030:政治（富田林薫）

描きかけのミッキーマウスの似顔絵を破いて君は政治家になる

029:草（富田林薫）

草原を青一色でぬりつぶす売れない画家の靴下のよう

028:おたく（富田林薫）

この道を左に行くとおたく村　罠があるかも気をつけたまえ

027:嘘（富田林薫）

嘘は嫌いあんたも嫌いすべて嫌い　うそはウソだと言ってくれなきゃ

026:垂（富田林薫）

垂直に上昇してゆく飛行機は母のもとへと近づいてゆく

025:とんぼ（富田林薫）

青空を忘れてしまった君の目にとんぼのメガネをかけてあげよう

024:牛乳（富田林薫）

今夜まで夢見る少女でいさせてと牛乳石鹸抱きしめている

「やった！遂に完成した。この発明は人類の歴史を変える？」。

失恋のつらい思いで甘くする涙分カット甘味料

筆跡とハンコも真似る全自動電子制御の婚姻届

日曜の家事全般を楽にする夫から主婦転換装置

日曜はゆっくりしたい主婦のため夫子供に停止ボタンを

髪の毛を一本ちょうだいしたならばアナタが増える培養装置

いま一歩踏み出しきれない君の背を優しく見守る後押し装置

「The Origin of Species」。

お互いのＤＮＡでも検証し進化論なぞ討議しません？

こんばんはとても元気がよさそうねお尻フリフリお尻星人

君とならとても素敵なモアイ像つくれる気がする南の島で

「失恋論はムツカシイので失恋たん」。

失恋をため込んでいる貯金箱　割りたくなる日がたぶん大安

思い出のセブンスターが薄れゆく初夏の嵐になればいいかと

失恋を悟られないようアルプスの少女をみてるクララが立ったわ

「無敵の力はぼくらのために」。

傾きをなおそうとして傾きは反対側に傾いてゆく

坂道を登る力をママチャリに伝える足にタンパク質を

離散的空間並進対称性をもつ物質が結晶なのだとさ

大きさを確かめている心臓の鼓動と熱にいだかれながら

新宿の人ごみの中立ち尽くしゴミじゃないって叫びたくなる

唇の震えが止まらぬ真夜中はどうしようもなくブレストファイヤー

023:結（富田林薫）

一刻の猶予もないぞさあすぐにファンデルワースル結合せねば

022:レントゲン（富田林薫）

「胸骨がとってもいいよ骨太で」わたしの彼はレントゲン技師

「焼き鳥は何がお好きですか？」。

この時期に野外活動ダメなのよ紫外線たら強すぎるのよ

君の手を握る力は万力の百分の一でも放さないから

クマさんと言えばプーさんなんだけど熊牧場にも春はくるのさ

初夏の風　野菜畑は満開でニンジンきゅうりブロッコリーは好き

風かおり四月はいつも新しい自分がいるよな気がしてならない

ガンダムにでてくるMS数あるがグフの立場はとっても微妙っ

焼き鳥はネギマと決まっているじゃないスナギモったらっ、ええ、ああ、もう、あーーーー。

021:美（富田林薫）

そんなにもわたしのモモに触れたいの？美脚キックが炸裂するわよ