カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「題詠blog2010」。

2010-11-14 10:22:29 | Weblog
001:春
アントキの猪木にこころ奪われた春一番よさよならごめん

002:暇
わたくしは暇なのではない、ネトゲとか、ガンダムとか、フィギュアとか、忙しいのだ

003:公園
わすれたとはいわせないブランコはそらまでとんだ児童公園

004:疑
休符、わたし、休符、あなた、休符、休符 楽章の終わりは疑問符

005:乗
一周のあいだにすべての嘘きえることを信じて乗り込む観覧車

006:サイン
一途なキャッチャーがストレートのサインばかり出して 打たれる

007:決
玄関先に決心があらわれてとっとと靴を履けと急かすのです

008:南北
東西線、南北線 交わるあたり方角が手をつなぐ夢をみました

009:菜
あけがたの春菜を摘んで風向きが南にかわる時を待ちます

010:かけら
それは言葉のかけら深夜ひとつずつあつめてはこころに還す

011:青
モンゴルの空が訪ねてきたらしく朝青龍が涙している

012:穏
不自由な指先で壁を塗り直しては穏やかに暮らしています

013:元気
明け方に元気になって飛び回る夢をみました ゆめでした

014:接
とおくとおく海と空との接点に鯨はいるか確かめたいね

015:ガール
南海の孤島に流れ着いた静代がフラガールとして生まれ変わる

016:館
今では相撲中継だけが安らぎの爺さんの暮らす蝋人形の館

017:最近
最近が近付いてきてどうよどうよと問いかける 放っといてくれ

018:京
京葉線。京浜東北線。ならば、京埼線と呼ぶべきだろう埼京線

019:押
たまに誰か思い出してあげればいいのです 押尾学の横顔なんて

020:まぐれ
この星にひとが生まれたおそらくはまぐれ当たりの始まりだろう

021:狐
心臓の音が遠ざかる あれは林道に忘れられた狐の手袋

022:カレンダー
ディズニーカレンダー詳細に見つめ隠れミッキーをさがす

023:魂
コーラから抜けてゆく魂がありそうで硬くキャップをしめる

024:相撲
紙相撲の土俵で生きているかのようにバランスがとれない

025:環
環太平洋恒久平和条約 鯨とイルカと鮪のあいだにて締結

026:丸
あなたが丸まっている間に窓辺から春の準備をしておきました

027:そわそわ
そわそわが日だまりのキッチンのアスパラガスから聞こえてきます

028:陰
いつの日か陰をなくしてひかりある表になりたい月の裏側

029:利用
またひとつ歌をなくして街角に悲しみのご利用券が配られる

030:秤
月旅行はじまる朝にわたくしは兎の秤をなくしたようだ

031:SF
デジタル3DSFシネマのように宇宙人がやってくるヤア!ヤア!ヤア!

032:苦
滝にうたれる修行僧の苦しみはいずれ滝へともどるのでしょう

033:みかん
炬燵、みかん、炬燵、みかん、炬燵、みかん 冬の日は無限ループ

034:孫
寂しげな背中にとどく孫の手を孫のないひとたちに配る

035:金
金色にかがやく草原のかたすみで風になっているフルート

036:正義
ラグーンブルーのイメージを奏でる高中正義という人のギター

037:奥
三月の本棚の奥に取り出して欲しそうな薄桃色の背表紙

038:空耳
木耳は木の耳だから空耳は空のどこかの耳なのだろう

039:怠
怠惰うずたかく積もりそうな夜は窓を開け風にあたる

040:レンズ
本当のオレンジが広がるように夕暮れの凹レンズを磨く

041:鉛
水晶の玉の代わりにいつまでも鉛の玉をみがいています

042:学者
昼下がり宇宙の果てにたどり着きうたた寝をする天文学者

043:剥
まるでわたしシール剥がした後の台紙ようにふちだけが残る

044:ペット
もしかしたら壮大な意思に飼われる服を着たペットなのかも

045:群
順番待ちの人びとを押しのけて我が儘な水牛の群れが走り出す

046:じゃんけん
「グー」「チョキ」「パー」のじゃんけんの仲間に「グワシ」もなりたいと泣く

047:蒸
寒風に立ち尽くす網走の灯台に蒸しタオルをかけてあげる

048:来世
ふたり手を取り合って来世では花を育てて暮らしましょうね

049:袋
捨てられたコーヒーの麻袋あるときは地球を旅してきました

050:虹
海沿いの鉄橋の橋げたに悲しい時は虹のスイッチがあります

051:番号
製造番号:A-873REI 型番:綾波レイ メインメモリ消去の時間です

052:婆
まる子の爺さんの名前はさくら友蔵。では、前田さんの婆さんの名前は?

053:ぽかん
いずれとおくとおく深海に沈めた嘘がぽかんぽかんと浮くのです

054:戯
ほとばしるグランドピアノ清流から交差するラヴェルの水の戯れ

055:アメリカ
水ぬるむ記憶をたどるアメリカザリガニを素手で掴んだことの

056:枯
何かしら優しいものを明け方の花瓶の中に枯れない花を

057:台所
諦めたジューサーミキサー台所の戸棚の奥に暮らしています

058:脳
悲しいのですね曇り空に突き出した脳外科医の指先は鉛色

059:病
少年の笑顔の消えた真夜中のまた泣いている小児病棟

060:漫画
少女期のままの笑顔の漫画家のハッピーエンドを描き続ける

061:奴
白色はしろいろの永遠のために冷や奴に箸を差し込む

062:ネクタイ
ネクタイを結びそこねた日常の誤飲してゆく白い錠剤

063:仏
笹舟に願いをたくす明け方の仏国文学のような川の流れの

064:ふたご
おとうとの声はとぎれた星空のふたごのあには涙をぬぐう

065:骨
海に近い耳小骨へと触れてゆくおはようらしき穏やかな揺れ

066:雛
草原の雛壇の夢 春風が吹き出す頃にまた来ましょうね

067:匿名
匿名で構わないからこの僕に三億円ほど寄付してくれぬか

068:怒
此処だけの話なのですが胸中に喜怒哀楽を育てています

069:島
玄関に南海の孤島が現れてどうしても僕と友達になりたがる

070:白衣
先生の白衣の白にすこしだけ希望の色をまぜて下さい

071:褪
永遠の希望のような約束の記憶も褪せてゆくのでしょうね

072:コップ
溢れ出す冷水を受け止めるには僕のコップはとても小さい

073:弁
遅れ気味にやってきた弁明にいったい何を聞いたら良いの

074:あとがき
聞かないで下さいあとがきから読みはじめた小説もあります

075:微
顕微鏡写真のなかに遥かなる銀河宇宙が生まれた模様

076:スーパー
この街は電話ボックス消えてゆきスーバーマンに着替え出来ない

077:対
対になるブックエンドの片方は燃えないゴミの真夜中に泣く

078:指紋
明け方を気にする事のない夜にワイングラスの指紋が残る

079:第
ああ、第3新東京市 地中深く深く沈みこむ魂のゆきさき

080:夜
真夜中のセルフスタンド一人では動きだせない玩具の車

081:シェフ
靴下をなくしたシェフの前菜に寄り添っている石田純一

082:弾
連弾を忘れてしまうピアニスト右足に穿く靴下がない

083:孤独
靴下を穿いた孤独はアスファルトかつかつという音も残せず

084:千
もう少し希望があるというのなら千のナイフに穿かす靴下

085:訛
靴下を穿いた訛りの足跡がわすれてしまう東北の土

086:水たまり
始まりはほんの些細な水たまりだったのかもしれないね 海も

087:麗
麗しい人へと贈るコスモスの風の丘にはやさしい揺らぎ

088:マニキュア
あてどない未来あなたに褒められる人差し指にマニュキアを塗る

089:泡
気がつけば泡の世界の片隅に金魚のように暮らしています

090:恐怖
昨日まで普通の街にゆっくりと恐怖の種が発芽してゆく

091:旅
旅先が現れてくれるような旅をドラえもんなら叶えてくれる

092:烈
痛烈なファールボールは何時までもファールボールに違いなかった

093:全部
ゆきさきは何処なのですか願わくは全部森へと帰ればいいのに

094:底
漠然とした未来のような塊を川の底から掬い取るのだ

095:黒
黒々と漂うものの寂しさを照らしてあげる懐中電灯

096:交差
交差点ふちどる花は思い出をだれかのために思い出を 咲く

097:換
気がつかなければよかったと思います命の換気扇のまわる音

098:腕
両腕のかわりに羽根をあげましょうという契約書ひろげたら空

099:イコール
青空とそれはイコールだった頃の麦わら帽子が発見される

100:福
願わくば二億年後の祝福をゆめみて一人コールドスリープ

「2010年10月」。

2010-11-03 08:07:32 | Weblog
水。

水のないプールの底を撫でてゆく生まれたばかりの秋のてのひら

題詠blog2010:086~095。

始まりはほんの些細な水たまりだったのかもしれないね 海も

麗しい人へと贈るコスモスの風の丘にはやさしい揺らぎ

あてどない未来あなたに褒められる人差し指にマニュキアを塗る

気がつけば泡の世界の片隅に金魚のように暮らしています

昨日まで普通の街にゆっくりと恐怖の種が発芽してゆく

旅先が現れてくれるような旅をドラえもんなら叶えてくれる

痛烈なファールボールは何時までもファールボールに違いなかった

ゆきさきは何処なのですか願わくは全部森へと帰ればいいのに

漠然とした未来のような塊を川の底から掬い取るのだ

黒々と漂うものの寂しさを照らしてあげる懐中電灯

うたのわ。

紅い紅い意識をひとつ鞍に乗せ泣いていました跳ね馬の背

十時十分三十秒一日を二回だけ丁寧に三等分に切り分ける

繊細な歌を信じたアナログのレコード針はすり減ってゆく

ひかりある兎のぬいぐるみを抱いて月へと向うしずかな夜だ

画一にティッシュを配る僕たちのティッシュ配りが増え過ぎている

ミントガムみたいな切符にぎりしめ何処へゆこうか銀色列車

救済が在るとして巻き上げるカルボナーラに天のフォークを

妖精があらわれて卵料理をえいえんのいのちに変えてゆく

探しています惑星が水の星だった頃のありふれた魚の記憶

フラスコに時間旅行の真似をして理科教室の秋のゆうぐれ

液晶のパネルのなかの友達は嘘つきだけど優しいでしょう

透明な螺旋をひとつ上りゆく意味が空から下りてくるまで

もう忘れることがすべての湖に月のあかりをわけてください

間違えた黒鍵だらけのピアニカに明日の息を吹き込みましょう

あしたには風の吹く街飛ばされてやさしい空にあえたらいいな

音があるリズムがある揺れがあるそこで言葉は敵わなかった

ねえそこのコーヒーカップ二年前から使われなくてとてもごめんね

あしたがあるのあしたがあるのあしたには優しい夢をみせてください

疲労する僕たちの街の暗がりに浮動小数点を見かけたようだ

名前のない電車に乗って改札を抜ければ街は秋色でした

永遠の秋の音なら夕暮れを過ぎてゆくのに気がつきません

目の前に森が出来たら図書館を建ててあげようあなたのために

流れてゆく雲にあわせて流れてゆく僕という重さのないもの

それならばスカイツリーの高みまで昇れるひとの空に近いね

彗星の軌道のうしろ尾を掴みついてゆくならしあわせがいい

ゆつくりと出迎える君あるように薔薇の門柱いとおしく庭師

明滅のイルミネーション届くなら泣き顔の君よろしければ笑顔

思い切り補助輪なしのダッシュしてきっと貴方が支えてくれる

鎌倉の海の記憶は潮風の鳩サブレーが塩味だった

それはそれは秋の夜を研ぎ澄ます明朝体のような三日月

流星の東の空の憧れにこの子は何処にゆくでしょうか

つかのまのひかりのような日常を拾いあつめるまちがいだろう

いまさらっていう感じで僕は蝉の抜け殻なんかを見つけてしまう

秋の音はMP3変換に取り込まれ微かiPodはブルーなのです

しにたいという程ではないが手段なら僕の未来にありふれている