倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

絶滅の危機

2019-07-14 | 日記

7/13 Sat

 

中央アルプスの駒ヶ岳で、およそ半世紀ぶりに孵化(ふか)が確認された「二ホンライチョウ」のヒナ5羽について、環境省が「天敵に食べられるなどして「全滅」したとみられる」との見解を示したことが報じられ、残念極まりなしを実感したものでした。

記事によると、 環境省の職員らが中央アルプスの「駒ヶ岳」に入り、およそ半世紀ぶりにメス1羽の生息が確認された 国の特別天然記念物の「ニホンライチョウ」が産卵し孵化したヒナ(5羽)の状況を調べたところ、当のライチョウは発見したものの、ヒナは見つからなかったとのこと。調査した環境省の担当者は「ヒナは寒さや雨で衰弱したり、キツネやテンなどの天敵に食べられた可能性がある。」とし「全滅したとみられる」との見方を示したとのことです。 今後はメス1羽を見守りながら、天敵の駆除を行うなどして 中央アルプスでのライチョウの生息環境を整えていきたいとしているとのことです。

 

 

別の日の記事では、かかる 絶滅のおそれがある二ホンライチョウの生息に適した環境が、地球温暖化の影響で北アルプスでは今世紀の終わりごろにはほぼ消滅し、この地域のライチョウが絶滅する可能性が高いとの研究結果を長野県の研究所などがまとめたことも報じられています。

 

ニホンライチョウの生息数は、信州大学の調査で1700羽程度と推定され、北アルプスにはこのうち1000羽程度が生息しているとみられているとのこと。

ライチョウの生息を調べる「長野県環境保全研究所」などは、北アルプスの中南部を対象に、地球温暖化がライチョウの餌やすみかとなるハイマツなど3種類の高山植物にどのような影響があるかを予測したところ、2081年から2100年の世界の平均気温が現在よりも2度から4度上昇すると想定した場合、高山植物はいずれも減少し、ライチョウの生息に適した環境の面積は、現在の0.4%まで大きく減る可能性が高いことがわかったということです。

ライチョウの生息地となっている高山帯は、それぞれ孤立していて移動が難しいため、予測どおりになった場合、北アルプスのライチョウは絶滅する可能性が高いとみられるということです。  

県環境保全研究所は「いくらライチョウの保護の取り組みを進めても、温暖化対策を行なわなければ絶滅してしまう可能性が高い。」と話しているとのことです。

 

長野県の「県鳥」でもある「ライチョウ(ニホンライチョウ)」は、その丸っこい容姿と、回りの環境に合わせて羽の色が変わる特徴などで長野県民に親しまれている存在ですが、それだけに、それが絶滅の危機に瀕していることは由々しき事態と受け止めなければならないと思います。

 

そのうえで実感させられるのが、ライチョウのピンチは、昨今の野生鳥獣の生息域の変化や 温暖化に伴う気象状況の変化など「大自然の状況変化」を象徴し、ライチョウたちは その矢面に立たされているのではないかというところです。

今まで 山の裾野あたりに生息していたハズのキツネなどが山頂近くまで徘徊するようになり、寒い高地エリアに遍在したハイマツなどが 温暖化の影響で一本 また一本と姿を消してゆく・・・まさに「佳(よ)き自然環境の瓦解(がかい)」が、私たちの暮らす 自然大国信州の膝元で起こっている現実。

県環境保全研究所が述懐するように、今回の「ライチョウ絶滅危機」の問題、抜本的には いくらライチョウの保護の取り組みを進めても「地球温暖化対策」を行なわなければ解決にはならないと言えるでしょう。

しかしこれ(温暖化対策)は 一朝一夕に解決できる課題ではないことは承知するところですが、他でもなくライチョウに親しみをもつ長野県民とすれば「ライチョウを守るためにも、環境問題を真剣に考えてゆこう。」との意識をもって諸事に臨むことも肝要ではないかと考えるところです。

 

このままゆけば、私たちの子や孫の時代に「ライチョウ絶滅」のニュースが流されることになってしまいます。そんな悲報が現実のものにならないよう、今のうちから真摯な取り組みを進めるべきと感じているのは、私だけではないでしょう。