水勢
7/3 Wed.
九州南部(鹿児島)地方に降り続く雨は、ついに臨界点を超え、各地で河川氾濫を起こしており、その模様が刻々と報じられました。
鹿児島市は、40以上の川が流れる 河川の多いまちと聞いています。おそらく日常では、豊かな水がまちを縦横に流れ、灌水(かんすい)と景観に寄与してくれているのでしょうが、今回の長雨においては、各河川がもつ許容量を超え、道路や水田、また住宅地へと被害を及ぼしたようです。
また 隣接市の南さつま市では、市の中心を流れる河川が決壊・氾濫し、多くの被害が発生したことも報じられていました。
今後、この雨雲は東日本へと移動、関東エリアにも大雨を降らすことが予想されることから、気象庁は厳重な警戒を呼びかけているとのことです。
雨の被害と言えば、私は信州人として「平成18年7月豪雨」を思い出さざるを得ません。
平成18年に長野県を襲った豪雨災害は、県内的には岡谷を初め中南信地域への被害状況が大きく報じられました。
しかして あの豪雨は、長野市にも大きな被害を及ぼしたのです。
篠ノ井信里灰原地区では土砂崩れが発生、幸い人災には至らなかったものの、一部家屋と農地・山林が土砂に埋まる被害を受けました。
また、千曲川の氾濫により、松代西寺尾地区の河川敷にある農地が軒並み冠水し、農作物に被害が及ぶと同時に、上流から流れてきたゴミ等が 育成中の長芋のツル柱に大量に引っかかり、処理に大きな手間を要することとなりました。
また 身近では、この年4月に完成した「犀川南マレットゴルフ場」が、犀川の自然堤防を超えた濁流に呑み込まれ、できたばかりのコースは水没・・・皆で肩を落としたものでした。
しかし そこで我々はあきらめることなく一念発起し、その年のうちに復旧を果たし、現在に至っています。
あのとき復旧をあきらめていたら、マレットゴルフ場は また「ただの河川敷」に戻り、今の姿は無かったことでしょう。
今 映される「水勢」に因(よ)る被害状況を見るにつけ、私たちの周辺でも実際に起こった水害を思い起こすを余儀なくされています。
水は実に正直です。常に低い方へ低い方へと流れ、いくらかでも弱い部分があればそこに勢いを集中させ、ときに容赦なく突破してゆきます。
地域内の低床部には、豪雨時には決められたように水が溜まり、堤防の脆弱な部分は 時間と共に水圧がかかり決壊を招くのです。
私たちは経年に亘り、ことあるごとに「水勢」と対峙してきました。
水多き日本列島は、その「水」の恩恵を甘受しながら豊かな生活を送っています。しかし、その水がひとたび牙を剥(む)くと、それは直ちに私たちの社会生活を脅かす存在にもなります。
大雨のニュースを耳にし「水勢」による被害状況を聞くにつけ「自然との付き合い方の難しさ」を思い知らされるところです。