![]() | 生活保護法的支援ハンドブック |
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民事法研究会 |
母親が生活保護を受けていたという理由で、ある芸人さんが非難を浴びています。その芸人さんは実はかなりの収入があるとのこと。それだけの収入があり、格別の問題もなければ扶養義務を果たすべきではないか、というのが非難の趣旨です。
確かに良いこととは言えません。形式的にはともかく、実質的には不当な受給の疑いもあります。
なので、私もその芸人さんを擁護するつもりはありません。しかしその一方で、マスコミのバッシング報道にも違和感を感じます。違和感というより、むしろ「ああ、またいつものアレか」という感じ。空虚なセンセーショナリズムです。
間違いなく、生活保護には「暗部」があります。ひとことで言えば、「もらうべき人がもらえず、もらうべきでない人がもらっている」ということです。今回の件は「もらうべきでない人がもらっている」ことの格好の事例なので、マスコミはむさぼるように飛びつきました。マスコミだけでなく国会議員まで喰いつきました。もう一方の「もらうべき人がもらえない」ことは、完全に無視されたままで。
生活保護に「不正受給」は数多い。しかし「不正不支給」もまた数多いというのが、私の職務上の実感です。「不正不支給」とは言い過ぎかもしれませんが、明らかに「この人は受給できてしかるべきでないか」と思われる人が、役場の窓口で断られています。そんな事例をいくつも見ています。私たち司法書士の同行申請で受給できるようになる人も多く、それはそれで「受給できるようになって良かった」と思いますが、「それならどうして最初は断られてしまったのだろう」と、釈然としない思いもあります。
不正受給の方だけ叩いていては片手落ち。不正不支給も問題視して欲しいものです。
それにしても、興味本位のセンセーションはまた急速にしぼんで行くのでしょう。それはいつものこと、取り立てて驚きはしませんが、「生活保護をもらうのは悪いこと」というような誤った置き土産を残さないで欲しいと願っています。
ちょっと分かりにくかったようなので、補足しておきます。