二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第24節 松本vs京都

2013-07-14 | 蹴球

松本山雅FC△1-1△京都サンガF.C.
         48'山瀬功治
52'飯田真輝

■夏の大三角形
 織姫と牽牛が逢瀬を楽しむというロマンチックなこの季節、ベガとアルタイルは1対1でラブラブに浸りたいところだろうが、もうひとつの星デネブが加わると夜空に大三角形が現れる。二人きりで交際するよりも、三人で交際すると複雑になるのは世の常。そう、サッカーも1対1のパス交換よりももう一人加わる三角関係の方が圧倒的に複雑になり、パスコースは倍増する。トライアングルを作ることは、サッカーのチームプレーにおいて基礎中の基礎。相手もそれはわかっているから分断にかかる。
 前半の京都がほとんど主導権を握り続けた理由は、安藤淳―横谷繁―駒井善成という右サイドのトライアングルによる所が大きい。この3人は状況に応じて位置が変わっても常に三角形ができていて、時に小さな三角形、はたまた大三角形をつくって巧みにボールを回した。3人の関係性は実に小気味よくリズム感があり、見ていて楽しいサッカーだったのだが、惜しむらくは右の局面で圧倒的に優位に立っていただけに、逆の左サイドや中央で一気呵成に崩しきれなかった点だろうか。松本の反町康治監督はトップの三平和司を徹底して潰したため、あと一手のところで人が足りずなかなか難しかった。それでも後半開始早々48分に得点を奪えた。何の因果か、三平にマークが集中していたゆえに松本の選手が交錯し、山瀬の前にボールがこぼれた。1-0、ここまでは最高の展開だった。


■大味な流れ
 せっかく先制したものの、すぐにコーナーキックから失点したのは不運というか不用意というか。だがその後もしっかり引いてカウンターを狙う松本に対して、京都はボールを長短織り交ぜながらよく動かして「壁」を破ろうとする。実際、チャンスは何度も作れていた。対する反町監督は後半頭からムービング型FWのホドリゴ・カベッサに代えて高さに強い塩沢勝吾を入れていた。いわゆる「縦ポン」戦術。奪ったら塩沢目掛けて放り込み、船山貴之が鋭くこぼれ球を狙う。反町監督は昨夜のマッチデーJリーグで「対策は2、3ある」と豪語していたが、おそらくひとつは三平潰しで、後半からのキックアンドラッシュへの転換もそのひとつだろう。染谷悠太あたりが対応を遅れる場面もあったが、それでも京都は落ち着いて凌ぎ主導権を握っていたように思えた。
 ところが、あれよあれよと試合の雰囲気が変わる。松本が緻密さを捨てて大味なボールを蹴るようになったことで試合全体の流れまで大味にしてしまったのだろうか。バタバタと速くて広範囲に展開するサッカーに付き合ったことで、前半に成立していたトライアングルも目立たなくなり、横谷や駒井、山瀬功治の個人技ばかりが突破口になった格好だ。それでもチャンスを作るまでには至ったが、結局ゴール前で深緑のブロックを作って固めてきた松本を崩しきれなかった。逆にカウンターで一撃で沈む危機もあった(船山貴之が外してくれた)。押し続けても崩れない時にどうするか?落ち着いてじっくり構える大人なゲーム運びを選択できる“芯の強さ”があってもよかったのかもしれない。


〈京右衛門的採点〉
 オ 5.5 …頭上を越えるCKに対して転んで失点。素晴らしいセーブもあったがそこだけ痛恨。
安藤 6.0 …再三の攻撃参加では目立っていたが、守備面では裏をよく使われた。
染谷 5.5 …前半は集中力高かったが、後半相手に遅れを取る場面が目立つ。
バヤリッツァ 6.5 …北アルプスのように立ちはだかり跳ね返しまくった。
福村 6.5 …右とのバランスを見ていつになく辛抱強い守備を見せた。攻撃への参加も積極的。
秋本 6.0 …奪う・拾う→フィードのタスクを見事にこなしていたが失点場面で潰され負傷交代。
工藤 6.0 …守備面で安藤の背後などをよくカバー。攻撃の土台も組み立てていた。
横谷 6.5 …相手から離れたポジショニングから自在にタクトを振り続ける。終盤は疲れたか。
駒井 6.5 …ゴールに迫る動きにキレがあったが、スピードに乗ったところでのタッチミスが課題。
山瀬 6.0 …個での勝負や判断力は抜群だが、連携ミスも目立つ。こぼれ球を拾って先制点。
三平 5.0 …松本の徹底マークに遭い自由を奪われた。序盤のヘッドはせめて枠に飛べば…。
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 姜 6.0 …迫力あるタックルでカウンターを潰し、攻めへの切り替えも良い出来。
宮吉 5.5 …ワントップ的な役割の中でまだ真価発揮できず。駒井と息ぴったりのワンツーは惜しい。
 原 5.5 …ワンチャンスに点で合わせる役目だったが、松本の守備かいくぐれず。
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大木監督 5.5 …崩せそうだったが崩せない。この試合から得たヒントを次に生かしたい。