ライオンミドリ la cantine du lionmidori

気の利いたつまみ、おいしいナチュラルワイン、ちょっと珍しいお酒、幸せなチーズ、明日も頑張れる気持ちになるデザート。

ミドリさんのブログ 11

2018-05-15 14:23:13 | ミドリさんのブログ
お久しぶりです。ミドリさんです。

ライオンミドリにはお一人で飲みに来るお客様が多くいらっしゃいます。
それはなぜか、沖縄市のサバニカフェ、プラザハウス時代からずっとで、私たちはそれをとても嬉しく思っております。

一応経理を担当しているので、日報で一日の報告を受けていますが、
その中に○組○名、と書く欄があります。
時々、8組8名、10組10名、と書かれていて、いらして下さったお客様全員がお一人でご来店という日があります。
私はそれを見ると本当に嬉しくなります。
店をやっている幸せを実感する、と言ってもいいほどです。

私は東京に住んでいた頃に1人でふらっと飲みに行く、という事を覚えました。
仕事の帰りに足がクタクタで、どこかで座ってから帰ろう、とカフェか何かを探していた時。
一見カフェに見えましたが、カウンターがあり、まだ外は明るいのにグラスでビールを飲んでいるOLさんや、文庫本を片手にカクテルらしきものを飲んでいる人の姿が。
渋谷だったので色んなお店がごったになって並んでいる中で、何だか目について入ってみました。

私も迷わずビールを注文。

ビールってきれいな色してるな、なんて思いながら味わって飲みました。
本当においしかった。
ガラス越しに見える渋谷の雑踏も、1人で考え事をするOLさんの横顔も、お店の人のグラスを拭く姿も、なぜか眩しく目に映り、ふー、と肩の力が抜けていくのを感じていました。

15年経ってしまった今も、くっきりと残る思い出の日となっています。
それからは、本当に今日はがんばって働いた、という日を選んで行くようになりました。
「思い立った時にすぐ行くのがポイント」、「誰にも言わない方が勝ち、という感じがする」をテーマに掲げて。
今思うと、本当に贅沢な、豊かな時間でした。

30代に入ってからは、仕事の一環でパリに行くようになりました。
東京でちょっとだけ感じていた、罪悪感のようなもの。
最高に楽しいけど、女子が1人でこんな風にしていて本当に幸せといえるのか?みたいな、うっすらと私を覆っていたものが、一気に吹っ飛びました。

パリはすごかった。
白髪のおばあちゃんがデパートのフードコートで待ち合わせしている間にワインを飲んでいるし、仕事の合間に1人でランチを取りながらも、商談中でさえも、さらっとワインを傾けている。
そしてみんな、リラックスしていて、楽しそうに見える。
お酒を飲むという事、そして食べるという事の概念が国まるごと違うんだと、思い知らされました。あんな都会なのに。都会ならではの嫌な事もいっぱいあるだろうに。どうしてみんな幸せそうに食べたり飲んだりしている?
その理由が知りたくて、またパリに行きたくなってしまうのです。

よし、私もこんな感じで沖縄でも生きていこう!と思う根性はありませんが、ほんの少しの後ろめたさがなくなっただけで、人生の楽しみをまた一つ、温めているよう気がしています。

そんなパリの空気をほんのちょっとだけ。
私達はそんな気持ちでお店をやっています。
ふと思い立った時に1人で飲みに来たお客様も、幸せなひと時を過ごせますように。


マレ地区にある、スウェーデン文化会館に隣接するカフェ。
一人でぼーっとするのに、よく利用させて頂いていました。


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