向かう。だれも歩いていない。分岐から甲子山方面に行く。一気に道は狭くなり、左右から背の高くなったササが迫る。左下にはずっと鏡ヶ沼。金田峠から刈込湖を臨んだような風情に似ている。20分ほどで、沼への分岐。甲子山へのルートは本格的にヤブっぽくなっているが、整備はしっかりされていて、ササもきれいに刈られている。ここから沼までは悪路。トラロープが随所にある。粘土質のむき出しだったり、石がごろごろしていたりで、ここを上りルートで使うのは遠慮した方がいいだろう。鏡ヶ沼13時25分。あれだけ遠目にはきれいな神秘的な沼に見えたのが、間近にするとただの池にしか過ぎなくなるのは残念な話だ。林道終点にあった説明板によると、この沼の深さは17.8mもあるそうだ。灯籠があるはずと探したが、台座らしきものはあったが、本体はどこにあるのだろうか。熊がノソノソと出て来てもおかしくないような雰囲気。そういえば、さっきからケモノ臭が漂っていたが、どうも自分の身体から発散している臭いのようだ。この間の光岳以来、体質が変化しているのか、大量に汗をかくと、どうもケモノじみてくるようだ。何となく落ち着かず、タバコを1本吸って切り上げた。
(雲はとれたが今さら)
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(おセン宮)
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(林道に合流)
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だれも歩いていないから、こんなに晴れていても不安になって来る。鈴をなくしたから、時々、声を上げる。13時58分、林道に合流。ほっとする。ちょっと奥まったところに苔むした石祠が置かれていた。「おセン宮」と記されていた。裏を見たが、彫られた文字は読み取れない。やはり古道のなごりなのだろう。14時12分、駐車場に到着。先の2台の車はすでになくなっていて、新たな車が8台くらい加わっていた。今回は那須の山を見直した山行だった。どこにも寄らずに帰る。正直のところ、山の帰りに温泉に立ち寄るのはあまり趣味ではない。車で衣類をすべて着替えたし、気持ちが悪い状態でもなかった。やはり、東北道では渋滞に巻き込まれた。
前の晩に家を出て、那須高原SAで寝た。もっと先まで行ってもいいのだが、トイレの心配があった。やはり、起き抜けは、しっかりしたトイレ施設で済ませたい。自然の中やきたないトイレは極力避けたい。白河インターを下りて、その先には行ったことがないから、施設の有無も状況も知らない。いつものように寝られなかった。少しは寝たのであろう。左手首の治りかけのキズがカサブタになっていたところを、かゆくてかなり掻きむしったようだ。朝起きたら、シャツのところどころが血で汚れていた。寝られないままに暗いうちに起きて、タバコを吸い、条件反射でトイレに駆け込んだ。だが、どうも、しっくりとこない。結局、国道に下りてから、甲子温泉のスポーツ施設のトイレを見つけて改めて入り直した。これでようやく腹の心配はなくなった。こうなるのだったら、わざわざかなり手前の那須高原で待機する必要もなかった。
林道大峠線は荒れてはいたが、車の腹をこすることもなく、駐車場まで何とか行けた。自分の車は3台目。2台目は男性2人組で、ちょうど出るところだった。6時43分出発。入れ違いに4駆の車がやってきた。そもそも、今回の那須の山歩きは、7月のぶなじろうさんのブログが引き金になっていた。へぇ、こんな風光明媚な山とルートがあるのだと感心した。過去4回ほど、那須の山には行ったことがあるが、いずれも、ロープウェイの下に駐車する表側からのルートで、それ以外から歩いたことはない。また、天気との相性が悪く、すべて突風とガス、雨で印象が悪い。朝日岳に行き、強風で飛ばされそうになり、ピッケルを雪に深く刺しこんだまま、30分、身動きできないこともあった。紅葉を見に、わざわざ煙草屋に泊まって、三本槍岳に行った時も、ガスで何も見えなかった。印象が悪い那須の山も、そのぶなじろうさんのブログもさることながら、最近の「オッサンさんの山旅」の晴天の三本槍岳を歩かれた記事を拝見し、改めて行って見たくなった次第である。行き先は、行ったことのない流石山。「ながれいし山」なんて、名前に惹かれた真昼岳と同じで、山名が単純明快で、余計に気がそそられる。
(林道終点)
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(大峠)
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(先が見えない)
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6時52分、林道終点。ここから車道幅が続き、鏡ヶ沼との分岐で山道になる。石がゴロゴロし、木の根が出ていて歩きづらい。いろんな道が派生している。迷いそうだが、いずれは、本道に合流しているようだ。あっけなく大峠。7時15分。実は、ここで定番の地蔵さんを確認したかったのだが、先行の2人組の1人がどうも便意をもよおしたらしくタイムをとっているようで、残った1人は警戒の構えになっている。落ち着いて地蔵探しも出来ず、さっさと右手の大峠山を目指して登る。何だ、傾斜が急で、かなりきついじゃないの。正直のところもっと楽かと思っていた。それよりも、この天気、雨の心配はないけど、ひどいガスだ。やはり、自分にとって相性の悪い那須の山か。上が見えない。大峠を見下ろすと、2人組の1人がササヤブから出て来た。下は見えるが上が見えない。目の前のピークらしいところが大峠山かと思っても、次から次へとピークが先に現れる。先にぼんやりと3人の影。どんどん近づいている。3人目の女性がバテ気味。あの3人が、1台目の車の方々だろうか。下から、さっきの2人が結構、早いペースで追い上げて来る。
(流石山か?)
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(流石山山頂)
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大峠山は気づかぬままに素通り。先の3人が休んでいる。男2人に女1人だった。追い越す。相変わらず、先が見えない。左遠くに深山ダム湖と沼原池が見える。沼原池は河童の頭の皿みたい。その周辺は歩いたことがない。I男、K女が那須の山に行きたいと言うから、そこを歩くのもいいか。振り向くと、茶臼岳。見栄えのしない形をした山だね。正面西側の展望は相変わらずきかない。大峠山に一旦登りきると、その後のアップダウンはかなり続くもののそれほどつらくもなく、ササの尾根道になっている。ところどころに混じってハイ松。もう色付き?と感じる景色もある。晴れていたら、どんなにかきれいだろう。花もきれいなみたいだね。これまで見た花はリンドウだけ。紅葉の時期は素晴らしいだろうな。展望がきかないのでは、それ以上の情況も記せない。8時4分、流石山。もう、靴の中には水が入り、靴下がよじれている。直してもすぐによじれるだろうし、今日はこのままにしておく。衣類も濡れている。この先どうしようか迷った。雨の心配はない。回復を期待して、その先まで行くとする。登山道の傍らに小沼を見かけた。
(大倉山方面)
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(深山湖と沼ッ原調整池)
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(大倉山山頂)
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(三倉山?)
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(三倉山山頂)
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大倉山8時50分。狭い山頂。やがて2人組がやってきたので、先に行く。次の三倉山は三角錐の山とのこと。晴れていれば、いい目標になるのだろうが、残念ながら見えない。ただ、前に続く道を歩くだけ。三倉山の手前の三角点ピークでオニギリを食べた。2人組にここで抜かれた。「何も見えませんね」と残念そうな顔をしていた。三倉山9時23分。山頂は広めで、確かに360度の展望だろう。今見えるのは、南側と東側だが、ここまで辿った稜線は、ちょうど気流があたって雲が発生しているためか、すっぽりと隠れている。三本槍岳や茶臼岳が見えるのが不思議なくらいだ。山頂には、歴史を感じさせない石祠があった。ここに設置する意味があるのだろうか。元あったのを再現したというのなら分かるが。そして、ぶなじろうさんが警戒されている熊野修験の御札。「平成二十二年八月吉祥日」。これは流石山にもあったし、後の三本槍岳にもあった。修験道の山域には思えないけど。三倉山の先はずっと下りになる。ここで引き返す。2人組は食事をとっていた。
(振り返って、三角点峰と三倉山)
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(茶臼岳が見えた)
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(流石山)
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ガスがようやく晴れかかってきた。男鹿岳に続く尾根も見える。下郷の町並み。そして、流石山に続く稜線。あんなに起伏があったんだ。こうして晴れてきて目にすると、ちょっときつく感じてしまう。後ろを振り返ると、三倉山は半分が隠れているが、三角錐の形状がかろうじて判明できる。しかし、晴れていれば、本当に気分の良い歩きが出来たろうになあ。ともかく残念。何人かと行き違う。単独はほとんどいない。戻りがかなりきつく感じる。流石山の手前で、追い抜いた3人組がカップラーメンを食べていた。かなりゆったりとしたペースだが、こういう、がつがつしない欲のない歩き方も、いいものだろうな。三斗小屋温泉の宿もしっかりと見えてきた。
(下り切ると大峠)
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(お地蔵さん)
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大峠への下りにさしかかる。さっきまで鳴っていた鈴の音がピタッと止んだ。落とした。しばらく探したが、ササヤブに入ってしまったのか見つからなかった。いい音を出していたのに。あきらめた。かなりの下り。いい加減に嫌になった頃に大峠に着いた。11時12分。このルート、往路よりも復路がきつかった。峠には、さっきから単独氏がいて、オレが下るのをずっと眺めていた。どこに行くつもりなのだろう。お地蔵さんを探す。あった。古の人々は、ここで休んで、会津なり下野の国に下ったのか。しばらく休む。単独氏がいろいろと話題を出してくる。いつもは深山湖から入るが、今日は初めて林道から入って楽だったそうだ。ここに来て、アルプスの山の話をしないだけでもまだ付き合える。で、これからどうするのかと聞くと、決めかねている。三本槍岳に行くような気配もあるが、そうでもないようだ。しばらくここで休んでいたのに、今度はオニギリを食べ始めた。こちらもアミノバイタルとチョコレートを含んだが、自分もこれからどうしようか。時間はあるし、余力もある。三本槍岳にでも行ってはみたいが、正面から眺めていた登山道はちょっときつそうだ。選択は2つしかない。このまま林道に戻るか、三本槍岳、鏡ヶ沼を経由して林道に戻るかだ。三本槍岳に行けない理由をいろいろと探した。残念ながら、用事も都合もない。天気も良くなった。雲が山頂にかかり、これがいい理由になるかなと思っていたら、すぐに雲も消えてしまった。致し方ない。三本槍岳に行くか。標高差も500m弱か。単独氏に「お先に。きつかったら戻りますよ」と声をかけて出かけた。11時30分。しかし、彼はいったい、何をグズグズしていたのだろう。
(三本槍は大分先)
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(流石山はまだ目線の上)
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年配のカップルが下りてきた。道の様子を聞いた。「楽だよ。沼の分岐手前がきついかな。それ以外に、たいしてきつくもないよ。しかし、アンタ、流石の方から下りて来たんじゃないの。縦走かい?」としっかりと見られていた。ところが、楽ではなかった。きつかった。余力とて、1/3程度のものでしかなかったから、何度も休んでは呼吸を整えた。三本槍岳のピークは遠い。来なきゃよかったな。失敗した。目標を大峠山の目線に合わせていたが、まだまだ。左下に鏡ヶ沼が見えてくる。真っ青で神秘的だ。
(三本槍が近づいた)
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(鏡ヶ池を見下ろす)
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(三本槍岳の山頂は混んでいた)
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こちらは、ハイカーがかなりいる。やはり人気の山のようだ。山頂の人だかりの気配も見えてくる。風が気持ちよい。晴れてくると、しきりに汗をかく。石のケルンを通り過ぎ、甲子山への分岐着。12時25分。大峠山の目線も越えた。ここまで来れば、三本槍岳も目鼻だ。ハイ松とササのヤブに覆われた傾斜の緩い登山道を進む。山頂直下、山頂から下りて来て、人気のないこちら側でタバコを吸っている青年がいた。ご苦労様だね。この年になると、平気でいられるけどな。12時35分、山頂。山頂には20人くらいのハイカーがいた。皆さん、お食事中。いきなり声をかけられて、シャッター係。折り返し、カップルは気を遣ってくれた。ようやく、流石山の尾根の全容が見えた。展望盤があり、それに合わせて風景を楽しむ。富士山は見えない。日光白根山も見えない。燧ヶ岳は見える。天気が良ければ、確かにいい山だ。かつて来た、霧に包まれた三本槍岳は何だったのか。風が強い。ビデオを回しているオッサンが、やたらと、「あれは燧ですよね。あれは何々ですよね」と聞いてくる。展望盤までビデオに収めていたのだし、こちらはそれ以上の知識はないよ。
(流石山方面にはまだ雲がかかっていた)
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(分岐を鏡ヶ沼に下る)
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(かなりの悪路)
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(鏡ヶ沼)
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鏡ヶ沼に向かう。だれも歩いていない。分岐から甲子山方面に行く。一気に道は狭くなり、左右から背の高くなったササが迫る。左下にはずっと鏡ヶ沼。金田峠から刈込湖を臨んだような風情に似ている。20分ほどで、沼への分岐。甲子山へのルートは本格的にヤブっぽくなっているが、整備はしっかりされていて、ササもきれいに刈られている。ここから沼までは悪路。トラロープが随所にある。粘土質のむき出しだったり、石がごろごろしていたりで、ここを上りルートで使うのは遠慮した方がいいだろう。鏡ヶ沼13時25分。あれだけ遠目にはきれいな神秘的な沼に見えたのが、間近にするとただの池にしか過ぎなくなるのは残念な話だ。林道終点にあった説明板によると、この沼の深さは17.8mもあるそうだ。灯籠があるはずと探したが、台座らしきものはあったが、本体はどこにあるのだろうか。熊がノソノソと出て来てもおかしくないような雰囲気。そういえば、さっきからケモノ臭が漂っていたが、どうも自分の身体から発散している臭いのようだ。この間の光岳以来、体質が変化しているのか、大量に汗をかくと、どうもケモノじみてくるようだ。何となく落ち着かず、タバコを1本吸って切り上げた。
(雲はとれたが今さら)
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(おセン宮)
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(林道に合流)
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だれも歩いていないから、こんなに晴れていても不安になって来る。鈴をなくしたから、時々、声を上げる。13時58分、林道に合流。ほっとする。ちょっと奥まったところに苔むした石祠が置かれていた。「おセン宮」と記されていた。裏を見たが、彫られた文字は読み取れない。やはり古道のなごりなのだろう。14時12分、駐車場に到着。先の2台の車はすでになくなっていて、新たな車が8台くらい加わっていた。今回は那須の山を見直した山行だった。どこにも寄らずに帰る。正直のところ、山の帰りに温泉に立ち寄るのはあまり趣味ではない。車で衣類をすべて着替えたし、気持ちが悪い状態でもなかった。やはり、東北道では渋滞に巻き込まれた。
只今大峠から三倉山、三本槍岳縦走紀行文読ませて頂きました。それにしても一日で縦走する体力凄いですね。大峠から流石山の傾斜が急で登りごたえがあるなと思っていましたが、下山時の方が大変だったようですね。三本槍岳からは、ガスが途切れて展望良好の那須連山が望め訪問した甲斐があった様ですね。それにしても縦走感心させられました。
縦走だなんてとんでもない。時間が余ってしまいどうしようかと悩み、せっかくだから、オッサンさんの記事を後追いしてみようかと思っただけの話ですよ。
オッサンさんも感心していらっしゃったけど、那須の山もいいですね。南月山という山には行ったことがないので、今度は行ってみようかなと思っております。紅葉の那須は混むでしょうね。
多少なりとも、ガスが切れ良かったです。
三本槍付近から流石、三倉山を見ると、随分遠くに見えますね。
鏡沼の紅葉は美しそうなので、いつか行ってみようと思っています。
ぶなじろうさんの流石山の記事を拝見しなければ、知らないままになっていたルートです。今回行ってみて正解でしたよ。
流石山もさることながら、紅葉の頃に三本槍岳の下りから鏡ヶ沼を見下ろせば、集中的に色づいた紅葉を楽しめそうだなと思ってしまいました。きっと、素晴らしい深い青と黄赤の世界が広がっているでしょう。
甲子山を眺めながら、ぶなじろうさんがスキーで行かれた大白森山の位置をようやく飲み込めました。
どちらかというとお疲れ様といった方がよさそうでしょうか。
私もたそがれさんと同じように前に三本槍岳へ行った時はガスで何も見えない状態でしたので、オッサンの記事を読んでいつかは鏡ヶ沼を見下ろしたいと思っておりました。
そうしたところたそがれさんが紅葉時期を待たずに訪問された今回の記事を読んでなんと決断の早い人なんだろうと感心しております。
鈴は消耗品ですね。
私も最初は気に入った音色の良い鈴を使っていましたが何度も無くしてしまい最近では音色よりも価格を重視して複数個在庫しています。
決断も何もありませんよ。一種のねだり、欲しがりのようなものです。ただ、オッサンさんの記事を見なかったら、すぐに行くこともなかったでしょうし、紅葉の時期まで待つと、混むのもやっかいでしてね。その時期、平日の休暇はちょっと無理な感じでもあったし、ついその気になったといったところです。
そうですか、鈴はやはり消耗品ですか。上高地で買った、ちょっと値のはる鈴だったものですから、惜しいことをした感じが残っています。今度は高級品は持たないようにします。
稲包山の検索から貴ブログを知りました。
光岳の日帰りにはビックリしました。
私もこの秋「流石山」~「三本槍」あたりを歩く予定にしていますので、とても参考になりました。
ただし、三斗小屋温泉に一泊するので、軟弱な計画ですが・・・。
これからもお邪魔します。
そうですか。三斗小屋温泉にお泊りですか。実は、私も、いつもの仲間と来月上旬に宿泊を予定しているのですよ。紅葉を期待しての泊まりなのですが、この分ではまだまだ早いようですね。