・元日も半分以上が休業 フランチャイズ(FC)加盟店の24時間営業を巡り、大手コンビニエンスストアのビジネスモデルが揺れる中、道内最大手「セイコーマート」の24時間営業店舗の割合はわずか22%と異彩を放つ。平成期に急成長したコンビニチェーンの定石と一線を画す姿は、持続性を重視する「もう一つのコンビニ運営の手法」として注目を集めている。
セコマ店舗の営業時間は「最低16時間・年中無休」が基本。だが「立地に応じて最適な営業時間を選択している」(広報室)といい、16時間より営業が短い店舗もある。2018年からは元日休業店も増え、今年は全体の半分強に当たる約670店が休んだ。
・商品や輸送「グループ全体で利益」 売り上げ機会を失うことに直結する休業を可能にしているのは、店舗の売り上げに多くを依存しないビジネスモデルだ。FC店が主流の全国大手コンビニの本部は、店舗売上高から仕入れを引いた「粗利益」から一定の割合を徴収する「チャージ」が主な収入源。一方セコマは、店舗への商品の輸送はグループ企業が担い、商品の54%を占める自社製品の多くをグループ工場で生産。「製造や物流で資金が流出せず、全体で利益が出ればいい」との考え方にたつ。
大手コンビニのプライベートブランド(PB)商品の生産は外部委託がほとんどなのに対し、セコマはグループ内に弁当や総菜、乳製品や飲料などの工場を持つことも対照的。セコマ以外への製品販売で稼ぐグループ企業もあり、収益源は多様化している。
・直営化進め担い手確保 また、問題となったFC加盟店が少なく、8割をグループ企業が運営する直営店比率の高さもセコマの特徴。同社も店舗展開を始めた1972年からしばらくはFCが主流だったが、代替わりで担い手が不在になるなど課題が生じ、93年からオーナーの引退に合わせた直営化を進めた。直営店の従業員採用はセコマグループが担当しており、人手不足の中で「売り上げが期待できない時間に店舗を開けることはない」という。
セブン―イレブン・ジャパンなど大手コンビニは24時間営業の見直しやセルフレジの導入で店舗の負担軽減を模索している。ただ、本部の収益を店舗からのチャージに頼る経営の本質はなお変わらない。
セコマの運営モデルには、大手コンビニ幹部も関心を寄せているという。資金力のあるコンビニ大手が今後、製造・物流を担う企業の統合や、オーナーからの店舗運営権の取得を加速させる可能性もありそうだ。