たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

七ッ小屋山から大源太山

2012年08月06日 | 谷川岳周辺
◎2012年8月4日(土)

旭原駐車場(6:00)……シシゴヤノ頭(7:55~8:10)……縦走路合流(8:50)……七ッ小屋山(9:30~9:40)……大源太山(10:25~10:40)……旭原駐車場(12:15)

 平標山側にある大源太山には行ったことはあるが、七ッ小屋山側にある大源太山にはまだ行ったことがない。いずれ近いうちにとは思っていたが、その機会もなかった。今日はたまたま、日中の雑用からは解放されたので、大源太山に行ってみることにした。朝4時に家を出る。ここのところ慢性的な睡眠不足が続き、3時半に起きるのは、さほどの苦痛にもならない。さて、この大源太山であるが、2つほどの不安要素があった。徒渉と岩場だ。普通、こちらの大源太山を歩く場合、ほとんどの方が七ッ小屋山とセットで歩いている。自分もまたそのつもりでいるが、大源太山直下・七ッ小屋山側には急峻な岩場がある。クサリ場になっているとはいえ、この岩場を下るのは恐ろしいだろう。そして、徒渉はシシゴヤノ頭と大源太山分岐の大源太山側にある。なぜか、ほとんどの方が時計回りをしているが、自分には、この2つのネックをカバーするには、反時計回りで歩いた方が無難であるように思える。岩場は上り時、徒渉は下り時に通過。これなら、徒渉で靴の中がガボガボになっても、駐車場までの歩きなら耐えられるはず。

(最初の渡渉点。これは予定外だった)

(「謙信ゆかりの道」分岐)

(適度にヤブっぽいところも有りだ)


 駐車場には車が4台あった。単独のオジサンがちょうど出るところだ。もう1台からもゴソゴソと出発する気配があった。このオジサン、車のナンバーを見るや、「群馬はどこだい?」と聞いてきたので、それなりに返答すると、「オレは伊勢崎だよ」とのこと。「グルリですか?」と伺ったら、「大源太だけだよ」との返事。登山届けを投函して6時に出発。伊勢崎さんはビデオを回していて、さっさと歩き出さない。先行出発する。その後、伊勢崎さんは、ゴソゴソやっていた所沢ナンバー氏と歩かれたようだ。樹林の中の道をしばらく行くと、予期せぬ徒渉に出くわした。ロープが渡されている。分岐はこの先だから、話が違うなと思ったが、大した苦労もせずに対岸に渡った。そして、すぐに「謙信ゆかりの道入口」の標識。「シシゴヤノ頭」「蓬峠」方面に入る。つまり、ここから謙信ゆかりの道だ。沢沿いに歩いているうちは良かった。風もスースーしていたが、沢から離れて行くに連れて無風になった。日陰になっているだけまだましだ。高温になっていない。水場を過ぎて、クネクネ歩きが始まる。今日は、先行者がいないのだろう。やたらとクモの巣を払う。小さなカエルも飛び跳ねている。ドタドタとヤブからキジが飛び出して行った。びっくりした。そういえば、来る途中、林道でテンを見かけた。

(シシゴヤノ頭に到着)

(まず、これが目に入った。あれが上越だか東洋だかのマッターホルンか)

(谷川岳から万太郎方面)

(武能岳、茂倉岳方面)


 クネクネ道はやがて急になる。本当に、ここ、謙信が越えたのかねと思ってしまう。馬を使ったのだろうか。足軽たちもなかなかの健脚だわ。この謙信ゆかりの道は尾根道ではない。トラバース道がずっと上に続いている。谷間の上にピークが見えた。あれがシシゴヤノ頭かなと思ったが、その西側にあるクロガネノ頭のようだ。依然として急な道が続く。道はところどころ、草に覆われているが、下には明瞭な踏み跡があって歩きやすい。ただ、周囲が開けていないため、同じ風景がずっと続いている。次第に飽きてきた。途中で10分休憩し、朝バナナを口に入れる。直進になってようやくシシゴヤノ頭に到着。陽がかざし、一気に、谷川連峰の景色が目に入った。一望とはいえず、残念ながら、茂倉岳と武能岳はガスで見えない。右手の谷川岳から万太郎、仙ノ倉山、平標山、左手の朝日岳、笠ヶ岳、白毛門は明瞭に見える。左後方には七ッ小屋山と異様な形をした大源太山。あの急峻な岩峰はなかなか手ごわそうだ。その後ろに巻機山。風がビュービュー吹いて、寒い感じすらある。気温は17℃。ここまでのタイムをある程度の体調目安にしておこうか。昭文社版のコースタイムでは4時間10分になっている。2時間弱で来てしまったが、これはコースタイムがおかし過ぎる。せいぜい2時間半から3時間といったところだろう。これなら、蓬峠側に道を逸れ、茂倉岳か武能岳まで足を延ばすのも無理な話ではなくなってしまう。今のところ、快足とまではいかずとも、足のモタモタや息切れはない。しかし、欲は出さないようにしておこう。今日のメインは大源太山だ。汗ばんだ身体を乾かして先に進む。

(笹一面)

(かろうじてニッコウキスゲ)

(シシゴヤノ頭を振り返る)

(こんなところを一人で歩いているなんて、最高のぜいたくだと思う)

(朝日岳方面)

(つい、振り返ってしまう)

(四ッ小屋山)

(四ッ小屋山山頂)


 一面緑の景色はいいが、刈られていない草むらをずっと歩いているようだ。笹ヤブがすごい。その下の道はしっかりしている。ズボンがあっという間に朝露で濡れた。アップダウンが続く。振り向くとシシゴヤノ頭。ようやくこのピークの全容を見た。それなりのピークだ。柄にもなく花を探しながら歩いたが、しおれかかったニッコウキスゲを数本見ただけ。縦走路に合流。風が相変わらず続いていて心地よい。ここからは、馬蹄形歩きをしている方に会ってもよさそうなものだがだれとも会わない。この草原の風景の中にまったくの一人だ。そのためか気分もいい。目を凝らすと、朝日岳の下に避難小屋と鉄塔。カメラのズームで双眼鏡代わりにする。あそこで水溜まりにはまって泥んこになったことを思い出す。七ッ小屋山もなかなか立派な山容の山だ。ひと登りで七ッ小屋山到着。風はさらに強くなった。気温19℃。こうも強風だと、大源太山への岩場の登りが気になる。しばらく休憩するも、ライターに火が点かず、タバコ1本吸うのに手間取った。

(大源太山に向かう)

(岩場の途中から見下ろす)

(直下のクサリ場)


 七ッ小屋山からは、大源太山との鞍部まで200mほど下降する。反対方向から来ればきつい登りだろう。足場もあまりよろしくない。単独氏が大源太山の方からやって来た。「下りの岩場はどうでした?」と聞くと、「それほどでもないですよ」とおっしゃっていた。この単独氏、おそらく、出発時にゴソゴソしていた所沢氏であろう。ニセ鞍部を登り返して鞍部に到着。早速、ロープが張ってあった。見上げる大源太山はそれほどの傾斜を感じない。この程度ならどこにでもある。ロープも使わずに登れる。ロープを2本通過すると、いよいよクサリ場になった。このクサリも、最初は使用せずとも行ける。2本目はさすがにつかんでしまった。東側に滑落してしまったのでは、その間、空中遊泳で気持ちはいいだろうが、その感想を伝えられぬままになってしまう。登りきって、ちょっと行くと山頂。この直下の岩場、余計な前情報を仕込んでしまったために緊張したが、特別なものではなかった。しかし、鞍部から山頂までは120mの標高差。しかも急峻だ。やはり、ここを下りで使用するのはいかがなものか。危険度は格段に高くなるはず。

(大源太山山頂)

(巻機山方面)


 山頂では伊勢崎さんが荷物を広げて食事中だった。缶チューハイなんぞ飲んでいる。「もう回って来たのかい」と言われる。この先、行かないのかとお尋ねすると、「ここだけで十分な景色を見られるのに、わざわざ先に行っても仕方がないよ」とのこと。ごもっともかも。オジサンの話を聞くと、やはり、所沢氏と歩いて来たらしい。所沢氏は4時に着き、6時まで仮眠していたようだ。他の2台は、釣りと沢登りだったとか。山談義をいろいろと聞かされた。タバコを吸ったら、「タバコを吸う人、珍しいね」。これも確かにそうだ。オジサンの言うことは単純明快、言いえて妙だ。

(中がシシゴヤノ頭)

(尾根を下る。暑そう)


 伊勢崎さんに「もう帰んのかい」と言われながらも下る。ここからのルートは尾根道になっている。道の状況はあまりよくない。随所にロープが張られている。上りで使ったシシゴヤルートは荒れてはいなかったが、ここは木の根や石が多い。そして、カンカン照り。暑い。2人連れ3組と行き会う。えらく長く感じる。紅葉はかなりきれいだろうと想像はつく。途中、足を踏み外し、ヤブの中に転げ落ちてしまった。這い上がるのがきつかった。指を切っていた。左右は急斜面の個所もある。ブナの木に、何年前のものか、落書きを刻んだものをかなり見かけた。この山に限らず、これはよく見かける。だれかがやれば、ついやってしまうのだろうが、顔にキズを付けられたように、木が痛ましい。

(渡渉点。ここはロープが1本だけ。今日はつかむ必要もない)

(登山口)

(駐車場)


 長い下り。沢音がようやくせせらぎに変わった。沢に着いた。水をがぶ飲みする。そして徒渉点。ここが懸案のポイントか。水が少ないためか、難なくクリア。しばらく進んで、アルミのハシゴを下り、今朝ほどの徒渉点に辿り着いた。顔を洗い、手拭いで身体を拭いた。汗はひかないが、風が気持ちよい。後は駐車場まで下るだけ。河原でしばらく休んだ。駐車場に着くまで、タクシー案内掲示がやたらと目に付いた。縦走でこっちに下る人もいるのだろう。駐車場には車が7台。気温は34℃にまでなっていた。今日は用心して水を3リットル持参したが、1リットルも空けなかった。風のおかげだ。何となく、物足りない感じが残る歩きではあった。だが、自分には、大嫌いな夏の歩き、せいぜい6時間歩きで十分だし、衰えがちな体力と気力にも分相応見な歩きだったかもしれない。




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8 コメント

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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2012-08-09 05:40:23
おはようございます。
この「謙信ゆかりの道」ですが、10年ほど前に出来た新道らしく、確かに地形図には載っていませんが、最近の昭文社マップにはありますよ。
写真で見るほどのヤブではありません。あのササの下にはしっかりした道がついていますから、コンパスも何も必要はありません。ただ、霧の深い日はどうでしょうか。
四ッ小屋山が初見とは、ぶなじろうさんらしからぬアンテナのようですが、表の谷川岳よりも、こちらの裏側が紅葉はきれいだと思いますよ。
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Unknown (ぶなじろう)
2012-08-08 22:37:54
今晩は。
フツーの山とおっしゃられているわりには、フツーでないような・・・。
地図をみたら、シシゴヤに行く道なんて無いじゃぁありませんか!ヨツゴヤも初見です。おいらのアンテナの精度に問題があるのでしょうね。
写真を拝見し、特に、「笹一面」は藪山好きの感性がモロに露出している感じを受けてしまいました。
道があろうが無かろうが、人ケが無くて綺麗な所が好きなので、今回の記事もとても参考になりました。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2012-08-07 05:38:27
おはようございます。
ハイトスさんの顛末記を確認してから出かけました。拝見し、やはり通常の回り方ではビビリまくりだろうなと改めて思った次第です。反時計回りが正解です。
シシゴヤノ頭ルートは、新しく造られた道だからでしょうか、石がゴロゴロしていたり、木の根が延びて歩きづらいということはなかったです。ただ、クネクネのトラバースがずっと続きますから、精神的にはうっとうしいかも。
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2012-08-07 05:33:06
おはようございます。
そうですね。みー猫さんが笠ヶ岳に向かわれていた日ですよね。雲は武能から茂倉にかけての一帯だけでしたよ。雲の様子を見ながら、中ノ岳にすればよかったかなとも思ってしまいました。あの山、行ったはいいが、カメラの故障で、写真が残っていなかったものですから。次の機会ですね。
花は、確かにあんなものでした。もっと満開かなと期待していたのですけど。それが少々残念。
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ななころびさん (たそがれオヤジ)
2012-08-07 05:26:17
おはようございます。
写真のおほめありがとうございます。私の写真なんぞでは、ろくな雰囲気も出ていませんが、最高の気分でしたよ。
谷川岳山域は、こんな岩場の山もありますが、至ってなだらかです。紅葉の時期に検討してみてください。ただ、谷川岳本体は混みますよ。
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東洋のマッターホルン (ハイトス)
2012-08-07 00:26:11
そこいらの山というので近場の里山かと思っておりましたら東洋のマッターホルンじゃぁないですか。
谷川山系の山々も綺麗に見えてなかなか良かったですね。
我々はあの頂上からの下りにビビッてしまいました。
反時計回りであれば登りになるので今回の方が良いでしょうね。
シシゴヤルートの方が荒れていないと言うのが少し意外でしたが、考えてみれば周回しないで往復する人が一番多そうですからしょうがないのかもしれませんね。
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緑の風景 (みー猫)
2012-08-07 00:12:33
こんばんわ。
笠ヶ岳から見た限り、新潟側は完全に雲の中かと思ってたのですが、そちらは意外にも、とってもクリアーだったのですね。花が少ないのは意外でした。ななころびさんの↑結構、的を得てると思いますヨ(笑)・・・・秋に行った時、テンとの接近遭遇が思い出されましたです。次回は周回したくなりました。
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最高の風景 (ななころび)
2012-08-06 21:30:53
こんばんは。フツーの山とおっしゃるので、どんな山かと思ってましたが・・・いつものたそがれオヤジさんのレポの写真とはうって変わって超キラキラした雰囲気(いい意味で)。本当に最高の景色ですね。
自分はこの山域もほとんど未体験なので是非挑戦してみたいです。周回する方向も参考になりました。まだ今回のレポ、写真を見ながらざっと一読み状態ですが、あとでゆっくり読み直します。
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