![]() | 冤罪と裁判 (講談社現代新書) |
今村 核 | |
講談社 |
私の尊敬する弁護士・今村核先生の新刊書です。今村先生の著書は以前このブログでも紹介させていただきました。今村先生は、知る人ぞ知る刑事弁護とりわけ冤罪事件の大家です。昨今はタレントのような中身の乏しい弁護士ばかりが注目を集めていますが、本当に素晴らしいのは今村先生のような弁護士であることを、みなさんにぜひとも知って欲しいです。
今回の著書もやはり冤罪に関するものです。
強引な取り調べ、自白の強要、警察組織ぐるみの偽証、証拠品のすり替え――あなたは突然、身に覚えのない事件の被疑者に仕立て上げられて、それでも無罪を主張し続ける自信がありますか?断言します。本書を読んだ後、その自信は完璧に打ち砕かれます。警察が「コイツを犯人にしたい」と思ったが最後、一直線に有罪に叩き落されます。警察・検察がダメでも、良識ある裁判官がいる?だけど検察官の言いなりに拘留状を出し、代用監獄を認め、接見を禁止し、保釈を許可せず、国選弁護人を解任するのは、ほかならぬ裁判官なのですよ。
こりゃー「取調べの全面可視化」なんて認めるわけないよ、警察は。こんな取調べ、こんな「暗部」を、世の中に出せるわけがない。警察サイドの言い分では、「容疑者がカメラを意識する結果、供述を引き出しにくくなるので可視化反対」って・・・カメラを意識せざるを得ないのはあんたらだろが!!
本書の後半では、裁判員裁判について大変興味深い論考も収録されています。刑事弁護の現場から発せられる、実に説得力ある内容です。
この国の刑事司法の現状はまずいです。本当に、国民全員がこれに気付いてなんとかしなければなりません。背筋が寒くなる危機感と、じりじり焼かれるような焦燥感を覚えます。みなさん、このままでは困ったことになりますよ!
一人でも多くの方が本書を読み、その危機感を共有して欲しいと思っています。
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