たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

やはりこんなもんだろうなの乗鞍岳

2008年10月13日 | アルプス系
◎2008年10月12日(日)─I男とK女

 せっかくの3連休。紅葉狩りにと軽井沢。K女が別荘手配。同行は我々3人にM女とF女。岩菅山か黒姫山、乗鞍岳のつもりでいたが、前夜、酒の勢いでM女も行きたいと言い出した。M女もF女も山の準備なんかしていないし、じゃ物見遊山の上高地探索にしようかということになった。しかし、上高地の地図なんか持ってきていない。駅まで出かけて地図探しをしたが、本屋そのものが無い。仕方なく、頭の地図で行けばいいということにした。今回、残念ながら行けなくなった木にも電話相談をしたが、酔っ払っている彼氏は行ったこともないくせに、絶対に乗鞍がいいと言う。正直のところ、人混みの上高地に行きたくはない。ところが翌朝、M女は、愛犬モズクの調子が悪いから、留守番していると言い出した。朝4時過ぎのこと。結局、当初の予定通り、3人で乗鞍岳に向かう。軽井沢発4時50分。おにぎりはF女が作ってくれた。なかなか協力的で、準備をマメに手助けしてくれて助かった。ただ、おにぎりの中身がすべて梅干しだった。確か、昨日の買出しで、明太子もおにぎり用として用意したはず。二人とも、あれから寝直しして、10時に起き出して、アウトレットに行ったそうだ。戻って来たら、K女にCOACHのバックを見せつけられた。前夜の「いっしょに行く」と言い出したのは何だったのだろうか。

 乗鞍高原観光センターに着いたのは7時10分。駐車場が混んでいて、線引きしていない隅っこに車を駐めた。所沢ナンバーのワゴン車が2台、ここで生活しているかのように、朝食の準備をしている。オレたちのスタイルを見て、「山に行くのか?」と聞いてきたが、あのジイサン、バアサンたちは何をしに来ているのだろうか。車の中はベッドルームに改造している。標高は1400mくらいだろうか、紅葉が始まりかけている。順調だったのはここまで。畳平までの乗り物の選択を完全に間違えた。料金は高いけどタクシーの方が、1時間間隔のバスよりは便はいいだろうと考えたのが甘かった。畳平までは片道20Km。往復にして40Km。それをタクシー8台で運行しているという。駐車場に入った時にタクシーが1台出て行ったが、これが8台目のタクシーだったのだろう。タクシーはなかなか戻って来ない。まさか、こんな時間、上で客待ちしているわけでもあるまい。その間に、バス乗り場では、どんどん人の列が長くなっている。あそこから後ろは9時のバスだろうなと、むしろ、冷やかな目で見ていたりした。タクシー8台の情報を得たのは30分待ってからのことで、その際、「最初のタクシーがそろそろ下りて来ますよ」と言われた。しかし、そろそろタイムを待ってもなかなか来ない。今さら、バスに並んでも乗れないだろう。ところが、バスはどんどん入ってきては、数珠つなぎのバス待ちをさばいていっている。つまり、バスは1台での運行ではなく。いっぺんに5~6台で1時間おきに出発ということだった。いい加減にタクシー待ちをやめにして、バス待ちの方に並んでいたら、完全に8時発のバス2台目には乗れていた。バスが1台出て行き、ようやくタクシーがやってきた。しかし我々の順番は2番目、しびれを切らし始めていた1番目の3人を乗せて2台目が来たのはさらに10分後。8時発のバスはすでに3台出て行った後のこと。タクシーを待って1時間以上経過していた。

 ドライバーさんは眉間に縦じわを寄せたような気難しい顔をした方で、お名前は川端さん。畳平までしんどいなと思ったが、意外と気さくなドライバーさんで、いろいろと情報を提供してくれた。一週間前に初冠雪があって、通行止めになった話やら、畳平からのルートガイドを案内してくれた。そして、今朝は素晴らしい雲海が広がっているそうだ。山の中腹がちょうど紅葉の見ごろ。山頂付近はもう終わったそうだ。そうだろう。2週間前の空木岳が見ごろだったから、その間、下に降りて来ているのは当たり前だろうな。

 畳平に着いたのは8時50分。途中で、先行して行ったバスをすべて追い抜いてくれたのがせめてもの救い。でもどうもおかしいな。同じALPICOで運営しているバスとタクシー。バスの利用客よりも高額の代金を払っているんだから、もっと、高い利便性を感じる運行をして欲しいものだ。少々腹が立った。料金は7,800円。これには、有料道路の通行料とか畳平での駐車代が含まれている。帰りはこれがなくて、メーター通りの7,200円だそうだ。車の窓にはカード使用可マークシールが付いていたが、カードは不可とのこと。マイレージを貯めるつもりでいたK女にはがっかりの現金払い。紅葉は2,000m付近が盛りだった。

 早速、出発。しかし寒い。息が白くなっている。土の塊には霜柱。しかしながら、人が多い山。一気に2,700mの世界。こんな楽勝な山が他にあるだろうか。軽装のハイキングスタイルが目立つ。周りの植生はハイマツだけ。お花畑は薄茶色になっている。山頂の剣ヶ峰以外に用事はないから、とにかく、剣ヶ峰を目指す。鶴ヶ池から富士見岳口。富士山がきれいだとドライバーの川端さんから教わったが、先行き不安定なK女のことを考慮すれば、後回しだろう。コロナ観測所のある摩利支天岳もこの際パス。あきれる程の広くて整備された道。車道を歩いている感じ。傾斜はほとんど無いに等しい緩やかな坂道。少し下って肩の小屋。ここからようやく、本格的な上りになる。3つのピーク。左端が剣ヶ峰。300m程の標高差か。石がゴロゴロしているが、不安定さはない。K女が遅れがち。暑いのか、脱いだり、また着たりしている。I男も汗をかき始める。ところが、どうもオレは汗一つかかない。それも当然と言える。最初から、震えるような薄手の格好をしている。普通のシャツに薄いフリ―スだけ。むしろ、K女もI男も3,000m級の山に見合う格好をしていた。こんなに人が多いと、と心配していたように、最初のピーク朝日岳の手前で渋滞。多くの人が登っているのに、上からはあまり下りて来ない。上でつまっているのは確かだろう。赤ん坊を背負った女やら、延々と大阪弁でしゃべりまくっているジイサン、嬌声を上げるネエチャンたち、茶髪のニイチャンもいれば、黙々と登る単独もいる。とにかく、いろんなのがわんさと登っている。

 剣ヶ峰直下で道は二股になる。上り専用と下り専用。ペンキにも矢印があるし、表示もあるが、これを多くが守らない。だから、余計に無駄な渋滞になってしまう。10時15分、剣ヶ峰着。山頂はやはり混雑。剣ヶ峰の標柱の前での撮影は順番待ち。K女はなかなか登って来ない。I男相手に写真を撮ってやるつもりが、他人のシャッター押しをせがまれたのが2回。3回目にして断わった。「オレたちも撮らないといけませんから」と。撮影にK女は間に合わなかった。撮ったのはI男の登頂記念だけ。しばらく待ってK女の到着。何やら疲れ切っている感じで、足取りも重い。狭い空間を見つけておにぎりを食べたが、K女はしばらく口にしなかった。これも高山病の症状だろうか。薄日にはなってしまったが、展望はすこぶる良い。この間登った空木岳も確認できた。御嶽も間近に見える。ここからの槍の展望は、どうも拍子ぬけした感じがする。ただのトンガリ山。槍はやはり真下から見る山だろうか。富士山がかすかに見える。こういう大勢がいるところでは、必ず解説者がいる。あれが野口五郎、三俣蓮華、……。野口五郎まで確認できるとは素晴らしい。かすかに俗っぽい会話も聞こえた。「だれそれさんは、まだ財務省にいるんですかね?」。こんなの、山に来るなよ。タバコを吸いたかったが、他人の迷惑になるような感じで、I男と我慢したが、隣に到着したニイチャンたちが、早速、吸い始めたものだから、つい、吸ってしまった。

 山頂もだんだん人だらけになって行く。ここらが限界かと立ち上がったが、あっという間に座られた。標柱の間近の人ごみの中で堂々とタバコを吸っている大胆なオッサンがいた(ここで、「勇気あるオッサン」と記したら、喫煙撲滅なんとかという方から、批判のコメントがあった。敢えてコメントからは外したが、まっ、こういうご時世だから、「大胆なオッサン」とした。ブログも、言葉選びが大変だね)。下りは、どうもペースが落ちる。みんな慎重に下っているからだが、ズルッと、派手に滑って転んでいるオヤジもいた。隙を見ながら、さっさと駆け降りる。肩の小屋でしばらく待っていたが、10分後にようやくI男とK女が到着。すごくやさしいI男。とうにオレは2人を放り出していた。ここでコーヒータイム。小屋でI男が土産の乗鞍グッズを物色したが、彼女向けのはないらしく、手ぶらで戻ってきた。後は帰るだけ。剣ヶ峰で展望を満喫したから、もう富士見岳も摩利支天岳もいいだろう。絶え間なく、登って来る。小屋に泊まる人も多いようだ。ここからのご来光は素晴らしいだろうな。雲海に登る日の出の光景か。そういえば、本格的な機材を持ったカメラ小僧ならぬ、カメラジジババが多いのにはびっくりした。

 小屋から30分もかからずに畳平のバス停着。途中、I男がビーチサンダル履きの若い3人を目撃。手にはコンビニのビニール袋。こんな山なんだろうな。確かに、登れないこともない。しかし、I男はいろんなものを見ている。精神的な余裕があるのか、感心してしまった。行方不明者のポスターなんかも、オレには気づかなかったこと。帰りは迷わずバスにした。往復2,400円の片道1,400円。係員が不思議な数え方をした。「お一人1,400円ですから、2,800円の…、4,200円ですね」。普通、1,400×3とするのだが、この方は1,400×2+1,400とした。こちらの方が複雑な計算になるような気がするのだが。下りのバスも、なかなか運行が鈍い。バスが揃ったところで乗車させる。30分近く待たされた。エコーラインの狭さに問題があるらしく、バスが散発的に来ると、対向車線の車も危ないというようなことを川端さんが言っていた。バスの中では、オレとI男がつい寝てしまった。K女は高山病からもようやく立ち直ったらしく、ミカンを食べてコーヒーを飲んだ。

 駐車場に到着。隣のワゴンは相変わらずそのままで、コールマンの折りたたみイスに腰かけ、パンダナを巻いたジイサンの傍らで、バアサンが昼飯の支度をしていた。I男が観光センターの食堂で、カレーが売れているのを見てしまい、しきりに食べたがり、こちらも食べたくなった。しかし、M女とF女が鍋料理を準備しているはず。電話でキャンセルして、カレーにしてくれと言うのも失礼な話だろう。松本インターまでは、やはり行楽帰りの渋滞が始まっていた。I男が運転しながら、ポツリと言った。「最初、乗鞍と聞いた時は、そんな山に自分は登れるのかなと思いましたけど、実際に来てみて、この間の空木のような爽快感と達成感は無かったすね」。位ヶ原あたりから歩いていれば、また別の感触があったかもしれないが、そんなにのりびりとした山歩きも出来ずに、今回は山頂ピストンで終わってしまった。まっ、たまにはこんな山歩きも有りでいいだろうな。しかし、あっけらかんの百名山も、自身、今年に入ってから霧ヶ峰に続いて2回目になってしまった。少々、楽する方向に向かいつつある気配。よろしくないねぇ。

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4 コメント

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自慢しちゃった (K女)
2008-10-13 19:54:53
色々と今回もありがとうございました。まさか、自分が3000Mの山に登るなんて考えていなかったから感激でした。家に帰るなり、家族にまるであの登りの遅さを忘れたかのように、軽く登ったように話してしまいました。
雲海は飛行機からしか見たことないので、素敵でしたね。槍の展望は私にはりりしく男性ぽく、見えたけどね。近場から見たのはもっと素晴しいと言う事ですか。
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のらりくらりだから「乗鞍」 (俺だ)
2008-10-14 18:46:09
いきなり2700mの雲表の散歩とは、よかったね。感激も無かったろうが、こんな山歩きもたまにはいいか。今度は、残雪期にスキーかスノーシューだな。ところで、今回は軽井沢で事件は起こさなかったのか?その辺を確認したい。
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事件 (mailaddress-1234/)
2008-10-14 21:12:58
何もないよ。朝起きて、モズクのオシッコたまりに足を入れてしまい、足を洗いに行ったら、どういうわけか、足指が光っていた。よく見ると、マニュキュアを塗られていた。落ちなくて困っている。その程度のイタズラだ。特別な致命的な事件はなかったよ。ところで一時引っ越ししたんじゃないのか?ネット環境は整っているのか。
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K女さん (たそがれオヤジ)
2023-07-11 22:33:40
古い記事、もう15年前になるんですね。その頃は、自分のブログに対しての返信もない非常識だったみたいでお詫びします。
自分の新しい記事に乗鞍岳の熊を入れたら、その時の記事を見直してしまい、こんな始末です。
乗鞍岳、懐かしいですね。寒かったのだけは覚えています。そして、タバコを吸いたかったこと。
K女さんが喜んでくださったこと、うれしく思っています。さっきのテレビでみましたが、山梨でブドウが大量に盗まれたこと。農家には気の毒ですが、大菩薩の小屋でブドウ食べ放題だったことを思い出しました。
K女さんの目に触れることもない返信ですが、15年経っても返信していない非常識にあきれました。お詫びして、我ながらの良き思い出として、改めて心のタンスに入れておきます。
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