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報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

ドルに支配される世界 ②

2006年04月04日 22時42分20秒 | ■ドル・ユーロ・円
<国際機関を使ったドルの注入>

いま日本や産油国、新興工業国はドルの買い支え地獄の中にあるが、途上国もまたドルによる地獄を味わわされ続けている。第二次大戦後のアメリカは二国間援助や戦争を通して、世界中にドルを注入していったが、それだけでなく、国際機関も使ってドルを世界中に浸透させていった。

その国際機関とは、IMF(国際通貨基金)と世界銀行だ。

IMFと世界銀行は、途上国の開発援助を行う機関として世界的に認識されているが、それは単に表の顔にすぎない。本当の目的は、ドルの注入と防衛にある。この両機関の援助と融資を受けた途上国はことごとく償還不能な債務をかかえ、ドルに支配されることになった。IMFと世界銀行の援助や融資を受けた途上国は、以前よりもさらに経済状態が悪化し、貧困の度合いを増した。

途上国の国内産業は崩壊し、外国企業に占領され、はては電気、給水などの公共事業も民営化され外国企業に売却された。農業、教育、医療の水準は最低レベルにあり、向上する見込みはない。農業の崩壊により、農村人口が都市に集中し、都市の治安は急速に悪化した。地方も都市も荒廃した。外国企業は、失業率の増加にともなう低賃金労働を利用し、安い製品を量産し、莫大な利益をあげてきた。

IMFと世界銀行は開発援助のエキスパートとして途上国に乗り込み、まんまと途上国の経済と社会を破壊し、途上国をドルの重債務の中に放り込むことに成功した。さらにIMFは、債務を返済させるための追加融資を押し付け、途上国の債務を増やし続けてきた。

途上国にどれだけの経済援助を行っても、飢餓や貧困、低賃金労働が軽減されないのは当然のことなのだ。IMFや世界銀行による経済援助とは、途上国をドルの呪縛の中に放り込むことが目的なのだから。世界の飢餓と貧困、低賃金労働の根源も、基軸通貨ドルにあるのだ。

アメリカは基軸通貨ドルを利用し、先進国から途上国に至るまで、世界を完全に支配してしまった。世界がドルに支配されている限り、飢餓や貧困、低賃金労働、そして戦争は決して解決できない。



IMFと世界銀行、ドルの支配についてはカテゴリー「IMF&世界銀行」の中で詳しく述べているのでそちらをご参照いただければ幸いです。
【IMF&世界銀行①~⑤】
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/a9cbe326ad861948839e438fab6ebb5b/1
【IMF&世界銀行⑥】
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/97cd7d79ccace934954c2823b2ed3d13
など。


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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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世界銀行、IMF (ken)
2006-04-05 15:12:01
いつも読んでます。leonloboさんの記事は読みやすくて分かりやすいです。

この世界が戦後アメリカのために変わっていったんですね。

でもこの先、どうなるんですか?このままこの体制はずっと続くんですか?これの行き着く場所は何処になるか分かりません。良ければleonloboさんの考えでも何でもいいので聞かせてもらえないでしょうか?
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kenさんへ (中司)
2006-04-05 19:01:44
コメントありがとうございます。



たいへん難しいご質問です。

日々、多くの方が悩んでおられる根源的な問いだと思います。

そして世界中の知性がいまだに答えを見出せていない問いだと思います。



まず第一に認識しておかなければならないのは、いまの世界の現状をよい方向に変えるのは、簡単なことではないということです。解りきったことですが、案外、安易に考えている人が多いと思います。従来の社会運動で変えてきたのは、ごく表面的なことだけで、本質は何も変えていません。



それでも、ないよりは前進ではないか、と考える方もおられるでしょう。しかし、癌の苦痛を鎮痛剤で押さえても、癌はそのまま増殖します。現状は、鎮痛剤で満足している癌患者のようなものです。根本的な解決の手段をとらなければ、患者は当然死んでしまいます。



いまの世界が向っているのは、破滅だと思っています。植民地政策が永遠に続かなかったのと同じように、基軸通貨ドルによる世界支配構造もいずれは崩壊するでしょう。



すでに、途上国では反米、反IMF・反世界銀行の運動が起こっています。半世紀以上のあいだ、ドルによる搾取を受けてきた途上国の人々は、この世界の構造を理解しはじめています。ただ、途上国の運動だけでは大きな力にはならないでしょう。



同じく、ドルによる支配を受けてきた先進国や産油国などすべてが合流しなければ、途上国の運動は強大な軍事力に叩き潰されることになると思います。しかし、そのような世界的なうねりがおこる可能性は低いと思います。というのも、それは富の公平な分配を意味するからです。



先進国や産油国などはドルに支配される反面、支配階層はドルから莫大な利益を得ています。つまり、アメリカ以外の国も、途上国から吸い上げてきた富の分け前を得てきたわけです。また、途上国の支配階層も当然、大きな分け前を得てきました。富の公平な分配が行われる可能性はとても低いと言えます。一気に世界を変えることなど到底できないと思います。一昔前の革命家の夢想にすぎません。また、彼らの手段とは安易な暴力でした。



まず自分の国を公平な社会にできなければ、世界に対して何もできないと思っています。日本はいま、急速に不公平社会へと突き進んでいます。ほとんどアメリカの言いなり状態と言っていいでしょう。完全なアメリカの属国になる前に何とかしなければならないと思っています。



そのためには、日本についての正しい知識を持たなければならないと思います。われわれは自分の国についてどれだけのことを知っているでしょうか。まず、そこからはじめなければならないと思っています。



メディアによってわれわれは日本について誤った像を描いています。自分が癌であるのに、風邪だと思っていては正しい治療はできません。日本の症状を正しく知ることがまず最初です。手当たり次第に薬を試しても、かえって体に悪いです。メディアによって植えつけられた固定観念を捨て、日本と世界の「実像」を知ることが、最も大切だと考えています。



日本語には、「知力」という言葉がありますが、「知る」ことはすなわち「力」だと思っています。多くの方々の知力こそが、この世界を公平な社会に変えるのだと信じております。



残念ながら僕自身の能力には、たいへん限界があります。明快な答えは出せません。それでも、若干のヒントにでもなってもらえればと思ってこのブログをやっております。
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Unknown (ken)
2006-04-05 23:14:57
ありがとうございました。最近いろんな本を読むんですけど(または記事を読んだり)どれも最後には繋がってるんですね。片方が勝てば、もう一方は負ける。当然と言えば当然なんですけど。それのレベルと言うか勢いも大きくなってきてるように感じます。

僕も最近、ある運動に加わっているんですけれども(イラクなど)それも結局アメリカに繋がって、国内のいろんな教育や雇用やらの事情に繋がってきてるのが分かってきて、何でこの世界になったのかうっすらとげんいんが分かってきました。だから今それを変えようと運動に加わっています。

僕も今の日本はアメリカの言いなりに成り下がっている気がします。特に郵政民営化などは…。



丁寧なコメントありがとうございました。また色々読ませていただきます。
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