報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

郵政事業に税金は使われていない

2005年08月29日 15時37分34秒 | □郵政民営化
「郵政民営化」に関する議論の中で「民営化されれば、税金から支払われている26万人の郵政職員の給与が節約できる。それだけでも多大な税金の節約になる」という意見がある。しかし、僕の古い記憶では、郵政職員の給与には税金は使われていない。あらためて調べてみた。

その結果、僕の記憶に間違いなかった。
郵政職員26万人の給与には、一銭の税金も使われてこなかった。
なぜなら、郵政事業というのは「独立採算制」をとっているからだ。独立採算制とは、「独立して自己の収支で採算をとるようにする制度」である。郵政事業というのは、公的組織でありながら、民間企業のように運営されてきた。郵政事業の独立採算制は法律で規定されている。

日本郵政公社法
http://www.ron.gr.jp/law/law/yusei_ko.htm

郵政職員の給与のみならず、郵政事業そのものが、すべて自前で運営されているのだ。したがって郵政事業に、税金はいっさい使われていない。これは、竹中大臣も国会で認めている。

衆院予算委員会 2005年2月4日
塩川議員:
『郵政民営化によって、国家公務員全体の三割を占める郵政職員を民間人にする、「小さな政府」をつくるといいますけれども、そもそもいま、郵政公社に直接税金が投入されているんでしょうか。』
竹中担当相:
『直接投入されている税金、そういうものはないと承知しています。』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-02-05/02_02.html

郵政省の時代から今日にいたるまで、郵政事業に税金は投入されていない(戦後まもない時期は使われていたようだが)。郵政事業は、独立採算制の下、常に黒字運営してきた優秀な組織と言える。巨額の税金が投入されていた旧国鉄と同列に論じるべきではない。

税金を使っていない郵政事業を民営化しても、一銭の税金の節約にもならない。

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15 コメント

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偽りの独立採算 (--)
2005-09-14 14:19:37
これで独立採算が偽りのものであること、税金が使われていることが少なからず分かったと思います。

しかし、世の中には未だ独立採算でやっている、法律に書いているんだから、と豪語する人が多い、まして政治家にもいるのだから困ったものです。



しかし、今回の選挙の結果、本当に独立採算でやっていかなくてはならないようですね。
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鶏屋さんへ (中司)
2005-09-12 23:43:36
コメントおよびご指摘ありがとうございます。



たいへんな結果となり、驚きましたが、特に落胆はしておりません。世界では、遥かに困難な状況で、悲観もせず活動している多くの人々がいます。



僕も、自分の信じるもののために、淡々と活動し続けたいと思っています。

ある意味では、歴史そのものの中にいるという気がします。
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少しおかしいです。 (鶏屋です)
2005-09-12 05:00:45
 ちょっと、遅くなりました。おじゃまします。

 辛坊 治郎さんの記事は、4年前です。郵政公社改革前です。

 そして、参考記事総中央省庁改革以前の記事です。URL末尾の日付でもわかります。



特定郵便局-辛抱治郎

http://shinsho.shueisha.co.jp/toranomaki/010821/

郵便局はいかさま天国? 「自民党と歩んだ相互膨張の半世紀(前半)」

http://nb.nikkeibp.co.jp/free/YUSEI/20020116/101648/

なぜ選挙に走るのか 「自民党と歩んだ相互膨張の半世紀(後半)」

http://nb.nikkeibp.co.jp/free/YUSEI/20020116/101649/



 ご紹介の記事は、膨大に出回っており非常に危険です。つまり、故意に『 特定郵便局=悪者 』へ誘導している可能性があります。

 局舎料( 家賃や借地料 )ですが、個人局舎の場合、局長会(民間)から地主(特定局長)が資金を借り入れます。そして、公社が賃借料を支払います。契約では違法性はなく、基準(地方物価水準次第)でしょう。ここは、外部からは調べようがありません。公開されませんので。



 世襲局長の殆どは、田舎でしかも全体の3割に過ぎません。公社化後、特定局の大勢を占める経費が3倍かかる都会に出来た無集配局の方が問題のようです。



 ついでに法案部分ですが、郵貯の再委託 と 簡易生命保険管理業務(再保険の契約)第十六条 の再保険委託と『 再再保険委託 』と言う項目があり、しかも簡保は外資規制をかなり外しております。



 (上記ご紹介の記事を引用しているブログ管理者は、正規法案部分も故意に誘導しておられるとしか想像出来ません。英訳もおかしい。)



 株売却も外資規制がありません。おそらく株価下落の落ち着いた時に外資が買い占めるとの意見が出ています。(7.5兆円では防衛出来ない。)



 渡切費ですが、公社時に完全廃止になっています。但し、需用費に名前を変えていると言う意見もあります。綿貫さんの運送会社(1260億円でしたっけ)も、正規契約かも知れない。(立証されていません。)つまり、この2件は取って付けた濡れ衣の可能性が高い。



 今、噂されている問題らしき物は公的機関の会計検査院あたりが指摘告発しない限り、単なる噂の範囲でしかありません。毎年けんさしているはずです。

 しかし、焦げ付き財投200兆円も毎年検査しているはずです。年金紛失80兆円も。これがいぶりだされない事が一番の疑惑と問題です。

 私は、真実とは異なる噂で叩くのは大嫌いで許せません。悪い部分は直せば良いと思っています。彼ら特定局は、方と正義の基では平等でなければなりません。民営化とは別問題だと認識しております。



 余計なでしゃばりをお許し下さい。郵政と、預貯金は国内財産です。民営化するべきではないと基本的に考えますが、日本人は負けてしまいました。憲法も。マスコミも。日本志向の政治も。残念です。

 失礼しました。     敬具  鶏屋  

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のりさんへ (中司)
2005-09-01 20:20:46
ご指摘ありがとうございます。

ご指摘の通り、総務省は特定郵便局へ家賃を支払っていることがわかりました。年間に支払われている家賃の総額は約800億円です。渡切経費の総額についての公式な数字はまだ見つかっておりません。



確かに現時点で総務省から国の「公費」で支払われていることに間違いありません。前回に引き続き正確さを欠く表記であったことを、この場をかりてお詫び申し上げます。



郵政事業には、さまざまな問題があることは、すでに僕自身が述べております。それらが改善されなければならないことも当然事実です。しかし、それを持って、郵政事業そのものを民営化する理由にはならないと考えています。



これまでに、論じてきたように、「郵政民営化」とは日本の内的動機によって推進されてきたのではありません。アメリカからの長年の要求、圧力に押されてはじまったものです。なぜ、アメリカは日本に対して、「郵政民営化」を要求しているのか、そこのところを考えないと「郵政民営化」の本質は決して見えてきません。「郵政民営化」の本質とは、決して家賃や渡切経費ではありません。



僕がこのブログで再三にわたって論じているのは、「郵政民営化」の「動機」とは何か、アメリカは何のために「郵政民営化」を要求しているのか、ということです。それをこそ考えて欲しい。家賃の800億円と渡切経費を節約するためなら、350兆円を危険に晒してもいいのでしょうか。



ご指摘には、こころから感謝いたします。

今後とも疑問の点はご指摘いただきたいと思います。



中司達也
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一銭も? (のり)
2005-09-01 17:35:29
こんばんは。興味深く読ませて頂いてます。



>税金を使っていない郵政事業を民営化しても、一銭の税金の節約にもならない。



と いうことですが、以下の特定郵便局については、税金が支払われていると言えると思いますが、どうでしょうか?もっとも重要なのがココだとおもいます。



↓辛坊 治郎が分かりやすく解説してくれています。

http://shinsho.shueisha.co.jp/toranomaki/010821/



●郵便局の土地、建物は、郵便局長の所有物であり、国が、局長に家賃を払っている。自宅=郵便局の場合でも、この家賃は支払われる。

●局長には給料は勿論、公務員としての待遇が保証される。

●給料とは別に、年数百万円の経費(渡切経費・わたしきりけいひ)が支給される。



(その他 参考)http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200508231302.html
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まゆこさんへ (中司)
2005-08-31 01:55:56
お心遣いありがとうございます。

資料まで添えていただいて、言葉もありません。

すぐに「訂正とお詫び」としてアップいたしました。

こうした思い込みによる誤記は、犯さないに越したことはありませんが、自分は過ちを犯さないなどという過信はもともと持っておりません。いつかは間違ったことを書いてしまうのではという思いは常にあります。他の分野についても同じです。

自分の過ちには正面から向き合いたいと思っています。

今回のご指摘にこころから感謝しております。

こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
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ありがとうございます。 (まゆこ)
2005-08-30 23:57:13
いえ、実際には、国会の場でも「納入している」という表現が使われていたんです。たぶん、めんどくさいからだと思いますが…。事実にまったく反するというわけでもないですし。

ただ、民営化法案に闇雲に賛成している人が、万が一、重箱の隅をつつくような不愉快な書き込みをする前に、と思いましたもので。。謝罪までしていただいてしまうと、かえって恐縮です。。



テレビ報道があてにならない昨今、中司さんのblogからは、事実と真正面から向き合う姿勢と、静かな意欲が感じられます。これからもどうぞよろしくお願いします。
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まゆこさんへ (中司)
2005-08-30 23:24:46
ご指摘ありがとうございます。

完全な僕の勇み足でした。1兆2000千億も利益を出しているので、当然収めているものという思い込みで書いてしまいました。

何事もウラを取ってから書くべしと、自分で言いつつ、こういう事実に反する記述をしてしまいました。深く反省すると同時に、誤った記述をしたことを、ブログをお読みの皆様にお詫び申し上げます。



過ちは過ちとして、きちんと記録に残しておきます。本編で、あらためて訂正とお詫びをいたします。



丁寧なご指摘を、本当にありがとうございました。
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国庫納付金について (まゆこ)
2005-08-30 21:12:39
いつも大変興味深くblogを拝見しております。中司さんのようなジャーナリストさんは、少なくとも私にはとても心強い存在です。

1つだけ中司さんの国庫納付金についての記述について、僭越ですがコメントさせてください。



郵政公社は、公社化当初、資本金がほとんどなかった(実際には1兆くらい)ために、資本金が7兆円に達するまでは、国庫納付金を免除されることになっているのです。このため、実は実際にはまだ納付金を納めていないようです。

もっとも、公社の規模では本来約10~16兆円くらいの資本金が必要だとのことですし、資本金もないまま公社化してしまった政府側のツケで、いわば国庫納付金と資本金拠出との相殺という意味合いがあるということですから、中司さんの論拠を揺るがすわけではないのですが。



ただ、実際には納入していないわけで、「国庫に毎年何千億円も納入しています」と言うと誤解を招きかねず、なにか違う表現にされたほうがよいかと思いました。なかなか一言では難しいですけれど…。



この証拠というか、生田総裁の発言です。

(自己資本不足)というところをご覧下さい。

実際に納入できるまで、あと少しのようです。

http://www.japanpost.jp/interview/kouen0827.html
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reiさんへ (中司)
2005-08-30 08:32:09
コメントありがとうございます。

結局のところ、メディアに対する誤った幻想を、マスメディアそのものによって、国民は植え付けられてしまったということです。



メディアの伝えることは、事実であり、真実であると、条件反射のように信じてしまいます。まず、メディアそのものに対して、疑いの目をもたなければ、我々はいつまでたっても、いいように振り回されてしまいます。我々が、メディアの姿勢を修正する役目を負わなければなりません。



NHKは不祥事のあと、受信料の不払いが急増し、泡を食って襟を正し始めました。抗議の電話やメールは、無視されて終わりですが、不払いは無視できません。



同じように、新聞も購読を止めるという手段で、意思表示ができます。僕は、もう長年新聞もとっていないし、受信料も払っていません。海外の新聞にくらべると、日本の新聞の質は非常に低く、情報量もお粗末です。記事よりも、広告を読ませるための新聞です。とてもお金を取れるレベルではないと思っています。



すでにあちこちで提唱されていますが、新聞を止めることで、メディアに意思表示すべき時ではないかと考えています。



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Unknown (rei)
2005-08-30 07:59:40
例えばロックスターというのはどんな奇抜な格好や理解しがたい行為を行ったとしても、「個性的」といって賞賛されます。

マスコミは小泉氏をスターとして褒め称えてそれ以外の「雑音」を無いものとしてしまっています。

小泉氏がスターかどうかは視聴者が決めることであり、マスコミはマスコミが思う正論ではなく異論も伝えなければなりません。

マスコミの役割は何が正しいか伝えるのではなく、ありのままを伝えることなのです。



その点で今日の日本の構造改革というものに恐怖を覚えます。欧米では徹底的に話し合い、起こり得るリスクを知った上で行ってきたわけです。それで実行しても現在ではそれを見直す動きがあります。

一方日本はリスクを「雑音」に置き換え、無視し、完璧なものとして、まるで改革の先に桃源郷が存在しているかのような幻想を植え付けています。

よって欧米諸国の場合よりもさらに酷い状況になるのではと危惧しています。

さて、桃源郷はあるのでしょうか…。

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哲夫さんへ (中司)
2005-08-30 00:12:20
コメントありがとうございます。

郵政事業は、巨額の黒字を出す公的な組織であるがゆえに、利権の温床になってきたと思います。その他、様々な非効率な面もあります。



しかし、赤字を出さず、国民にいっさいの負担をかけていない郵政事業を、民営化する道理は存在しません。



マスメディアは、こうした基本的な事実さえ、国民に伝えようとしていません。郵政事業に、いっさいの税金が使われていないことを知れば、郵政事業民営化に賛成する人の多くは、シラケてしまうでしょうから。

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騙されないぞさんへ (中司)
2005-08-29 23:59:56
コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、郵政事業の利益の半分は国庫に収めます。2004年度の純利益は、1兆2000億円です。この半分が収められたことになります。いわば、利益の50%の税金を払っているとも言い換えられます。

独立採算で国民にいっさいの負担をかけていないうえに、国庫に毎年何千億円も納入しています。
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そう・・・ (哲夫)
2005-08-29 18:28:17
だから、使い方の方が問題だったということになるのでは。足りない分野が他にもあるって、議論しきりの今日この頃。
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Unknown (騙されないぞ)
2005-08-29 17:50:05
しかも、利益が出た場合は半分を国庫に収めることになってます。
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