強力助っ人のアドバイスを得て、モンブランに「修理ができないからそのまま返す、では納得できません」と電話してみる。
その前に、シャープ製衣類乾燥機の修理サービスがやってくる。
実は先日、乾燥機がカラカラカラカラカラと異常音をたてるようになり、修理サービスを呼んだ。
購入後11年経つもので、回転軸とドラムにずれが生じており、調整はするものの修理不能で、修理の若者は「また音がするようになるかもしれません」といい、出張費3,000円のみで帰って行った。
後日ふと洗濯機を見ると洗濯物の上に見慣れぬ金具があり、それは衣類乾燥機の排水ホースの留め具(ホースクランプ)だった。
自分で留められるのか?ホースを見てたらボロッと抜けて、切れてしまった。
これは修理サービスが来た時に、なんとかしてくれなきゃいけなかったのでは?と思ってシャープに電話。
今度はベテランそうな人が来て、出張費もとらず、新しいホースに取り替えてくれた。異常音もぴたりと止んだ。
これが日本の家電メーカーのアフターサービスだよなあ! シャープ、「目の付け所がシャープだね、偉い!」とは言わないが、「よし!」
さて、モンブランはいかに。
「決裁権のある、偉い人とお話しさせて下さい」と言うと、折り返し女性副店長から電話がかかって来る。
「ケータイストラップは銀座店開店記念の限定品でパーツの在庫がない」と言う。
とりあえず国内にはなかった、ということでドイツや他国にも問い合わせてもらうことになる。
修理代は返金可能だけど、購入後年数が経っているので商品代は返金できない、と副店長。
私の希望は「修理保証内で完品」というごく控えめな?ものである。
頑張ってチャームのパーツを探してくれたら良いのだが……。
この副店長も同じものを持っていて、やはりチャームが取れてしまったけどそのまま使用しているとか。
「確かに取れやすいかもしれません。たとえ同じパーツがあって、直してもまた取れてしまうかも」
などとノー天気なすっとぼけたことを言いやがる。
クレーマー先生のゴトーアキオさんからは
>「偉いやつ」と話すとき、
>ドイツのマイスター文化のことなどをちょこちょこ入れたらいいと思います。
>あと、ストラップとチャームを繋ぐ「丸カン」にどれほどの耐久性があったのかも気になりますね。
>ストラップという商品の性質上、ぶらぶらするし、いろんなところに引っかかったり、
>ぶつかったりします。
>なので、丸カンはハンダでつけるか、ないし、相当丈夫なものを使用していなければいけないはず。
>もし925のシルバーの丸カンを使っていたのだとしたらば、他の金属より柔いので、ぽろっと取れてしまいます。
>そうした、TPOにあわせて丈夫で長持ちするものを作ることがドイツのマイスターではないのか、
>というあたりもモンブラン側に見解をいただきたいところですね。
とアドバイスをもらっていた。なんて面倒見がいい先生!
ゴトーさんの教えに従い
「修理の仕方は、パーツが見つかってからだけど、同じような修理では心配なのでハンダごてでしっかりくっつけるとかして欲しい」と言っておく。
Dr.ゴトーに報告。すぐさま親身の指導が入る。
>おお、早くもモンブラン、一気に前進しましたね。
>チャーム本体やパーツはどこかから出てくるはずです。
>もし、なくても「鋳型」はあるので、それで作らせてちゃって下さい(時間は掛かりますが)。
>万が一、それを嫌ったり、できないと言い張るようなら、
>レアなチャームを本国のカタログの中から
>桜井さんが新たに自由に選んで、取寄せしてもらい、
>組み合わせるというのは如何でしょう?
>もしかしたら、もっと理想形ができるかも・・・です。
>ただし、「不承不承」てな感じで、やってくださいね。
>
>また、副店長の言う「また取れてしまうかも」は言語道断の発言で、
>看過できません。
>すぐ、取れるということは、ストラップとチャームの結合部分に重大な欠陥があるからであり、
>商品としてのバランスが著しく悪い、即ち「企画倒れの商品」です。
>
>とりあえず、副店長の沙汰を待ちましょう。
>名前の確認と、「チャーム捜索」にかかる時間の確認はされましたか?
>あまり時間が掛かるようでしたら、催促してください。
>今日び、世界の在庫など、すぐわかるはずですから。
>
>一旦信用できなくなったメーカーの回答を待つのは、
>イライラしてたまらんですが、
>上記のように「次の提案」を複数用意しておけば、
>いい着地になると思います。
「おおー、すごい!そんな交渉もできるものですか。勉強になるなあ。
そういう提案をする会社もあるってことですよね?
モンブランにそれほどの芸当ができるだろうか。
お送りいただく文章(雑誌『小説推理』連載「完膚なき戦い クレーム100本勝てるかな?」)の中にあるのかもしれませんが、
ゴトーさんが感心するクレーム対応を見せてくれた会社、或は個人ていますか?
なんか、モンブランは日本を馬鹿にしてるのか奴らが馬鹿なのか、なめてるなあって思ってしまいます。
勘違いのプライドというか?
それにしても、ゴトーさんのアドバイスで、私はものすごく気分が落ち着きました。
「こんな駄目ブランドの品を素晴らしいと思っていたなんて」
「ああまた奴らと話してイヤーな思いをしなくちゃいけない」
「チャームのなくなったストラップを見る度思い出すんだわ」
と、これしきの事でこんなに落ち込むとは、びっくり!でした。
精神がせこくて情けない~、ぱーっと忘れられる性分だったらなあ、もしかして鬱病か?
とまで思ってしまいましたが、今は闘志満々。あはははは。
本当に感謝しております!」
ゴトーさんによれば、
> その中にはいい対応をしてくれているところもあります。
> 大体、SONY、東芝などの一流以下で、
> 大阪本社(難波の商人・近江商人)があるメーカーなどは話が早いです。
> 家電に限らず関西人は本当に呑み込みと解決が早いです。
ほう!ちなみにシャープは、創業者がシャープペンシルを発明して売り出したが、関東大震災で工場が壊滅したため、シャープペンシルの特許を売って、大阪に移って工場を設立。電機メーカーとなり、シャープペンシルにちなんでブランド名をシャープとした。
ってことで、シャープも大阪が本社だって、なるほどねえ。
ゴトーさんのメールの続き。
> 私は、「吊るし(レディメイド)もの」は譬えフェラーリでも、
> なんとかしようとすれば何とかなると思っています。
> また、保証期間というのも、私は基本無視することにしています。
>
> ですから、今回のモンブランでも、
> 桜井さんの好きなチャームのコンビネーションを一から作ってもらうことも可能かな、と。
> そうでなくとも、「会社の資料」ないし「社員のコレクション」として1.2本ぐらいはあるでしょうから、
> それを「供出」させるのも手でしょうね。
> いずれにせよ、限定とは言えたくさん売ったものは必ずどこかにあります!!
> 副店長に本気で探させてくださいね。
> 頑張って!!
>
> あ、あと、「完品」を手に入れた後は6000円の返却をさせてくださいね。
> (「修理代金」という商品が成立しなかったのですから・・・消費税も)
> ここから先は桜井さん、一銭も出してはいけませんよ。
> お前らで考えろ! ということです。
> 「損金」なんて会社にしたらタダみたいなものですから。
なんてやりとりをしつつ、ゴトーさんから届いた連載文章の面白さと学ぶところ大の有益さに感動しつつ、副店長からの沙汰を待つ。
しかし、その回答にまたもや打ちのめされるのであった。
(続く……)