たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

大屈沢左岸尾根から石倉山

2015年11月23日 | 足尾の山
◎2015年11月22日(日)

赤法華公園梅林公園(8:30)……石倉山(10:30)……車道(12:10)……駐車地(12:50)

 一昨日行くつもりだった石倉山。石倉山は5年ぶりになる。今日もどんより天気だが、雨の心配はないようだ。足の痛みと風邪の諸症状はまだ残っているが、たいした歩きをするつもりはないので問題もない。
 石倉山は、最近、瀑泉さんふみふみぃさんが大萱山をかけて行かれていて、それぞれ面白いコースで歩かれているが、自分の場合はどうも北側からの歩きにこだわってしまう。こだわりの理由はまったくない。とはいっても、北側ルートは向原から988.6m三角点経由で歩いたことがあるのみだ。今回は大屈沢の左岸尾根から1024m三角点に立ち寄り、石倉山に出る。帰路は車道歩きが長くはなるが、久良沢に出てみようと思っている。出発地点は赤法華梅林公園。いつも何となく前を通ってはいるが、意識して調べたのはごく最近。梅の名所らしい。一昨日の帰りに下見をしてきた。小規模の公園だった。
 ちなみに、赤法華は「あかぼけ」、久良沢は「きゅうら沢」と読むらしく、一連の事前調べでは、988.6m三角点は「大屈山」と呼ばれているらしい。この三角点も、実際に歩いてはみたが、尾根の途中にあり、大屈山はその先の1020mピークではないかと思う。ただ、今回経由した1024m三角点も基準点名が「大屈」となっていて、実際のところはよくわからない。ちなみに、石倉山1113mの南西にある1109m三角点は「中山」、さらに南の県境稜線上にある1105m三角点が「石倉山」になっていた。
 基準点名を気にすると山名も混乱してしまうので、あまり深入りしない方がいいだろう。いまだに小中山、神戸山の位置が釈然としないままでいる。自分的には、地元で裏の山というなら「裏の山」の名称でいいと思っている。

(赤法華梅林公園)


(大屈沢に下る)


(尾根の取り付き)


 赤法華梅林公園にはしかとした駐車場はない。置けそうなところに駐車してもいいのだろうと理解した。今日は地下タビで出発。公園から大屈沢は見えていないので、取りあえず地図にある実線の作業道を進んでみた。右下に沢が見えてきた。沢まではえらく高くて急だ。どうやって下りればいいのだろう。歩きながら思案していると、何となく踏み跡のようなものが見え、そこを下った。これとてかなりの急斜面だ。
 沢に出た。おとなしい沢で、こちらは思案せずとも渡れる。だが、尾根の末端は明瞭ながらもかなりの急斜面。ここを登らなきゃ先にも進めない。おそらくこのエリア、山林の作業が入っているようで、しっかりした作業道が別に上に続いているのだろうが、そんなことはこの時点では知らずに、ためらいながらも取り付いた。

(きつい登り)


(左にフェンスが出てくる)


 きつい出だしだった。岩混じりで足場ももろかった。何とか安全地帯に出ると、右斜面がなだらかになっていて、もしかしたら、そちらから楽勝で登れたのかもしれない。まぁ、往々にしてそんなものだろう。
 細い荒れた尾根が続いている。そのうちに左手にフェンスが現れると、尾根も次第に広くなる。しばらくは左手のフェンスに沿って登る。古いちぎれたビニールヒモもところどころにあるが、これは作業用目印のような気がする。そして、印の入っていない荒削りの石標も続く。この石標にやがて赤ペンキ頭と山一の古河印が加わる。
 天気がどんよりしているせいか、下の沢音が消えてからは、絶えずクマの出没が気になった。クマフンこそまだ見かけないが、フェンスを境に左は植林、右は広葉樹になっていて、ドングリもあちこちに落ちている。いつもの歩きとどうも雰囲気が違う。そんな植生環境だから余計かもしれない。このビクビク感は最後まで続き、石倉山からの下りでは新しいクマフンがやたらと目に入り、何とか早く下山してしまいたい気分にかられた。気休めでしか過ぎないが、使う理由もないストックを出し(襲われたらまずはこれで力任せに突いて時間稼ぎをして逃げるつもりでいる)、スズの鳴る音が高くなるようにやたらと調整したりした。こんなことはこれまでにあまりないことだ。

(右手にカラマツ斜面)


(これはどう見ても防火線跡だろう)


(こんなごちゃごちゃがじゃまになる)


 傾斜はなだらかに安定してくる。右上にぼんやりとピークが三つほど見えている。石倉山だ。そろそろ防火線の名残が出てくる。だが、気持ちのいい尾根と言うにはちょっと無理がある。防火線の間に灌木が繁り、フェンスに倒木が横倒しになっていたりして、じゃまなものが多くてスムースには歩けない。
 右からカラマツの斜面が上がり、左手の植林はさらに遠ざかっていった。フェンスも離れていく。植林保護のためのフェンスということだ。雰囲気が幾分良くなり、歩きづらさも解消した。

(あのピークには向かわずに)


(巻いて、向こうの尾根に乗る)


(三角点峰に向かう)


(1024.4m三角点。この三角点を目にするのは年に何人いるのだろう)


 上にピークが見える。地図を見る。1024.4m三角点分岐のようだ。そして、右を見ると、三角点に続く尾根。この先で合流している。下には巻いてショートカットするような踏み跡が続いている。わざわざ目先のピークを越えるまでもないだろう。踏み跡を辿って、尾根を乗り換える。踏み跡はきっと作業道だろう。
 鞍部に着き、軽く登って三角点。これが「大屈」三角点。三等三角点があるだけの狭い平地。ここから尾根伝いに砂畑に抜けられそうだが、先日、ふみふみぃさんご一行が薄暗い中を下部で徘徊されていた。このコースはいずれ機会があったら歩いてみることにしよう。場合によっては滝も見られるようだし。

(目印をつける。左から下って来たが、帰りは直進する)


 三角点を後にして、今度は巻きに復帰せずにストレートに尾根に復帰する。なだらかな登りと下り。そろそろ複雑な地形になってきた。細かい尾根と沢状があちこちに見える。大屈山から続く尾根との合流ポイントだろう。帰りはここに戻って、一旦、大屈山の方に向かう。間違えそうな気がして、目印に赤リボンを樹に括り付けた。

(石倉山に向かう)


(石倉山)


(ハイトスさん山名板)


 この先は明瞭。ピークをいくつか越えて石倉山に着いた。早速、ハイトスさんの山名板を拝見する。裏を見ると署名入り。念のため補強用材を持参して来たが、その必要はなかった。それまでここに山名板があったかどうかは記憶にないが、この先の三角点の方には山部氏の「石倉山」山名板があったことだけは記憶している。

(続いて1109.2m三角点に)


(ここで戻る)


 ここで一服したいが、知らぬ間に霧雨になっていた。ガスが出はじめている。件のクマの心配もさることながら、さっさと三角点まで行って引き返すか。また起伏が続き三角点に到着。山名板は消え、殺風景な場所になっている。後ろの崖下を覗こうと思ったが、その気になってはまずい。戻る。
 石倉山で一服して、菓子パンを食べる。では下るとしましょう。その前に高度計を合わせる。1024mで合わせたのに微妙に高くなっている。やはり天気は下り坂のようだ。遠くで銃声が聞こえた。狩猟解禁か…。
 さっきのリボンポイントに戻って、リボンを回収して、コンパスをセットする。まずは北東の1040m。そこからこの先は微妙に東北東になる。地形がややこしいところで向きを間違えたら徘徊することになる。植林の中でさまようのだけはごめんだ。

(分岐からは、まずはあの尾根)


(ここ一か所にだけ集中していた・不思議な光景だった)


(細かい尾根やら沢筋)


(もう大丈夫だろう)


 1040mでまたコンパスをセットし、その先で大屈山に下るメイン尾根から外れる。紛らわしい尾根がいくつか出てくるが、コンパスに合わせて下った。なだらかに続く尾根にそのままに入り込むと、コンパスは別方向になった。戻って確認すると、先に上から見ていて気づかなかった急なヤセ尾根があった。要注意だ。地図上にはもう枝尾根はないはず。念のためにGPSを確認すると間違えてはいない。安心して下れる。

(大屈山が見えた)


 右手が植林帯となった。際に沿って下る。左手に伐採地。この伐採地、かなり古いようで、その後の植林もなく、もう自然に戻りつつある。左手先に見えるのは大屈山のようだ。山肌の斜面、ところどころの色づきがある。ピークを過ぎているとはいえ、晴れていたら、もっと映えていたかもしれない。

(急斜面になってくる。嫌な予感)


(やはり、この先は急降下していた)


 伐採地を過ぎると、急斜面になってきた。このままで下れるのか不安になってくる。下はすでに近く、民家の屋根が見えている。嫌な予感がした。やはりそうだった。尾根は落ち込んでいた。これは無理だ。右の植林に入り込むしかあるまい。

(抱きついて下る。樹の間が離れていて、かなり荒っぽく抱きついた)


 植林の中とて急だ。救いは樹があることのみ。これを知っていたら、もっと早々の対応もあったろうが、もはや遅い。あの必殺技を使うしかあるまい。抱きつき下り。ロープを持参しているのにすっかり忘れている。
 手荒な抱きつきを繰り返して、下の久良沢に降り立った。作業小屋のような物置があって、対岸の目の前には民家がある。ヤレヤレとため息をつき、大石に腰かけて一服。霧雨はいつの間にかやんでいた。

(久良沢をしばらく下る)


(結局、車道に出た)


 さてと、渡渉点を探す。ここは大屈沢と違って、大石がゴロゴロしていて、スパ足袋ではちょっときつい。様子見をしながら沢沿いを下る。余談だが、この久良沢にはかつてマンガン鉱山があって、その筋の方には鉱石採集の対象になっているらしい。
 向かい側直近に県道や車が見えているのに、往生際が悪く、無理に岩をへつったりしながら下流に向かっている。目指すは県道がこちら側に入り込むところだ。だが、部分的な作業道はあれど、通しで行けるようなものでもない。どうしても、沢に一旦下る形になり、歩行を遮る岩盤も出てくる。これでは嫌気もさしてくるし、かえって危ない。とうとう、石伝いにジャンプして対岸に渡って車道に出た。

(赤い鳥居と小さな石重ね。中には首欠けの石像)


(水神碑)


(「足尾温泉 白樺の湯 源泉地」とあった。ここから引っぱった「琴の家」はもうない)


 長い車道歩き。ここは以前、粕尾峠の方から歩いたこともあって、さして抵抗感はない。都沢にかかる橋を渡ると左に赤い鳥居を見えたので覗きに行ったり、古い橋を歩いてみたりと飽きることはなかった。名水の水汲みにいらした方もいた。これもまた余談。「内の篭」という地名だが、正確には「内の籠」で、読み方も「ウチ」ではなく「ウツのこもり」。集会所の看板にそうルビがふってあった、

(中倉山はガスの中。やはり気になる)


 国道に出て梅林公園に向かう。今日は連休の最中だけあって車の通行量も多い。

(梅林公園入口)


 梅林公園に着いた。あるのは自分の車だけ。少し下の国道から車のエンジン音が絶えず聞こえているのに、ここの風景は静寂で異次元の世界のようだ。公園を一回りしてもあっという間だ。シカフンがやたらと転がっていた。
 汗もさしてかかず、着替えもせず、ほこりをはたいただけで車に乗り込む。

 石倉山は超地味な山だ。今日のように、この山だけでは何ともつまらない。肝心な眺望がまったくないのだ。これは、どこのルートを経由しても同じだろう。やはり、県境の尾根を経由し、少なくとも大萱山を加えた歩きが無難かもしれない。瀑泉さんがご覧になったススキ野は改めて来年でも見に行くことにしよう。

 帰路、かねてから懸案の丸美屋自販機に立ち寄るつもりでいたが、今日もまた混んでいたのでパスした。先日、でんさんがここに寄って、海老天をゲットされたようだ。足尾に向かう時はいつもそのつもりで行くのだが、今朝もまた目を覚ましたのが遅く、立ち寄る時間もなかった。次回は、ぜひ寄ってみることにしよう。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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8 コメント

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Unknown (ふみふみぃ)
2015-11-24 20:56:40
 先日1024.4mを訪れる一人になる筈だったのになあと記事を見て改めて。大屈沢左岸尾根はその際歩きたかったのでたそがれさんの記事で様子が分かり幸いです。
 砂畑に向かう尾根もそうでしたが大屈沢左岸尾根も灌木以外には藪たちがいないのですね。
 展望はない場所ですが複雑な地形で細かい支尾根がうじゃうじゃあって色んなコースが考えられそうで私は嫌いじゃないですこの周辺。簡単に迷えるということでもあるのであれですが・・。
 たそがれさんが久良沢に下られた尾根は作業道がないのですね。私が久良沢上流の破線部先突堤近辺で遭遇した作業道がどこに繋がっているのか気になるのでいつか探しに行こうと思います。
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Unknown (ぶなじろう)
2015-11-24 21:16:21
今晩は。
赤法華梅林公園ですね!
この山、いったいどこから取り付けばよいのかと思っとりました。
国道から見上げた時、頂稜付近だけツツジが見えたような記憶がありますです。
いつになるか判りませんが、いずれは訪れてみたいです。
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ふみふみぃさん (たそがれオヤジ)
2015-11-24 22:18:27
ふみふみぃさん、こんにちは。
マニアックながらもオーソドックスな歩きにしました。
石倉山のみの歩きにそんなに時間をかけたくもなかったし、メインは、ふみふみぃさんが見逃したハイトスさんの山名板の拝見でしたので。
大屈沢左岸尾根はヤブはありません。踏み跡があるかといえば疑問ですが、尾根型が明瞭ですから、迷うことはないでしょう。問題は取り付きです。もっと、楽チンな入口があるかと思います。
石倉山周辺、コンパスをセットしても、地形が複雑ですから、あらぬ方向に行っても許容というか、しかたがないでしょう。問題は、いかに復帰するかだと思います。
ただ、周囲に車道がありますから、南に向かわない限りは救われるといったところではないですか。
久良沢の破線、ありますね。気にもなりますし、確かに興味も出てきます。
こちらはアクセスも近いし、先に調査に行ってきましょうかね。とりあえず、当面のこだわり目標はありませんし。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2015-11-24 22:42:53
ぶなじろうさん、こんにちは。
石倉山は、つい、ネット記事でもそうですが、大萱山なり地蔵岳を経由するのが王道といった感がありますが、単発で行かれるのでしたら、この、梅林公園から登って、帰路は大屈山からの下りがよろしいかと思いますよ。向原からの車道歩きはせいぜい10分です。
それぞれの尾根の末端は厳しいですが、短時間ですし、秩父の榊山ルートに比べたらたいしたことはないでしょう。

赤法華梅林公園は、大間々方面からなら122号線バイパスをそのまま行き、左に双愛病院を見て、すぐに右に入口の道標があります。坂を上ると公園です。ここの梅林がどの程度のものかと知りませんが、いずれ、梅林だけでも見てみたいと思っています。
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石倉山 (瀑泉)
2015-11-24 23:17:04
お疲れ様でした。
いただいた書き込みに,1024.4mとあったので砂畑からの直行ルートかと思ったら,大屈沢左岸尾根でしたか。それも,赤法華梅林公園からとは。
いつも,入口の案内板が気になってはいましたが,此処を起点にすることなど思いつきもしませんヨ。
ちなみに,この日は,たそがれオヤジさんの後追いで,足尾の原向から石倉山・地蔵岳にしようか,それとも,白浜山から椀名条山の周回にしようか悩んで,結局,後者を選択したんですヨ。
そんなワケで,チョット惜しいことをしましたヨ。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2015-11-25 05:59:48
瀑泉さん、こんにちは。
やはり、皆さんそうですね。赤法華梅林公園というのは盲点のようなスポットですから、中まで入って見てみようかとそそられる所でもないですよね。
私も地図を見ていたら、そこに梅林公園があったというところ程度のものです。
お薦め度としては、変化を求めるのでしたら面白味はありません。むしろ、向原末端から大屈山経由で登られた方が幾分は変化もありますね。どだい、石倉山単発はいろいろ期待するには無理もあります。

瀑泉さんが行かれた白浜山、椀名条山。きっとそうかなと思っていました。私も、そろそろそちらに目を向けることにいたします。
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石倉山 (ハイトス)
2015-11-27 00:32:18
こんばんは。
なるほどそういうことだったのですね。
たそがれさんは何度もこの山に登られているはずなのに何でまた候補に挙げられたのかわかりませんでした。
向原から登って復路は大屈山のルートは以前からたそがれさんの後追いをしようかと思っていてそのままになっております。
赤法華梅林公園が利用できるのですね。
試してみます。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2015-11-27 05:35:11
ハイトスさん、こんにちは。
こう記すのもおこがましいのですが、実は、ハイトスさんの山名板を拝ませていただくこともまた目的の一つにしておりました。
なかなかシックな感じの山名板でしたね。あの辺、殺風景ですから、いい存在感でしたよ。
石倉山の後に田黒山を予定していましたが、さすがに荷が重すぎました。
石倉山も、いろいろなコース取りができそうですから、その点は面白い山かと思います。ただ、これだけではやはり短い歩きになってしまいますね。
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