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まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

走りながら服を着る

2009-05-22 03:49:31 | 仕事
5月21日(木)。

「走りながら服を着る」。
この言葉は、最近僕も所属させていただいている、農場どないすんねん研究会(NDK)という会のモットーなのですが、つくづくえー言葉や、と思います。

もっとお金が溜まったら、もっと自信が付いたら、もっと上手になったら○○をしよう、などと考えていると、人生は、「あっ」という間に過ぎてしまうものだと思います。実際に、僕に関しても、それいいね!やってみたい!ということがあっても、難しいスキルをたくさん身に付けなくては出来なかったり、実行を妨げる現実問題が沢山あったりするわけです。

例えば、僕はケニヤに住んでいるので、何か日本の人達のお役に立とうと思っても簡単には出来ません。しかし、ちょっとしたメールをきっかけに、この夏、僕も参加して、日本でNDKのワークショップをしよう、という話が立ち上がっています。僕には十分な実力はないけれど、もう走り始めちゃいました。これは、自分の仕事で身に付けなければならないことと重なっているので、ちょうど良い勉強になります。また、農家さん達や畜産技術者と獣医師のためにもなると思います。

あんた、また忙しくして、どうすんの?という声がどこからか聴こえてきそうですが、走りながら何とかするようにいたしましょう!

ようやく追い付いた

2009-05-02 01:26:41 | 仕事
5月1日(金)。

一ヶ月間御無沙汰していました。
4月1日から11日までは、西アフリカの、ガーナ、コートジボワール、マリで、プロジェクトの打ち合わせと、講義、それからリスク分析の指導をして来ました。

初めての西アフリカ。特にコートジボワールとマリはフランス語圏だったので、面白かったです。こちらが英語で話しても理解されないので、コートの講義では英語で話し、カウンターパートの教授にフランス語に訳していただきました。

しかしマリでは、ようやくフランス語の勘が身に付き、一応3年近く勉強もして来たので、ほぼフランス語で講義、会議、そして指導をしました。

マリでは、気温が40度以上になり、まるで乾燥したサウナでした。風が吹くと、ドライヤーの熱風を顔に当てられている感じ。伝統的に放牧をしていたけれど今は定住しているフラニという民族に出会えて、また握手して笑顔も見ることが出来て、とても良かったです。

イースターの前日にケニヤに戻り、イースターを祝った後、13日月曜には、知人がナイロビのスラムに建てた学校の運営資金の確保のため、バザーで一働き。なんだかお祭りのテキヤさんになった気分で面白かったです。

それから3週間のうちに、以前に書き上がっていた1本を、ようやく指導教官の校正が終わったので投稿し、その後一気に学術誌投稿のための論文を2本書き上げました。これで4本目。本日11時に指導教官に送り、ようやく一つすっきりし、レイバーデイで休めるようになりました。

ようやくPhDからは最後の論文の再分析に入ります。これは、今の仕事と密接に関係があるので、堂々と仕事中にも出来ます。今日までは、昼間は仕事、夜と休日は論文の執筆をしなければならなかったので、本当に大変でした。あまり疲れていると頭が回らないので、最近あいつは使えない、と周りに思われていたかも知れません。

ようやく追い付きました。今年は4本出版かな。まあまあです。

ようやく一つ役に立つ

2009-02-27 04:07:11 | 仕事
2月26日(木)。

このところずっと、研究資金の確保、共同研究の取り付け、契約書の作成、といった裏方仕事に追われていたので、実際の社会を体験するといった面では収穫が大きいけど、せっかく勉強したことを生かす機会に恵まれていませんでした。

そんなある日、長年憧れの存在だったうちの副所長Jさんに頼まれて、ケニヤの抗微生物薬耐性リスク分析委員会(とでもいうのかな)に出席してきました。これは、6,7月にローマで開かれるコーデックス委員会という、食品安全に関する国際委員会で討議される、抗微生物薬使用に関する新しいガイドラインを作成するため、各加盟国が国際検討部会に提出する、ドラフトの修正案を作るためのものです。

サハラ以南アフリカ大陸の中では比較的発展しているケニヤにも、疫学者やリスクアナリストは少なく(まあ日本でも少ないですから)、会議に参加した中でには、国際機関の僕しかいませんでした。

もちろんケニヤの代表者達が主体で会議が進められたのですが、専門的な知識が必要な委員会なので、かなり濃厚にサポートすることが出来、参加者の皆さんには、喜んでいただけました。やっぱり、目に見えて人の役に立てると、とても嬉しいものですね。

レポートを上司と副所長にメールで提出すると、Excellentと返信されてきました。小さくても、たまには一つくらいいいことがないとね。

職場という名の船

2009-01-17 14:10:31 | 仕事
1月15日(木)。

仕事を始めてから、メールでよく受け取るメッセージがあります。
「Welcome on board!(我々の船へようこそ!)」

うちの職場は仲間意識が強くて、一度長期で仕事をすると、ファミリーの一員として扱われます。でも、獣医畜産系の国際協力分野では著名な人がたくさんいて、そういう人達と会うと、今でも緊張してしまいます。そんな環境なので、期待される仕事の質も高いのでしょう。

僕もこちらで仕事を始めて知ったのですが、エチオピアという国は、一時イタリアに占領されたことはあっても、植民地化されたことがなく、また長い社会主義政権の時代の影響もあって、国際機関や援助団体にとっては、仕事をしづらい、プロジェクトの合意までのプロセスが進みにくいようです。

僕のプロジェクトもエチオピアをカバーしているのですが、これにさらにある国の援助団体が絡んでいて、昨年の半ばより、プロジェクトが頓挫していました。僕が調整員に就任してから、いろいろやり取りがあったのですが、ほとんどの問題点が解決し、ようやく動き出すところまで辿り着きました。解決には、うちのボスや、他の部署の長などに働きかけて解決してもらったので、直接僕がしたことはあまりありませんでした。

昨年プロジェクトの立ち上げに参加し、頓挫したその場にいたある著名な研究者が、心配してその時の議事録をメールで送って来てくれたので、ほぼ解決した現状を伝えると、

「ボーイ、この問題を全部解決するなんて、乗船してくれて嬉しいよ!」

と自分の上司達にもCCで返信してくれました。ここ最近忙しくて、上手く仕事が進まないこともあったので、すごく嬉しかったです。あくまでも調整より研究を仕事の柱にしたいのですが、調整でも何でも、認められるのは嬉しいものです。まあ、エチオピアでは、これからも一難去ってまた一難、とすんなり行くことはないような気がしますが。