焼き鳥屋で語る二時間 三十分しか覚えてなくて申し訳ない
しあわせのネギマが語る瞬間を 「全国やきとり連絡協議会」
のこされたつくねの謎があきらかに新橋駅西口へいざなう
ケンタッキーフライドチキンと手羽先の違いを少々語らせてくれ
すみません一味はいやだ七味だと僕の手羽先が泣いてます
特上の海老天丼ぢゃないにしろミックスフライみたいなくらし
もうなにものぞまない夜 海老天丼こわきにかかえ明け方をまつ
エビフライタルタルソースマスタードレモンを搾るいただきマンモス
今こんなにエビフリャーしてて夕焼けの私ほんとに全て名古屋市
ゴジラ対エビラの死闘 スタッフが最後に美味しくいただきました
まよなかにかに道楽のかんばんがうごきをとめる瞬間をしる
けんそうの渋谷のまちの金曜にむごんで蟹をしゃぶる僕たち
かんぺきに茹で上げるため熱湯のうたごえを聞く蟹ゆで職人
夕焼けのようにサラダのカニカマが朱に染まりつつ食卓である
タラバガニみたいなあなたの甲殻に挑むわたしは電気ドリルで
鬼つまんないって嘆くJKよりも超テンション低系みたいな
120年ねむりつづけた竹の花こうべをたれる祈りみたいな
感情の境界線のくらやみにやさしく沁みる浸透圧みたいな
ボール一個そとに外れるスライダー僕は毎回投げるみたいな
フィニッシュの左にずれた砲丸が無謀な軌道をえがくみたいな
どれくらい祈るのだろう降りしきるあなたの雨にひかりみたいな
多をもって正とするシステムのなかに白い鰐のように紛れ込む
かくじつに晴れうたう声の輪唱に怯えひろげる折りたたみ傘
いくばくの調子っぱずれを受容するぼくたちのピアノ調律師
どれくらい歌をわすれたカナリヤの生存数をかくにんすれば
はれおとこといわれるひとの手をひいて太平洋をわたる船へ
現実をきりきざむことに甘んじる冬の理髪師の娘のゆびさき
どれくらい生きてゆけばと尋ねる老人がほんの少しと答える
にちようのごごのわたしの目の前にゆるゆるとある仮想現実
あなんかそれ違和感と思いながら白い食卓の隅ていねいに拭く
ふれるものすべてが種子となるようにその指先にあつまれひかり
とりは旅立つという静寂のしゅんかんを気付かなかった僕のために
ゆっくりとわたしの頬にふれる指だれもしらないあそれでいいじゃん
たようするじょうほう海のふかみへと僕をしるしたせきばんがしずむ
ああだからうざいんだよって感じる事のわたしへのいつくしみと利己
あべつに淳君の頭部がどうなろうともへ渋谷のまちはひとにあふれて
未来わからない事へ向かおうとしていて定期券持つわたしなのです
君がいいるのここにいるのどこにいるのそう思うことかかる税率はない
ええとどうなんだろう突然にすべてが無になること予感しないか君は
そんな事俺知らねしちゃんちゃら可笑しくだーって叫んでそれ欧米か
土曜日にケロロ軍曹みることがそれまたそれなそれでいいのだ平坦
シベリアに帰ろうとする鳥たちの産毛のような握手をしている
これ以上萎縮できないくちびるが別れを告げようとする氷点下
曖昧なきょうかいせんにあいまいな影をおとしてあいまいな僕
はるのひをまちわびているベランダにねそべる猫のやわい肉球
あなたから発する音のすべてからE♭マイナーが溢れるのです