カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「2009年6月」。

2009-07-01 05:40:34 | Weblog
題詠blog2009:056~065 。

「正確なアドレスは猫背ではない」ゴルフスイング上達ガイド

おだやかな日常がきこえると言う縁側に設置する鉱石ラジオ

これは三日前あたしの貯金持ち逃げした男を召還する魔法陣

いつのまにか決済はされてあなたのとなりに見知らぬ社長令嬢

とりあえず引退したらクルーザーを買ってモナコで暮らそうと思う

お気軽にお花畑旅行社までピンクに染まる瞬間をお尋ね下さい

坂の途中あるいは空を見上げたかった俯き加減の角度をかえる

ゆらりゆれている人に教えてあげる誰もいない公園のブランコ

宮崎のひとが紙袋抱えてやってきて次々取り出す完熟マンゴー

ぬすみだす八月の選挙カー大音量TUBEながして海までいそげ

ゲーム。

 使う者全て殺戮を繰り返す血塗られたオンラインRPGのアカウント

・未来だれも判らないと言いたげな黒猫が跨ぐ人生ゲームの箱

 ジェンガどこまでも高く積み上げ誰の手も破壊に触れぬこと願う

 渾身の消える魔球がなんたることかバットと穴に挟まれてノーカウント

・おかしいな上上下下左右左右BAと押しても最強恋愛モードにならない

おたく。

ああ、戦車ってよいよね硬くって普通免許で乗れたらもっとよいよね

懐にH&KMP5K(エアガン)忍ばせてはじめてのデートへ向かう

RPG-7の反動って意外とあるからね、こうしっかりと腰を入れて

うん、小佐の持つ憂いってあると思うし、そんな意味で大佐だと尊大

結論がでました。女性自衛官制服における絶対領域は膝下から踝

うたのわ。

真っ白なエンドロールが消えるまで席を立たずにいてくれますか

精一杯瓶詰めの星の欠片たいせつにしても輝くことないのだね

ゆだんしていたらあなたは雨ふる街のしずくとなって流れていった

もうどうしようもなくてメロンソーダのふりをして飲み干すペプシしそ

現実もつまんない小説のようで十二ページ目あたりに立ち止まる

まぶしさに慣れない腕がいつまでもトンネル工事をつづけているの

君がいない事ぐらいの違いで気がつけばそこにはもう七月がいて

仮のわたしとしてわたしという一人称代名詞を使っています

ほんとうの闇は正体を隠しながらふとわたしへ近づいてくる

雨の本質を見抜けなかったばかりに今日も濡れていてわたし

渡辺のわたしというひとがほんとうは斉藤なのか斎藤なのか

保険屋のひとが現れて真に勝手ながらわたしの価値を決める

おもいでの写真とはすべて過去形ただ気づかないふりをしていた

そうするとどこかかげりのある顔はかがやくのです 向日葵の花

一本の垂直線となってのびてゆくまじわることのできないこころ

世界中のマイケルそっくりさんがスリラーを踊り続ける夜となるのだ

ほんとうの夏までの距離を忘れないように全速力で走る自転車

不安定な人称の境目でもう少しわたしというものを待ってみます

俯いて歩いていたら空っぽの入れ物だったわたしに溜まる雨水

すこしひらきかげんの唇はひかりだす完璧な月光がみたいね

手と足のバランスをとりながらともすれば真夜中のラジオ体操

わたし折りたたみ傘だったかもしれなくて都合よく鞄にしまわれ

雨のことばかり話すオウムをつかのまのひなたに放つ六月

いずれ捨てられる空き瓶にわたしまだ星の砂を集めているわ

誰もいない海からの電話のかぎりなく繰り返される潮騒の音

遮光カーテンをしずかにひいて予想どおりくらがりの安心感

だるい雨降りは何か言いたげな仔猫のくびすじを撫でながら

夕立のあとアスファルトに立ち尽くす逃れられない夏の匂いだ

もう必要のない明かりのスイッチを痺れた指先が落として回る

最愛の電話ボックスに閉じこもり何時までも終わらない会話を

楽しさにかけられた魔法はとけて少しずつもとのわたしに戻る

冷たい目で見つめられるのはもう慣れた身体中冷蔵庫の青年

むかし空だった記憶をたどりセルリアンブルーの絵の具を探す

ひとりではどうしようもなく夕闇に手と手をつなぐよわい生き物

てのひらの運命線きえるあたりをなぞり強くいきたいとねがう

泣いているさみしい動物に雨上がりの夕虹ハンカチをさしだす

明日どうなるか判らないからって今夜どうするってわけでも

夜明けまえ思いをはせる空っぽの給水塔にふれてゆく霧

ラの音をくちびるに触れやわらかな月の光にかがやく音叉

悪いことばかり聞こえてしまう兎はかたく両方の耳を結んだ

あなた島とわたし島の中間にみらいのためのおおきな橋脚

本心は伝えられずにすりガラスのざらざらをなぞるゆびさき

わたし片足で立っていて今バランスを丹頂鶴の母子に託す

純粋の職人の手による桐箪笥の中に仕舞われる月明かり

きれぎれの言葉をつなぎいずれあなたの残像として綴じる

どことなく混乱のなかにもう一切合切が詩であることとして

ぎりぎりの喫水をたたく水音いつまでも船底にとどまる嗚咽

月のかけらを浸すキッチンのボウルのふちにあつまるひかり

飲み干したラムネ瓶を振ればまた一つ夏の音がありました

熟れ過ぎた果実をつぶす省みること忘れただ強引な素手で

うやわやのもはもやのあれれれれって感じで 生きてるって

「いつまでもおいたしてると先生が痛ったいお注射しちゃうぞ!正ちゃん」

雨上がりサクマドロップス缶たかく蹴り上げれば鮮やかに七色の虹

コカコーラ振りまくってプルトップ引けば閉じ込めた感情がほとばしる

ほんとうの僕なんて無くてコピー機のひかりの中から大量複写されてく

「ぼく、ぼくって、将来パイロットになる」なれるといいねいい未来だね

ぴろろろろんと空を飛びぷるるるるんと地を駆ける 壊れはじめるまえに

電柱の傾きが見えるようになり身体ごと傾いていると気付く

目の前の景色が一瞬にして変わるたぶんデジタルと言う世界

突き刺さるものは凶器ではなく片時の愛情もなくした言葉で

疲れきるまで指先を上げてどこまでが手の届く価値観か探る

ゆらゆらと揺れているこれは気持ちではなくあきらかに地震

きらきらとこれは誰の手にもある欠片集めれば光の水盤となる

突き詰めてゆけば海へたどり着こうとする愛情の枯渇した身体

何ひとつ本当にならない沢山の夢をみました 夢なのでしょう

濃紺のスーツに赤いネクタイを締めて街をゆく 矛盾だらけの

どうしようもなく手を振っていてわたし振り終えたらおしまい

しあわせが薄くなってゆくポーラベアーはこのごろ氷河期の夢をみる

あなたはやればできる子なんだからと言われ何年も経つがやらない

月のひかりは背後から鋭く刺さる夜にあなたが吐いた硬質な言葉

かなしければぐちゃぐちゃに泣けるよう僕なんか不完全でいい

太陽とキリンレモンとTシャツの相乗効果できみにあいたい

すこしサプライズの足りない日はふところにかくす手品師の鳩

なんとなく意味をつくってしまう教会の跡地に咲いた一輪の花

考えるブランコを漕ぎながら近づいてゆく離れてゆく絆について

大量破壊兵器拡散防止の為に至急ミノフスキー粒子の発見を

満員電車のなかで1Q84を読むひとよ 角が痛いのですが

ただ向日葵の種を握り締め現れる夏のひかりに解け込む

青空の意思がひとつありまして優しい人に降り注ぐひかり

掬っても救いきれない金魚たちほんとうに金魚鉢は小さい

西友の前に停める自転車が少しきらきらしている雨上がり

まだ時間切れではありません真っ白な鉢に蒔く朝顔の種

ぽっかりとあいた風穴の修復に忙しいみたいな土木作業員

雨上がりの匂いは濃くなってわたしの鼻に触れてくる夏

泣きながら似顔絵描きがあのひとの笑顔を描く白い画用紙

一瞬にひるがえる君のスカートの襞が僕を切り付ける凶器

いま隙間から落ちて手の届かないすみれ色の思いを救って

日曜の予定はキャンセルになり空気抜けるわたしがしぼむ

風にゆれる枝が悲しげなので緑色のリボンを結んであげる

大笑いしながら笑笑飲み放題あしたの事など誰も知らない

揺り籠のなかに栄養チューブの管をつけて見る夢の続き

あきれるほど美しい記憶にはならず薄れてゆく六月の空

君なんか捨て駒だよと言われ せめて桂馬ぐらいでと願う

これは真っ赤に塗られた住宅用火災警報器 三倍敏感です

もうなんて悲しげな顔で追い討ちをかけるように聞こえる雷鳴

そのままでいられるかなんて判らないわたし表面張力のぎりぎり

新緑がダークグリーンと変わる前に含むこれは安定剤という

ささやかなビックバンとして電子レンジの中に爆発する生卵

コーヒーの匂いのする部屋だったのに今朝は何か雨の匂い

一瞬に水になったあなたをいれる水槽のなかの水草となる

いつまでもやむことのない雨によりそってアジサイが笑った

バランスをとるのが難しいよね一人では シーソーを諦める

暗闇にもとめているのだろうかそれぞれの愛という短い詩形

天国への階段がこんな所にあっちゃったらあやうく昇りそう

夏服をタンスからひきだす午後に去年の君のかすかな匂い

「はなびら」としるす点字のそばに仔猫はやさしく軍手をおいた