報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

Bangkok

2005年12月23日 21時11分29秒 | 軽い読み物
バンコク。
何回この街に来たのか定かでない。
4冊目のいまのパスポートで12回。
他の3冊は数えたことがない。
常にバンコクでチケットを買うので、
日本を出れば必然的に2回寄ることになる。

いつもならドムアン空港に着き、
空調の利きすぎた到着ロビーを出ると、
むせるような暑熱が出迎えてくれる。
まとわりつくような濃厚な空気に包まれると、
ああ、来たなという気分になる。

しかし今回は空港の中の方が暖かかった。
12月のバンコクはこんなに涼しかっただろうか。
そうだったのかもしれないけれど、
いつもは、タイでもっとも暑い時期に来るので、
今回のように寒いとさえ感じる空気に包まれると戸惑ってしまう。
なんだかタイでないような。

いや、やっぱりタイだ。
通りには様々な匂いがあふれている。
多量の香辛料を使うタイカレーの惣菜から鼻をくすぐる匂いが。
豚肉や鶏肉を煮込む屋台から濃厚なタレの匂いが。
お菓子を焼く屋台から甘いココナッツの香りが。
しかしほとんどは正体不明の匂いだ。
それらが、ひしめきあう屋台から、
時には渾然一体となり、時には行儀よく並んで流れてくる。
ああ、タイだ。

東南アジアはどこへ行ってもたくましい食文化がある。
とりわけバンコクのような大都市はそれが見事に結実している。
この情熱がある限り、タイの経済は安泰だとさえ感じる。
もちろん経済は食だけで形勢されているわけではないが、
そう思えるたくましさなのだ。
街全体に、言い知れぬエネルギーが渦巻いている。
こちらのこころもわくわくしてくる。
この活気に包まれているのが、たまらなく心地よい。
もし、バンコクから屋台が一掃されたら、
この街の魅力も半減してしまうことだろう。
少なくとも僕にはそうだ。
乙に澄ました街よりも、ひっくり返ったような街の、
混沌としたエネルギーがたまらなく好きだ。

屋台に繰り出し、
食を堪能する人々に包まれ、
とても豊かな時間を過ごす。
ここにはたくましいエネルギーが渦巻いているのだが、
時間はゆっくり流れているような気がする。





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10 コメント

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行きターイ♪ (遙香☆やおしゃん)
2005-12-23 23:27:23
毎度寒いダジャレを飛ばしてすいませんm(__)m

赤い扇風機がいいなぁ、と思いました。

屋台、いいですよね。私は中国と日本の屋台しか知りませんが、作ってくれた人が手渡してくれてお勘定して、「いただきまーす」と言う、そんなコミュニケーションが好きです。



美味しいもの、不思議なもの、たくさん召し上がってきてください♪

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Unknown (rei)
2005-12-24 02:19:41
屋台を見ると、経済の原点があるように感じます。

「生きてる!」という感覚を実感するというか、ホッとするのです。

生まれた町の商店街を思い出してしまいました。
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バンコク (Mee)
2005-12-24 15:59:21
ああ、バンコクですねぇ。

喧噪の中を歩くと、活気が心地良いですねぇ。

特に綺麗キレイなシンガポールから行くと

たまらなく興奮します。



今度行ったらもっとフシギなものを食べてみたいと思っています。



肝炎のワクチンも終わったことですし・・・!
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バンコク (匿名)
2005-12-25 14:30:17
バンコク。

本当に喧騒と共に心地よい所ですね。

いつも興味深く拝見させて頂いてます。
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遙香☆やおしゃんさんへ (中司)
2005-12-26 20:42:56
これだけタイに来ていても、まだ屋台を攻めきれていません。

いまだ食べていないものがたくさんあります。

何でも食べられる便利な味覚を持っているので、躊躇する食べ物は何もないですが、ただ、あまりにもたくさんの屋台と美味しいものがあるので、知っている美味しいものに飛びついてしまうのですねぇ。

まあ、いつでも試せると思うと、つい忘れてしまいます。

京都人がお寺へ行かないのと同じか?

いつも目の前にあるので、いつでも行ける、と。



ぜひとも、不思議の国のタイランドへお越しくださいませ。

見たこともないものが、あなたをお待ちしております。
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reiさんへ (中司)
2005-12-26 20:44:45
屋台生活?に慣れてしまうと、屋台がない日本の生活に困惑さえ感じてしまいます。たとえれば、携帯電話を取上げられてしまったような不便さと困惑のようなものでしょうか。



屋台がなくても、レストランがあるではないか、というわけにはいかないようで。レストランは屋台の変わりにはなりませんね。糸電話が、携帯電話の代わりにならないのと同じでしょうか。



食にかけれる人々のエネルギーは、まさしく経済活動の原点を感じさせます。大都市バンコク全体が、そんなエネルギーに満ちています。
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Meeさんへ (中司)
2005-12-26 20:50:56
そこからちょこっと足を伸ばせばタイですよね。

でも、いつでもすぐ行けると思っていると・・・これがなかなか。



京都人の僕などは、最初に三十三間堂を訪れてから(当時小学生)、二回目までに二十年以上の時間を費やしましたからねぇ。三十三間堂の真横の日赤の献血センターには毎年何回も行っていたのに、です。



でも、バンコクはいくら近代化されても、決して通りから屋台が一掃されることはないでしょう。それはバンコク市民に、飢え死にしろと言うようなものですからね。



ですから、二十年後にMeeさんがたどり着いても、基本的にはバンコクの屋台文化は変っていないかも知れません。チタン合金の屋台だったりして・・・



ちなみに、海外に出るようになってから献血は止めました。

エボラが発生したコンゴも行きましたしねぇ。
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匿名さんへ (中司)
2005-12-26 21:01:29
はじめまして。



このブログも屋台のトムヤム・スープのようになってまいりました。

ご参考になる具が底の方に、少しはあるかもしれません。

ない場合はスープだけもお楽しみいただければ幸いです。

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Unknown (ZU)
2005-12-26 22:30:33
中司さん、



パキスタンに行く前に、タイで十分鋭気をやしなってください。



今回は、イサーンにいくと聞いてますので、ぜひ、”ラープ”と”クンテン”を食べてください。少なくても、"ラープ"を食べないと、イサーンに行ったとは、言えないので?! ウドンタニあたりのラープは、たっぷりと血がのっていると思います。



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ZUさんへ (中司)
2005-12-27 14:51:43
たっぷり血ののった”ラープ”・・・

いったいどんな食べ物なのだろう。

知らない方が楽しみですね。

まだまだ知らないものが多くて、

まったく飽きないところです。
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