カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「2009年5月」。

2009-06-01 13:24:06 | Weblog
題詠blog2009:038~055 。

→の方向に進めども進めども果てしない休日のTDLの駐車場は

青空の広場がありまして明け方に小雲を拾って回る清掃員

最愛の春をなくして泣いているすみれ色した庭師がひとり

それは世界が全てオレンジ校庭のフェンス越しに見た夕焼け

ぬくもりのようなもの右クリックして保存する癒されぬハードディスクへ

いずれ世界が満たされる時に袖を通す給食係の白いエプロン

どことなく湧き水のようなひとたちが食べるわさびアイスクリーム

いつか永遠のおわりを告げる幕引きの係のひとが泣いている

後継者不足に悩みながらも街々に常識を売り歩く行商人

いつの間にか警報器だらけの街で今日もたのしく暮らす

お気に入りのサングラスなくして出逢うほんとうの空にあふれるひかり

かなしみのテイスティングを拒み一本のぶどうの木となるソムリエ

いまふれればこころは真夜中の火災報知機のようにベルを鳴らす

はらはらと落ちてくる言い訳ひろったらあのひとの本質でした

強靭な一本の縄となりばらばらになりかけた世界を結ぶ

もうひとつのあなたとわたしができあがる妊娠初期の鼓動

十字架をしまってくれないか 首筋のちいさな傷の意味をおしえる

ガンダムであってガンダムではない奥ゆかしき百式がとても愛しい

うたのわ。

ここハンコおねがいしますと宅配便のひとがもってきた梅雨

やや切れ味の悪い包丁ですがたぶん刺す事には使えるだろう

つまり僕は必要のない時にたたまれる雨傘だったと言うこと

蹴り上げても届かない青空に向かって飛ばすブランコから靴

雨雲の向こう側にあるのだろうか昨日無くしちまったひかり

いずれ涙がそらにのぼれば世界中平等にふりそそぐ酸性雨

雨降りに片方の靴が落ちているだけでなんか寂しいんだよ

炭酸の抜けかけたコーラにストローさしてずっと飲んでる

塀の上の黒猫がどうしても知りたいことを教えてくれない

我々の無くしたひかりは深海のアンコウの光になりました

どこまでも真夏のプール息継ぎをわすれるくらい泳ぎつづけた

梅雨みたいなひと泣きながらやって来て 誰も慰めてくれない

これはポロシャツですがクローゼットから取り出せばあきらかな夏

この夏の準備をはじめればあたらしいゴーグルに反射する青

子守唄もわすれました眠らない夜のこどもにわたす委任状

もし水棲の人間になったとしたらナマコにも負けちゃうよ わたし

虹の設定をしておきました明後日東北東の空のかなたに

いま、弾き方をわすれたピアニスト鈍色の鍵盤におとす涙

ひかりの楽譜散らばっています無くなる前にみんな拾って

冷え切った言い訳なので炊きたてのご飯にかけて食べてみる

すきあらば盗んだバイクで走り出す秋がくるまで逃げおおせたい

地下核実験やりたければやればいい何れ地底帝国の反撃がある

おじさんが丸まってこんなにも晴れているのにガード下は寂しい

ろくでもない会話をしよう たとえば五月晴ればくはけいかく

すべて笑顔で許してくれるひまわりと出会えた しあわせ

曇り空が好きとうつむき加減のきみにあげる琉球アサガオ

コンビニと丸まって踊れば深夜いずれ僕は逃げられるだろう

コンビニの光の棚のアクエリアス手にとれば闇からの免罪符

自動ドアひらきロバの目をしたコンビニ店員が目配せをする

誘蛾灯きらきらと輝いていっそう闇は深まるコンビニの外

コンビニのあかりのそとに僕という孤独な闇が存在している

深夜、とりとめのない会話が続くケータイの薄明かりを根拠に

泣きそうな梅雨がいたので笑いそうなひまわりの種を託す

行き先はどこなのと尋ねられ今もって判らないと答える

夕焼けの電動アシスト機能付き自転車に跨がれば三倍のアシスト量

海の本質にちかい巻き貝を炭火で炙って食べる やはり塩味

わたし霧吹きを忘れてしまったからいまにも萎れそうなスミレ

ならば、ゆっくりと深呼吸しなさい。夏が来ることを確かめなさい。

アサガオの感情たちあがりつつ夕暮れ時は哀しみに巻きつく

ロングヘアーミニチュアダックスフンドがモップ掛けみたく散歩する

電線がとぎれる場所に棄てられた通話料金未納の泣き声

旧ソ連製戦闘機の爆音が聞こえる心して窓枠をおさえなさい

生き急ぐひとの心臓になりかわりゆっくりとまわりだす観覧車

カナリアの鳴き声に耳を塞いで残された最後のガス室管理人

ひかりケーブル首筋にさしてあいしあうエレクトロワールドまみれ

おとなにはなりきれぬ想ひあつめて眞白き まだ五月の紫陽花

真夜中の涙のなかにとけてゆく生きまちがえた水溶性のからだ

放課後のプール掃除のホースからほとばしる新しい夏の意志

すべてがあかるくひかる苔の深夜つつまれて唇にたらす水滴

これはきらきらのラインマーカー薄れかけた愛情のうえにひく

どこまでも螺旋階段 夏だった頃をさがしてのぼりはじめる

諦めたのかもしれないよたよたと歩いてゆくロバの蹄の音は

ふつう三分で終わることに三十分かける丁寧に微笑みながら

その角の美容室の先を右に曲がると去年たしかに夏だった

鳩の身になって考えてみろよ豆は好きだけど鉄砲は痛い

ほんのすこし手が届きそうな気がする西友の上に現れる虹

荘厳と流麗を散りばめた宮殿に足りない物があるとして鳩

縞々猫の森の図書館 まちがえて君のなくした軍手をさがす

ゆっくりと届けばいいのだ 低音が沁みる夕暮れのコントラバス

コーヒーは飲み終えてそれぞれの視線のあいだに沈黙の境界

肩と肩くっつけあって螺旋階段からみあげれば空が青い

捨てられたくなかったんだね気がつけば靴底に張り付いたガム

パラダイス座の跡地から飛び立つ前世は映写技師だった鳩

週末に飲んだビール缶せいぜんと並べてはそれなりに美しいオブジェ

ダイソンが強力に掃除する昼下がりに君のかけらも吸い上げられた

とつぜんの雨。しかたなく買うビニール傘。とかも大切にしています

勢いは徐々にましてゆく雨の中にぬぐっても仕方ない涙

輪郭のうすれたあなたの顔に雨はつめたい嘘をつかせる

なにも知らないふりをしてゆっくりと伸びをする夕暮れの猫

あやふやなものを右クリックしてなにかわかるまで保存する

真夜中のあなたが赤い警報機ふれないでおく朝がくるまで

あなたはもう静寂の砂丘あけがたに風紋のことばをのこす

とても大きな決意のもとに昔々ゴンドワナ大陸は別れた

それは月の夜の悲劇でも明日の朝刊には載らない出来事

約束は永遠に叶えられないライオンが年老いた飼育係を噛み殺す

何千年くり返しても終わらない暗闇を灯してまわる言葉のひかり

それは諦めていた何年も嵐のなかを彷徨った郵便船が届けた手紙

近づこうとしても逃げてゆく宙に上がった君の領域は遥か彼方だ

ともすれば右手には剣、左手には盾をもち。電車で向かう会社

とどかない高台をみあげるような場所に植物園を建てて暮らす

きらきらと君のかけらが落ちているので一つずつひろっておいた

何れひまわりとして花を咲かす予定の今はうつむいた泣き顔

いつのまにか自販機から「あったかーい」の言葉は消えて五月

冷たく降る雨は似合わないよパプアニューギニア大使館の前で

その昔止めどなく流す涙はありましてあっと言う間に海ができたとさ

雨、泣いているひとたちは消灯の時間 やすらかにお休みください

太陽と月にみはなされたビニール傘がうんめいとあきらめて尖る

かわらないものなんてなにもないんだ。ほら、カップヌードルのコロチャー

炭酸の抜けたコーラにストローをさして歩く表参道のひかりがまぶしい

ただ、誰もいなかった。ただ、風。砂。波。それは、きらきらと春の海

それでもまた夏のひかりにストロベリーソルベアイスクリームをひとつ

ほんとうの歌声は無くなり悲しみが増やす夜のYouTubu再生回数

吹き上がる風がみどり色のリボンをほどくオランダ坂の途中の

少しベランダに滞在したかのようでした風の国からの訪問者

五月のそよ風に揺れ動く枝が時として樹々であることを忘れる

千円でどこまでゆこう新緑のサービスエリアで買うボルビック

こわれものシール貼り忘れたことばがあなたに届く前に壊れる

ロッカーはたましいをなくして永遠に雨あがりの夜空に停まる車

忙しく通り過ぎてしまう花時計まわりはじめてひかりある場所

温暖化の一言で片付けて次々と五月の海に泳ぎだす解凍マグロ

これが月の欠片と差し出されたものを後生大事に掴んでいます

純水のペットボトルがおりなす虹色ひかりの屈折を最良の友として

五月の透過率を知りたい両手両足投げ出して風を見上げる草むら

這い上がれない谷底につくる虚構の足元は暗く流れる渋谷川