倉野立人のブログです。

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青木島遊園地廃止問題 ~置き去りにされた子どもの存在と「子どもの権利条約」~

2023-02-04 | 日記

今や大きな社会問題となってる「青木島遊園地廃止問題」ですが、この案件において〝欠落していること〟として「議論が、主役であるハズの子どもを抜きに行なわれていること」を指摘したところであり、その考えは 何も私だけでなく多くの人が感じていることでありましょう。

本来は、遊園地を利用する子どもにとって 何が一番有益であるかを基本に据えて議論を進めてゆけば、事(こと)の推移は また違った舵を切れたのではないか、と ときに残念に思わされるところです。

「遊園地を存続すべき」という人の中に「子どもの遊ぶ権利」を説(と)かれる人が居(お)られ、その人は 議論の根拠として『子どもの権利条約』を挙げられ、それは実に当を得たものでありました。

 

 

 

『子どもの権利条約』は 1989年に国連で採択された「子どもの基本的人権」に関する条約です。

かつて戦争において 罪もない子どもたちが火戦にさらされ生命までも奪われる事態に陥ったことへの反省から、(18歳未満の)子どもにも基本的人権があること、それ(子どもの人権)は保障されなければならないことを明文化したものです。

「子どもの権利」とは、すべての子どもが心身ともに健康に育つために必要とされる権利で、それ(子どもの権利)は 大きく分けて「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」があります。

1. 生きる権利
・住む場所や食べ物があること
・病気やケガをしたら治療を受けられること
・健康に生まれ、防げる病気などから命が守られること

2. 育つ権利
・教育を受け、休んだり遊んだりできること
・もって生まれた能力を十分に伸ばしながら成長できること
・自分の名前や国籍を持ち、親や家族と一緒に生活できること

3. 守られる権利
・紛争や戦争に巻き込まれず、難民になったら保護されること
・あらゆる種類の暴力や搾取、有害な労働などから守られること
・障がいのある子どもや少数民族の子どもなどは特に守られること

4. 参加する権利
・プライバシーや名誉がきちんと守られること
・自由に意見を表したり、団体を作ったり、自由な活動を行えること
・成長に必要となる情報が提供され、子どもにとってよくない情報から守られること

 

 

で、この『子どもの権利条約』で定められていること(守られなければならないこと)が、まさに 今回の「青木島遊園地廃止問題」に符合する と述べられているのです。

それは、この条約の2本目の柱「育つ権利」に表されており、さらに 条例の中の条文「第31条」に明確に示されています。

「育つ権利」においては、前掲2,の説明のうち

・教育を受け、休んだり遊んだりできること が該当すると申せます。

「勉強したり遊んだりして、もって生まれた能力を十分に伸ばしながら成長できること」とされています。

 

 


さらに、同権利条約の「第31条」には「休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加(への権利)」が条文化されています(条文は次のとおり)。

(1)締約国は、子どもが、休息し かつ余暇をもつ権利、その年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション的活動を行う。

(2) 締約国は、子どもが文化的および芸術的生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進し、ならびに、文化的、芸術的、レクリエーション的および余暇的活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。

 

 

つまり、遊園地などで子どもが遊ぶことは、国連の定める『子どもの権利条例』で遵守しなければならない内容そのものであり、批准国である日本の自治体である長野市においても 当然にそれを履行しなければならない立場にあるという論理です。

しかも、同条例においては「子どもは大人と同じように人権を持っているが、その一方で 特別な保護が必要とされていることから、大人や国には 子どもの権利を守る責任がある」とされ、さらに「大人や国は、子どもにとって一番いいことは何か ということを考えなければならない」とされています。

そのためにも、子どもたち一人ひとりと丁寧に向き合っていくことが求められている とされているのです。

 

今回の「青木島遊園地廃止問題」において欠落していると指摘した〝子どもの視点〟ですが、それは 国連の定める『子どもの権利条約』の見識からしても、再考しなければならないと考えられるところです。

子どもには 遊ぶことも含めて「権利」があること、そして その子どもの権利は 他でもない大人や国が守ってゆかなければならないこと…認識を新たにさせられる指摘であります。

そのうえで、忸怩(じくじ)たることこのうえないのが、この『子どもの権利条約』について 遊園地に対する苦情が発せられた早期のうちに議論の俎上に載せ、対応の根拠にしていれば こんな膠着した状況に陥らずに済んだのではないか、という点であります…。