司法書士の新展開
司法書士の日常業務を司法書士自身が書いた本です。私もこの本の中で「事件に対するシンパシー」という小論を書いてます。
題材となった事件は、ある小規模な水害について地方公共団体を相手に提起した訴訟です。この訴訟を通じて、私は受託事件に対する「姿勢」の問題を考えさせられました。
司法書士として、とりわけ訴訟代理人として「良い職務活動」をするためには、受託事件に対する強いシンパシー(共感)が必要です。問題は、私たち司法書士がさまざまな事件に対し曇りのないシンパシーを感じることができるのか、ということ。私は当初、行政相手の訴訟に、恥ずかしながら「腰が引けて」いました。それは間違いであると教えられたのがこの事件です。
事件の相談を受けるとき、特に「この事件は法律的に無理だな」と受託を断るとき、私は必ずこの水害訴訟のことを思い出します。「本当に断っていいの?本当に無理なの?腰が引けてるだけじゃないの?」と自問するのです。