カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「2009年11月」。

2009-12-01 05:42:33 | Weblog
題詠blog2009:093~100。

ズゴックをちら見しながらアッガイのアイアンネイルを磨く赤鼻

彼方より白いあくまがあらわれて緑児たちをぼこぼこにする

食卓塩の赤いキャップが三倍の速度で飛んだ お皿も飛んだ

ミノフスキー粒子量はマイナス傾向 外の天候は曇りのち雨

ザクとしてザクとしてヒートホークの鋼鉄の切断面の美しさ

電気代節約のため無駄なビームサーベルはまめに消灯しましょう

兄さん私たちまた戻ってきたのよこのコロニーになのに何故

好きという言葉ですべてゆるしあう世界はきっとまあるいでしょう

うたのわ。

空に近付くのか空が近付くのか思ったより猫の寿命はみじかい

言い出せないこともあるだろう沢山の独り言を集めて森に放つ

ブレーキを踏みそこねて突っ込んだゴルフカートみたいな幕切れ

あいされることを忘れたおぼろ豆腐をやさしく掬い取るような夜

ブレーキの踏み加減でベテランか否かわかるのだ 朝の通勤電車

焼き鳥がいいねと君が言ったから一本百円の立ち飲み屋も思い出

知らない駅の不動産屋を訪ねてペット可の物件を探す 猫が友達

自販機の缶コーヒー千円札のおつりが百円玉ばかりだった夕暮れ

北風がつよいわけではないのですこれは送電線をゆらす感情

ぬくもりが消えかけていますと渡されたハート形したカイロ

空の先をたしかめにいったあなたが北風と供に吹いてきた

ふゆそらに何を問いたいゆるやかにトタン屋根の上を渡る猫

思い出すこともあるのでしょうある日ひとつひとつの冬の瞬き

秋のひとがさよならを告げに来たよく熟れた柿をふたつほど持って

ゆっくりと円を描いてあげましょうあなたの回る軌道のために

冬の日のこたつのなかの丸くなりずっとそうしていたかったのです

知りたいのは蛍烏賊のひかりの意味なくしたことのひかり忘れて

青空までの角度をはかる分度器 いつもどこかずれていました

ひかりは消えて誰も知らないキッチンの冷蔵庫の耳鳴りが続く

うつむきの角度をただす雨あがりひかりの垂直線によりそいながら

目の前に冬の鍵が落ちていて拾ったら氷のように解けるのでしょう

あした昆虫として羽化するゆめをみてそれならそれでいいかと思う

収縮してゆく青空があつて今にも泣きそうなのはあなたのせいね

ひとつ、ふたつ、なもなき星を数えたら明日のための名前をつける

ながれほし消え去るときのかなしみに朝がくるのも忘れてました

窓枠をみがいた午前 似合いの透明なガラス板をさがした午後

世の中に嘘つきがごまんといます。だからって五万人ぢゃねーよ

もう始めてるだろう北極の空の下でサンタクロースの出発準備

天空をゆく風のおとに触れようとした老バイオリニストの指先

夕暮れの飛行機雲が知っている秘密を聞きそこねて重力落下

真っ逆さまに落ちてゆく檸檬の中に何か忘れて来たのでしょう

冬の朝に輝いたひかりを抱いて頑張って春までいきてみます

松茸の味お吸いもの有り難く飲んでこの国に生まれてよかった

つかんだらきえてゆく粉雪がきえてゆく あ、すべてきえてゆく

ダークブルーの海岸線にわすれてきたの夏のサンダルの片足

あした重力反転装置をあしもとに置いて空でくらそうと思う

まよなかの異質なものをふところに抱いてこんやも眠るのです

あけがたの銀杏並木をこばしりに抜けてゆく冬の黄色い意思

虹の方程式を考えつづけた老数学者のお別れの朝にかかる虹

生きいそぐ横断歩道を小走りに赤信号のきらめく夜を

心音の透明度が増してゆく金星は静かな夜にひかるのですね

こんなくだらないひとごみはぬけだそう あるいは風を選ぶ

才能をひかりのようにかがやかせあなたの春は逝ったのですね

半透明な水いろで書くダイアリーうすく存在たちも途切れていった

輝いたことがうそのように晩年は田舎で暮らす年老いたスター

いずれ水中を泳ぐつもりでいるの魚類フォルムのハイブリット車

すこしずつグレーの雲がふえてきてまぎれるようにあゆむ街角

あまおとに同化するように一定のリズムで泣いているしんぞう

安心だと思う 加藤みどりがいつしんだって観月ありさがいてくれたなら

とんかつ屋の息子の婚カツ!って駄洒落だったのだろうかと今ごろ思う

ほんとうは何も知らないあやふやな世界のなかで僕は詩人になれない

ながれほし瞬いたひかりのなかにどこでもドアをさがしています

もうひとつの交わらない線となっていつまでもとなりを走りつづける

かえりみちを忘れた冬の子に明け方のシリウスの居場所おしえる

探してごらん本当は言った本当はいつでも本当に傍にいるから

ただ動き始めた巨大なブルドーザーなど止める力はないのです

薄れゆく想いひとつひとつをクリアファイルに綴じてゆく午後

夕べから黙示録の最終章に挟む金色のしおりをさがしています

此処はあなたのくる場所ではありません 天使は俯いて言った

弦のないギターを奏で何処までも夢のつづきの音律をさがす

誰がおいたのかわからないテーブルの上の聖書にふりつもる雪

あけがたの有刺鉄線を切り裂いてゆく 誰もとめられない感情

通過する特急の風が連れてゆこうとする本当の闇の世界の魅力

海流のうたごえを聞きたいと言ってあなたは何処までも泳いだ

モノクロの海のきおくに火をつけてまたとめどない朝焼けにいる

夕暮れのさみしい街にとけてゆくあなたは雪であったのでしょう

特別のホチキスの針を手にしてゆれまどう月のひかりを綴じる

肉まんをてのひらにのせる温もりまた冬がコンビニからやってきた

無駄な記憶仕分け部会の人たちが君との夏の思い出を廃止する

ほんとうは海だったころの記憶をたどりかわいた涙のあとをなぞる指先

限りある空間を越え何処までもさらさらと落ちてゆく時の砂

愛情のうまれた朝に桃の実のうぶ毛にかるくふれてゆく風

玄関のチャイムがピンポーンと鳴って空へ連れられてゆく昼下がり

埋立地になるまえの海沿いの場所はやさしい歌に満ちていたのに

三億年を真面目にいきてきた岩が崩れようとする誘惑に耐えている

満月は知の範疇みつめれば知らないでいいことばかり知ってゆく

気がついていたのだろうか頭上からすこしずつ閉じてゆく空の領域

冷蔵庫のものまねをしているつもり つめたくなるのが上手くなったね

十一月の冬野眼科医院の待合室の窓からすこし冬が見えてた

深夜、宙を飛ぶしんじつに似たものが落下する遥か彼方の地平線

深くふかく悲しみを埋めてしまえば地下鉄のホームに届かないひかり

ダークブルーの錠剤の力をかりて思い出したくない夜に眠りを

星空のウエディングベル鳴りはじめたらきみに捧げる土星のリング

何時までも夜空を見つめつづけた村人にふれてゆく彗星のこころ

悲しみも凍りつく夜だ てのひらにベガを包んで暖まろうか

冬の夜のホタルイカのむれがつれゆく輝きそこねた最後のひかり

ポケットの中には雪降るおとのしんしんと聞こえてくる冬のイヤホン

帰るべき場所があるのでしょう夕暮れは小さく別れのことばを吐いた

果樹園の冷たい風を聴きながらわたしは落ちた林檎をひろう

雨の境界を越えてきたけれどそこは哀しいほどの街角だった

明けがたの海の歌を聴きたいと冬の水浴び小屋まで走った

わすれてしまったものは記憶とは呼べない ただ降り積もるだけ

動物園前のバス停からアフリカへむかう動物の群れが乗車する

目のまえに冬があらわれてほんの少しはにかんで頬を赤らめる

いつからか目をとじて耳をすますと風の意味が聞こえてきます

しまうまがゼブラゾーンに立ち止まりセレンゲティを思い出す夜

くらやみに生まれたいのちあるだけの月のひかりを与えて暮らす

街角に分度器をもつひとが現れて傾いたわたしを修正してゆく

すみません忘れてしまいました大切にしていたはずのあなたの顔を

美しいことばを空と携えてゆきましょうか 見渡すかぎり草原

雨音が近づいてきましたゆっくりと軒下の準備をはじめましょう

まえをみるゆうきのない横顔が夕日の中にいつまでもよこがお

まっくらな未来が立ちはだかって震えるしんぞうが友だちだった

いつまでも壁を叩くの 途切れない壁に裂け目をつくり出すまで

忘れられた想いを腹のなかに凍らせて哀しく振動する冷蔵庫

しんでしまった金魚がひとつ この狭い水槽の中が宇宙だった

だれかが怒りの量を数えそこねてわけもなく噴火する休火山

東京タワー。

そういえばゴジラだってモスラだって東京タワーが大好きなのだ

空港から都心へ向かうモノレール東京タワーを探してしまう

東京にどれだけ高い建物がふえてもやっぱり東京タワー