カツオくんはかもめ第三小学校5年3組&『まぐろ袋ブログ』

どうもこんにちは、富田林薫(とんだばやしかおる)です。
遠洋マグロ漁船乗りです(ぇ?

「2009年2月」。

2009-03-01 07:54:32 | Weblog
題詠blog2009:001~010。

笑点の山田くんになりかわり世界中の歌丸さんにくばる座布団

波長あわなかった一日が終わり短波ラジオから聞こえる星の音

大切なものぼろぼろとなくしてはみんないなくなる助産婦さん

わたしひさしぶりに笑ってるひだまりはてんとう虫の転倒

聞こえたらやさしい歌は短調にかわる気がして耳をふさいだ

いつのまにか干からびた水玉だったので丁重に川へ戻してあげた

目をそらし皆いそがしくゆく街のこわれかけ保温ランチジャー

赦されたひとたちは淡色に飾られて舞い上がる花びらのように

静寂がつもりゆく浜辺の町でふわふわを売りつづける自動販売機

非常ベル《ホログラムエラー》鳴り響き消えてゆくトーキョーの街並み

鬼。

おにがしま小学校から転校してきた鬼澤くんって母子家庭らしいよ

うたのわ。

早咲きの桜がつつがなく笑顔だったので深々とお辞儀をする

散歩する犬の徐々に増えてゆく公園のまだ眠そうな目の春昼

結果あっさりと消えてしまう雪降らせる事に若干の春の逡巡

南風をうけて速度をあげる帆船の行き着く先は春なのだろう

他愛無い会話のなかにすこしづつ春という単語ふえてゆく二月

スーパーの袋もエコバックも要らない買ったばかりの缶ビール飲む

泣かないでよかった見上げれば遠からず春がくることを知る蕾

遅れてる電車のせいで今日の僕すべてが上手くいかない予定

自転車の買い物カゴに合う葱さがす約束は果たせないままに春

結論は先送りして巻き戻すビデオテープをまた初めからみている

自転車の速度は上がり坂道の終わり近づく飛び立つ準備始めよ

あきらめの加速度を増しながら いま涙腺を通過する特急電車

二月のつめたい雨粒がいつまでも降りそそぎ誰も赦してはくれない

ほんの少しの温もりでよくて大きさはコーンスープのカップぐらいの

ののしりあう誰の姿もみたくないから目をとじてブライダルホールは

家族連れつぎつぎきえてゆき孤独たんたんふえてゆく屋上遊園地

壊れやすい殻まとった僕たちが朝食の目玉焼きのため割る鶏卵

くりかえす朝の通勤の行程の中ふいにまぎれこむ確かな梅が香

ミッキーはとげぬき地蔵みたいなもんかとバーちゃんが聞くのでうんと答える

この味がいいねと君が言ったから二月二十一日はカレー味ポップコーン記念日

スペースマウンテン百二十分待ちもからころと僕たちの夢ころがるといいね

たいはんは待ち時間だと気付いたひとが打ち捨てられる葛西臨海公園

たいはんは待ち時間だと気付かせぬようにネズミ一族のとめどない策略

鈍行電車の窓枠に置かれた懐かしい冷凍みかん温める春の日

軽やかなフランス映画を見たあとに買う揚げたてのフレンチフライ

とても高いビルを見上げる時の注意書き首の角度は三十度まで

檸檬と書かれたレモン眺めながら象形文字のなりたちに挟む疑問符

新作の映画のレビュー読んでとりあえず新緑の季節が来るのを待つ

中川さん似の経理部長があいさつをして舞台裏でおりるエレベーター

繁栄の証としてアキハバラ歴史資料館を飾るメイドさんのエプロン

煩悩の増殖がいかんともしがたく週末は駅前クィック座禅にかよう

コーヒーのボタン押したつもりが間違えた田舎しるこも汝愛したまえ

昨日やさしくしてくれた陽が猛然と牙をむく裏切られたと思う早朝

あかねさすムラサキの髪のばーさんがイノベイターと正体を明かす

それぞれに嬉しいよね悲しいよね楽しいよね寂しいよね繰り返しよね

春風を信じるようにひらめかす僕の穿けないスカートを穿く

イツワリのエガオも恋し雨の日はマクドナルドで朝食をとる

出会わなければ別れもないと言いきかせ見つめる爪先の先

絶望か希望かわからないまま僕たちは見つめ続ける未来のドアノブ

なんだろう剃り残した髭がそのへんの小学生にあるような違和感は

全世界が泣いているのを知りながら誰も開けられない鉄のカーテン

お洒落げなカフェー近所にオープンしたのでそらあ難しげな本を抱えて

おんなじ電車のおんなじ車両のおんなじ場所にいつもすがりつくような朝

大人だと見られてもあんがい流されやすいわたくしというものが

暮れてゆくわたくしのなかにゆつくりと影をなす釈然としない思ひ

明け方の赤い自転車 通常の三倍速で配る新聞

まちがえて宇宙に昇った少年がラグランジュポイントに求める安寧

よくしてくれたあのひとは行方知れずとグローバルスタンダード泣き叫ぶ

吐く息の白はうすれる先驅けを感じるやうな梅林をゆく

立つ春の庭に殘りし梅の木は主なくとも花を咲かせり

陽が射せば解けて無くなる薄氷のやうな絆を信じつつ

いつのまにか尖ったこと気付かないまま抱きしめながら傷つける

軌道からあなたのズレてゆくわたしが気付いたときは深遠でした

もう誰の笑い声聞こえないこと気付かず待っている閉園の観覧車

一ドル百円日経平均株価一万円ぐらいがいいと思うよ 覚えやすくて

百円で買える恋もありますとついに革新的営業戦略打ち出すダイソー

百グラム百円のひき肉とひきかえにわたすわずか五グラムの百円玉

なくしてはならないものリスト毎夜書きつらねては 翌日になくす

軽そうにみえる段ボール箱の中に詰まる記憶があんがい重たい

動物園パンダいなくなってぽっかりとあいた大穴みてるみたいな

二十三分 百四十六円 というコインパークに二時間半止めた時の料金は

例外がつみかさなって例外でなくなる街に増えてゆくこれも例外ですか

やすらぎはモニターの中のちいさなわたしがモンスターと戦う場所でした

あてさきのない手紙と知りながらどこまでも街道を駆ける飛脚

水鳥の羽ばたきが湖底に伝わるころに目をさますやさしげな真ブナ

スリーポイントシュート決めたあの時の逆転劇のように春を待つのだ

本日の金総料理長のおすすめは特製テポ丼セットです キムチ付き

真っ白でありたいテーブルクロスの望み知りながらこぼすワイン

ゆうやけが道に迷った若者だったので手をひいて森に戻してあげた

世界中ハイヒールだらけになったので不慣れなわたしが転んでしまう

チェといえばジウでなくゲバラとこたえる若者よ 革命はまかせた

彼をかたる言葉がすべて過去形であることになれてゆく感情

ながされてはしる三車線道路のまんなかを右にも左にもまがれず

ひかりあるあなたは空にのぼるのをためらいがちに口にしました

珈琲の麻袋につめられてたどりついた街のわからないことだらけ

ひろげたらタイム風呂敷だったのでしおれた花にやさしくかける

これくらいのプロペラですが重力に負けてられないタケコプターです

あなたの言葉わからないからせっせっせ翻訳コンニャク食べていますが

つぎは戦場にとまります為政者はひらくドアにご注意ください

じいじいはどこにいるのと聞く幼子の笑顔と共に一回忌の席

拾っては捨ててゆくあきらめに昨日今日明日何も変わらない

痛々しいギタリストが消えてゆくステージに切れた一弦だけのこして

ステージの隅の暗がりに計算高いベーシストが低音の泣きまねをする

ミスショットくりかえすドラマーの足元に何も言えない折れたステック