二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第26節 札幌vs京都

2014-08-10 | 蹴球

コンサドーレ札幌●0-1○京都サンガF.C.
            70'大黒将志
            (assist石田雅俊)


■攻撃重視の目線から
 札幌に圧倒的に攻め込まれながらも、数少ないチャンスをモノにして1-0で勝ったというこの試合。見る人の志向が攻撃的なのか守備的なのかで、見え方は違うかと思う。
 攻撃の目線から見れば、一番気になったはビルドアップの出来てなさ。攻撃の糸口はほぼ山瀬功治の打開力頼みで、組織的な意図としてボールを動かすこと、攻撃を組み立てることはほとんどできなかった。例えば63分くらいの場面。山瀬が中央に絞り、山瀬が空けた左サイドには駒井善成がスルスルっと進出、ボールが出てくるのを待っていたが田中英雄はそこを使うことなく、ボールを後ろに戻した。両ボランチからの攻撃的な配球がないため攻め手は限定された上、パスの繋ぎは足元中心。スピード感や躍動感のある攻撃はなかなか出てこなかった。
 例外はワンチャンスをモノにした得点シーン。引いてきた大黒将志が受けて前を走る石田雅俊へ。石田は相手を引き付けるだけ引き付けて、テクニカルにボールを捌いてからの大黒へのラストパス。それをスパッと決めた大黒も見事だったが、このシーンでは、囮となって札幌守備陣に大穴を開けされた山瀬のフリーランも忘れてはならない。3人だけでも相手を見事に崩した得点だった。

■守備重視の目線から
 守備の目線から見れば、よく粘り込んだゲーム。最少得点差で勝つことに価値を見いだすカテナチオの国ならば、賞賛されるのかもしれない。幸運もあった。1つは札幌がシュートミスで散々決定機を逸してくれたこと。もう1つは前田拓哉主審はコンタクトプレーを流すタイプで、エリア内で酒井隆介らの際どいチャージに笛が吹かれなかったこと。球際での厳しさでどうにか凌ぐうちに得点が入った。逆に圧倒的に攻めていた札幌はこの1点で精神的にもガクッときたのか、急激に運動量が落ちた。運動量でいえば駒井や田中を中心に京都の走力は衰えず、交代で入った選手もそれぞれ守備をサポらずに走り切って、粘り勝ち。
 ただし、不安な点も。田中が単独で相手に当たりに行くため前半はプレスに連動性を欠いたこと。左右両サイドバックの裏への対応力が弱く、両翼を散々衝かれたこと。そして内野貴志のラインコントロールの拙さ。それぞれ欠点は抱えている一方で、田中のコーチング力は素晴らしいし、駒井には活動域の広さと危機察知能力があり、内野のハイボールへの強さは特筆モノだった。欠点より長所が目立つようになればいいが…。
 このチームには、点を奪えないといつか破綻しそうな危うさがある。これを解消するためには、やはり攻撃が点を奪うこと。攻と守の両輪のバランス、まだまだ改善の余地はありそうナリ。
 

〈京右衛門的採点〉
オ  6.5 …終始安定したセーブ。後半の都倉のシュートのビッグセーブは1点モノの働き。
石櫃 5.5 …出足がよく攻撃面での鋭さはあったが、背後は甘かった。球際ではよく身体張る。
酒井 6.5 …速力全開で突破を許さず。空中戦での当たりも強く、頼もしい限り。
内野 6.0 …陸上戦は怪しい動きもあったが、空中戦(浮いた球)はほとんど競り負けず。
駒井 6.0 …ポジショニングが出鱈目なのだが、走力+危機察知力で凌ぐ。終盤も運動量落ちず。
田森 5.5 …よくボールは回収していたが、それだけ。プレスがかからず、組み立ても出来ず。
田中 6.0 …活動域は広いが、その分穴にも。コーチングを飛ばして周囲をよく走らせた。
中山 6.0 …前半はタメをつくったり粘り込むプレー。後半はボランチとして泥臭いプレー。
山瀬 6.5 …動きにキレがあり単独で打開。時間とともにプレーのキレは落ちるも、闘志は衰えず。
石田 6.0 …アシストはデビュー戦とは思えない落ち着きぶり。前半のオフサイドも、その意気や良し。
大黒 6.0 …プレスの方が目立つくらい中盤に降りてきていたが、ワンチャンスを射貫くスナイパーぶり。
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伊藤 6.5 …攻撃面も守備面も積極果敢で、左サイドを活性化。最後まで粘り強かった。
ドウグラス 5.5 …トップ下ながら担った潰れ役。アバウトなクリアを収め守備を助けるプレー。
福村 ――
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川勝監督 5.5 …試合内容では札幌に圧倒されるも、前節の喝が最後までチームを走らせた。課題は多い。