題詠blog2009:066~080。
三つ目の角の先まで来ているって今あきらかに今年の夏が
えいえんのみらいのためにせいじゃくを奏で続ける銀のフルート
なにか大切なものを忘れさる前にもういちど七輪で焼く秋刀魚
おろかなるペコポン人よわがために隅田川沿いに銀色の塔を
わが歌の永久のひびきよCDよペコポン人にあたへし銀盆
痩身の執事水嶋ヒロから香るペコポン人にしてはいい匂ひ
するてとなにかい今頃は少々妙齢な瀬戸の花嫁つてわけかゐ
「マスクは売れてゐるか」と聞けば「激しく」と答へるミルマスカラス
ひだり肩に突き出るとげよ偽らずザクとしてザクとして誇れ
いきるつてそんなもんかこれからも道で拾つたグリコのおまけ
深夜ほんとうの居場所さがして駆ける無料の住宅情報誌かかえて
またひとつ星屑という名に気づかないひとが瞬いて消えてゆく
いつまでもアンコール待ちつづけゆっくりと舞台下手に同化する
蝉の声きこえる図書館に目が合えば逸らす恥じらいの夏の始まり
午後、風になりましょう。よろしければ夏の麦わら帽子飛ばして
宇宙。
「お孫さんの為に残しませんか」と薄笑い木星の土地を売る商人
妄想。
・さなぎからきれいな蝶が羽化するようにこのブサイクは仮の姿だ
うたのわ。
喧騒に消えてしまいそうなひとつの心音をきくための聴診器
くじら、クジラ、鯨のやさしい歌声が響く街ならよかったろうに
心臓の音を聴きながら何処へ向かうのだろう夕暮れの道を歩む
きらきらとかがやく嘘にかこまれて今宵わたしはやさしくねむる
あけがたに蛸とか海月とかも目覚めるとおもうと海はひろいわ
感情の涸れた部分があって明け方に水をもとめて疼きはじめる
もう掴みたいものはないのでしょう終電の吊り革に残された指
しおさいを忘れかけた雑踏のなかに海からの電話がつづく
海までの坂を一気に駆け下り最高のビーチハウスを建てる
夜が明ければ目覚めることをふつうのひとは当たり前と言う
大好きなのはイチゴの味のカキ氷でも宇治金時もすてがたいの
夏空に飛ばす映画のチケットふたりぶん もう必要がないから
ドトールでゆるかに涼みながらやって来る熱風をやり過ごす夏
吉野家に押し入るような奴に本当の牛丼の味なんて判らないのさ
なきそうな宇宙から白磁の壺が降ってくる 悲しいですね マ・クベ
真っ白なうさぎを追って古書店の森に迷いこむ やや夢のはじまり
「夕立ちの後にでる虹の準備はいいですか。じゃ雨ふらせます」
やはり棘であることに気づき吐き出した言葉に驚くのでした
テレビに余命二年と宣告しているアナログという右上の文字
真ん中に背骨があってくらげとは違う生き物 ただよえぬ海
「さあ、夏だ頑張ってくれよ」とぴかぴかに磨く入道雲製造機
パソコンのAとIのキーを強く打ち過ぎたのだろう 愛はこわれた
いま、夜にかわろうとするゆうぐれとシンクロ率を高めながら
恋としてなりたつまえにきえてゆく笹舟を川にながせば闇に
夏音のなかに身をゆだねればゆっくりと蝉化してゆくわたし
硬くしめてもゆるんでしまう炭酸のぬけたコーラみたいな躯
両耳を立てれば潮騒がきこえる海へむかうべきなのでしょう
はんしゃする魚眼レンズの街角にわたしはひとりえら呼吸する
優しげなことば徐々にきえてゆく波打ち際に出会う皆既日食
握力のない水中にいてはしっかりと掴んだつもりがすり抜ける
砂浜のあつさにたえながらどれほどの罪を背負ったのか裸足は
ゆっくりと貝になりましょう聞こえくることば「うそ、うそ」と呟いて
波打ち際の椅子の背もたれにすべてあずけられた軽いからだ
手のひらのなかにとじ込めたつもりでいたの 開くのがこわい
いきるのもちからが必要でちいさなゴム動力は止まってしまう
スタバの奥まった席にひとり残るカフェモカの冷めるのは早い
ゆうぐれ せいよりも幾分かしにちかい側を歩きだしているの
おびただしいあおぞらに囲まれてゆきばなく逃げこむ雷雲
美しい足が踏みつけるエスカレーター天国へ細く伸びてゆく
あるいは過不足のない嘘に包まれ何も気付かず幸せだろう
蝉のこえ聞こえてました図書館は夏の音にあふれています
この夏の理解者になりそこねたひとが入道雲に包まれてゆく
いきているかどうかの確認は0120明日サポートセンターまで
なくしては数えてしまう終焉の水盤のなかに浮く花びら
八月の深夜にさがすきみのためスイカ畑にころがる満月
世界地図ひろげ「そういえばこのへん」と日本があった場所ゆびさす
いずれあるだろう高齢化社会の果てにジャニーズシニアのメンバー募集
缶コーラのプルトップ引けばまあたらしい夏の音がはじけて
ひらいてはきえてゆくものとどめおく一瞬の記憶のなかの花
突然の入道雲にすいこまれる ひかり、光になりたかった夏
ゆかなければならないのです眩しさを連れて向日葵の咲く道
しらない清流へ向かうバスに乗車する。午後はゆらぎの中に
みずうみの透明性をおもいだす夕暮れにみがく眼鏡のレンズ
夏の鍵をさがしてここにいたのですね ひかり反射する海岸
わすれかけた透明に生まれる気泡 みずうみは息をしている
炎天下ろくでもない計画のもとに懐へしのばすガリガリ君
ボール左足は蹴りだしカーブして吸い込まれる鮮やかな記憶
けんか別れした二つの風が遠回りして岬の突端にゆるしあう
雨音ばかり奏でるピアノなので雫という名をつけてやりました
びりびりに破いて捨てるまだ春だったころを覚えているページ
Tシャツのそでをゆらし夏の風がなにか伝えようとしている
月光に一晩さらすミネラルウォーターが柔らかくなるように
なんど開け閉めを繰り返しては携帯をみている 着信はない
すこしずつ青をおぼえる七月のひがしの空に立ち上がるキリン
わたしのゆびさきをすり抜ける感情が悲しい川にながれていった
しなやかにチャーハンの誘惑かわしながら注文する冷やし中華
いきおいで突けばいいのかもしれない鈍いひかりを放つあなたが
いっそのこと雨上がりは睡蓮の葉をころがる水滴でありたかった
少しずつ青をおぼえてゆく七月のひがしの空に立ち上がるキリン
ゆきさきはわからないただ海流が連れてゆくところまで越前くらげ
陽電子砲ひかりかがやく真夜中の二子山には絆があった
しにたけりゃ満月の夜にあらわれる渚カヲルの微笑みをまて
もしきみが初号機ならば力ずくこのATフィールドを中和して
拘束か保護かわからないままアンビリカルケーブルで繋がる
きがつけばスタートラインの前にいて号砲とともに バックします
なつの日のコンビニの前ゆれている樹々はすなわち僕なのでしょう
自閉的なディズニーランドあればきっとゆけると思います 夕暮れ
無くしては、なくしては、なんだかナクシタものがわからなくなる
炭酸が抜けそうなコーラだったひとのキャップを締めてやる 硬く
下ばかり見ていた頃に何でしょうとても大切なものを無くした
おたがいの流線型がなめらかにふれあう誰もいない水の中
ゆっくりと咀嚼する夕べ意味やがてわかりあえるものとなれ
いずれは究極のエコカーとしてデンキウナギ発電機搭載車
銀色のひかりをはなつ真夜中のこれは突けばころせるもの
ていねいにたたんでしまうまだ夏の残像がやきついた印画紙
これは泥棒専門店でしか買うことの出来ないバールノヨウナモノ
なにか判らないものに名をつけて一時の親しみのなか眠りにおちる
笹舟のきおくをたどりさかのぼる支流からあなたの指先をさがす
ハローハローアメリカのひとの電話がわたしとはお構いなしに明るい
ふるえながらてらす海面もう星空になれなかったほたるいか
めをとじてほんとうに正直なのか吹き抜ける風に聞きなさい
ふたり手をつないでゆきましょう鞄の中にすこし願いをつめて
細胞がひとつずつ欠けてゆくとき悲しみも欠けてゆくのでしょうか
黒く深い深海のなかに漂う都市の隙間の水棲の生き物となる
激情に駆られ振り下ろす物が世界を壊す 大根おろし器でよかった
願いをたくし小さな手のひらに一瞬の星の雫をのせましょう
若鶏のグリルをたべるあやふやに夭折の意をかんがえながら
真っ白なご飯の上の梅干いま目立ってるいまひかってる 今
いつしぬことのみを予見して一時の言葉を残すとてもかなしい
あしたいきている保証なんかなくて真夜中の冷蔵庫ふるえる音
わかりやすく言うとわたしの全ては錠前であなたは唯一の鍵
突けという遺伝子の作用でひとつ大切な世界をなくしました
公園の噴水が立ち上がるタイミングを見計らいつつあおぞら
空からUFOを呼ぼうその昔ピンクレディーだった人と一緒に
楡の木にふれる指先からそうね比喩であった頃を思い出す
気付いてはいないのだろう街中に降るしずかなる砲弾の音
明け方のイチゴジャムの瓶がまだ熱を持ち続けたいと泣く
まことに勝手ながら読みかけの梅雨の本をとじて夏をむかえる
できればハワイかなんかでソーラーこころシステムの充電を
簡単にしねるかもしれない東京スカイツリー空高くかがやく頃
それぞれの気泡を持って深夜水槽のような街角で交換しあう
そうすると待ちきれず七月のひかりの中に飛び散る水滴
かんがえる前にうけとめればいい水面が反射する理由を
夏空の雲のなか突っ込んでゆく翼というアイデンティティー
三つ目の角の先まで来ているって今あきらかに今年の夏が
えいえんのみらいのためにせいじゃくを奏で続ける銀のフルート
なにか大切なものを忘れさる前にもういちど七輪で焼く秋刀魚
おろかなるペコポン人よわがために隅田川沿いに銀色の塔を
わが歌の永久のひびきよCDよペコポン人にあたへし銀盆
痩身の執事水嶋ヒロから香るペコポン人にしてはいい匂ひ
するてとなにかい今頃は少々妙齢な瀬戸の花嫁つてわけかゐ
「マスクは売れてゐるか」と聞けば「激しく」と答へるミルマスカラス
ひだり肩に突き出るとげよ偽らずザクとしてザクとして誇れ
いきるつてそんなもんかこれからも道で拾つたグリコのおまけ
深夜ほんとうの居場所さがして駆ける無料の住宅情報誌かかえて
またひとつ星屑という名に気づかないひとが瞬いて消えてゆく
いつまでもアンコール待ちつづけゆっくりと舞台下手に同化する
蝉の声きこえる図書館に目が合えば逸らす恥じらいの夏の始まり
午後、風になりましょう。よろしければ夏の麦わら帽子飛ばして
宇宙。
「お孫さんの為に残しませんか」と薄笑い木星の土地を売る商人
妄想。
・さなぎからきれいな蝶が羽化するようにこのブサイクは仮の姿だ
うたのわ。
喧騒に消えてしまいそうなひとつの心音をきくための聴診器
くじら、クジラ、鯨のやさしい歌声が響く街ならよかったろうに
心臓の音を聴きながら何処へ向かうのだろう夕暮れの道を歩む
きらきらとかがやく嘘にかこまれて今宵わたしはやさしくねむる
あけがたに蛸とか海月とかも目覚めるとおもうと海はひろいわ
感情の涸れた部分があって明け方に水をもとめて疼きはじめる
もう掴みたいものはないのでしょう終電の吊り革に残された指
しおさいを忘れかけた雑踏のなかに海からの電話がつづく
海までの坂を一気に駆け下り最高のビーチハウスを建てる
夜が明ければ目覚めることをふつうのひとは当たり前と言う
大好きなのはイチゴの味のカキ氷でも宇治金時もすてがたいの
夏空に飛ばす映画のチケットふたりぶん もう必要がないから
ドトールでゆるかに涼みながらやって来る熱風をやり過ごす夏
吉野家に押し入るような奴に本当の牛丼の味なんて判らないのさ
なきそうな宇宙から白磁の壺が降ってくる 悲しいですね マ・クベ
真っ白なうさぎを追って古書店の森に迷いこむ やや夢のはじまり
「夕立ちの後にでる虹の準備はいいですか。じゃ雨ふらせます」
やはり棘であることに気づき吐き出した言葉に驚くのでした
テレビに余命二年と宣告しているアナログという右上の文字
真ん中に背骨があってくらげとは違う生き物 ただよえぬ海
「さあ、夏だ頑張ってくれよ」とぴかぴかに磨く入道雲製造機
パソコンのAとIのキーを強く打ち過ぎたのだろう 愛はこわれた
いま、夜にかわろうとするゆうぐれとシンクロ率を高めながら
恋としてなりたつまえにきえてゆく笹舟を川にながせば闇に
夏音のなかに身をゆだねればゆっくりと蝉化してゆくわたし
硬くしめてもゆるんでしまう炭酸のぬけたコーラみたいな躯
両耳を立てれば潮騒がきこえる海へむかうべきなのでしょう
はんしゃする魚眼レンズの街角にわたしはひとりえら呼吸する
優しげなことば徐々にきえてゆく波打ち際に出会う皆既日食
握力のない水中にいてはしっかりと掴んだつもりがすり抜ける
砂浜のあつさにたえながらどれほどの罪を背負ったのか裸足は
ゆっくりと貝になりましょう聞こえくることば「うそ、うそ」と呟いて
波打ち際の椅子の背もたれにすべてあずけられた軽いからだ
手のひらのなかにとじ込めたつもりでいたの 開くのがこわい
いきるのもちからが必要でちいさなゴム動力は止まってしまう
スタバの奥まった席にひとり残るカフェモカの冷めるのは早い
ゆうぐれ せいよりも幾分かしにちかい側を歩きだしているの
おびただしいあおぞらに囲まれてゆきばなく逃げこむ雷雲
美しい足が踏みつけるエスカレーター天国へ細く伸びてゆく
あるいは過不足のない嘘に包まれ何も気付かず幸せだろう
蝉のこえ聞こえてました図書館は夏の音にあふれています
この夏の理解者になりそこねたひとが入道雲に包まれてゆく
いきているかどうかの確認は0120明日サポートセンターまで
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八月の深夜にさがすきみのためスイカ畑にころがる満月
世界地図ひろげ「そういえばこのへん」と日本があった場所ゆびさす
いずれあるだろう高齢化社会の果てにジャニーズシニアのメンバー募集
缶コーラのプルトップ引けばまあたらしい夏の音がはじけて
ひらいてはきえてゆくものとどめおく一瞬の記憶のなかの花
突然の入道雲にすいこまれる ひかり、光になりたかった夏
ゆかなければならないのです眩しさを連れて向日葵の咲く道
しらない清流へ向かうバスに乗車する。午後はゆらぎの中に
みずうみの透明性をおもいだす夕暮れにみがく眼鏡のレンズ
夏の鍵をさがしてここにいたのですね ひかり反射する海岸
わすれかけた透明に生まれる気泡 みずうみは息をしている
炎天下ろくでもない計画のもとに懐へしのばすガリガリ君
ボール左足は蹴りだしカーブして吸い込まれる鮮やかな記憶
けんか別れした二つの風が遠回りして岬の突端にゆるしあう
雨音ばかり奏でるピアノなので雫という名をつけてやりました
びりびりに破いて捨てるまだ春だったころを覚えているページ
Tシャツのそでをゆらし夏の風がなにか伝えようとしている
月光に一晩さらすミネラルウォーターが柔らかくなるように
なんど開け閉めを繰り返しては携帯をみている 着信はない
すこしずつ青をおぼえる七月のひがしの空に立ち上がるキリン
わたしのゆびさきをすり抜ける感情が悲しい川にながれていった
しなやかにチャーハンの誘惑かわしながら注文する冷やし中華
いきおいで突けばいいのかもしれない鈍いひかりを放つあなたが
いっそのこと雨上がりは睡蓮の葉をころがる水滴でありたかった
少しずつ青をおぼえてゆく七月のひがしの空に立ち上がるキリン
ゆきさきはわからないただ海流が連れてゆくところまで越前くらげ
陽電子砲ひかりかがやく真夜中の二子山には絆があった
しにたけりゃ満月の夜にあらわれる渚カヲルの微笑みをまて
もしきみが初号機ならば力ずくこのATフィールドを中和して
拘束か保護かわからないままアンビリカルケーブルで繋がる
きがつけばスタートラインの前にいて号砲とともに バックします
なつの日のコンビニの前ゆれている樹々はすなわち僕なのでしょう
自閉的なディズニーランドあればきっとゆけると思います 夕暮れ
無くしては、なくしては、なんだかナクシタものがわからなくなる
炭酸が抜けそうなコーラだったひとのキャップを締めてやる 硬く
下ばかり見ていた頃に何でしょうとても大切なものを無くした
おたがいの流線型がなめらかにふれあう誰もいない水の中
ゆっくりと咀嚼する夕べ意味やがてわかりあえるものとなれ
いずれは究極のエコカーとしてデンキウナギ発電機搭載車
銀色のひかりをはなつ真夜中のこれは突けばころせるもの
ていねいにたたんでしまうまだ夏の残像がやきついた印画紙
これは泥棒専門店でしか買うことの出来ないバールノヨウナモノ
なにか判らないものに名をつけて一時の親しみのなか眠りにおちる
笹舟のきおくをたどりさかのぼる支流からあなたの指先をさがす
ハローハローアメリカのひとの電話がわたしとはお構いなしに明るい
ふるえながらてらす海面もう星空になれなかったほたるいか
めをとじてほんとうに正直なのか吹き抜ける風に聞きなさい
ふたり手をつないでゆきましょう鞄の中にすこし願いをつめて
細胞がひとつずつ欠けてゆくとき悲しみも欠けてゆくのでしょうか
黒く深い深海のなかに漂う都市の隙間の水棲の生き物となる
激情に駆られ振り下ろす物が世界を壊す 大根おろし器でよかった
願いをたくし小さな手のひらに一瞬の星の雫をのせましょう
若鶏のグリルをたべるあやふやに夭折の意をかんがえながら
真っ白なご飯の上の梅干いま目立ってるいまひかってる 今
いつしぬことのみを予見して一時の言葉を残すとてもかなしい
あしたいきている保証なんかなくて真夜中の冷蔵庫ふるえる音
わかりやすく言うとわたしの全ては錠前であなたは唯一の鍵
突けという遺伝子の作用でひとつ大切な世界をなくしました
公園の噴水が立ち上がるタイミングを見計らいつつあおぞら
空からUFOを呼ぼうその昔ピンクレディーだった人と一緒に
楡の木にふれる指先からそうね比喩であった頃を思い出す
気付いてはいないのだろう街中に降るしずかなる砲弾の音
明け方のイチゴジャムの瓶がまだ熱を持ち続けたいと泣く
まことに勝手ながら読みかけの梅雨の本をとじて夏をむかえる
できればハワイかなんかでソーラーこころシステムの充電を
簡単にしねるかもしれない東京スカイツリー空高くかがやく頃
それぞれの気泡を持って深夜水槽のような街角で交換しあう
そうすると待ちきれず七月のひかりの中に飛び散る水滴
かんがえる前にうけとめればいい水面が反射する理由を
夏空の雲のなか突っ込んでゆく翼というアイデンティティー